あたりまえ経営のきょうか書

「あたり前のことが、あたり前にできる」思考で、経験から「誰でも知っているようだけど、ちょっと違う」という情報をおしゃべり

■【あたりまえ経営のきょうか書】0-01 はじめに ブログコンセプトの紹介 ◆ はじめに

2021-03-09 09:53:35 | 【経営者】 心構え

■【あたりまえ経営のきょうか書】0-01 はじめに ブログコンセプトの紹介

◆ はじめに


 20世紀後半から、ICTの技術革新が急速に変化するようになり、それに伴いニーズの高度化や多様化がますます大きくなり、経営環境は、「日進月歩」から「分進秒歩」の変化へ、さらには”光速化”へと、大きく変化してきています。

 このような経営環境の急速な変化の時代ですので、企業経営者は、過去の延長線上での発想では、企業を存続させ、発展させることは困難でしょう。

 昨今におけます経営環境が変化します度合いは、過去の成功体験や実績を活かすことが困難な時代に、質的変化を起こしています。企業は、その変化に対応しようと必死になって取り組みをしています。

 ところが、対応策を取り入れようとしても、企業が、時代に即した体質になりきれていません。高度な技術や経営手法を取り入れても、それを消化しきれませんで、体質強化どころか、精神的にまいってしまっています。

 最新の技術や経営手法を全面的にいきなり取り入れるのではなく、消化できるところから取り入れ、それと並行して、時代に即した企業体質を身につけるための「基礎体力強化」が吃緊の課題となっています。

 そのために、何をなすべきか、といいますと、まずは「あたり前のことが、あたり前にできる企業」に体質強化を図ることです。

 「あたりまえ経営のきょうか書」は、「時代即応企業創りを目指して企業体質”強化”する”教科書”」として、経営コンサルタント歴40年余の実体験から、そのノウハウをご紹介いたします。

 企業経営者や管理職だけではなく、経営コンサルタントや士業の先生方にも参考となると信じています。

 第一章 経営トップは、このようにして変身せよ
 第二章 プロの管理職の発想と行動
 第三章 ビジネスパーソンのあるべき発想とスキル
 第四章 戦略思考で経営者・管理職のレベルアップを図る 戦略・経営計画
 第五章 プロが実践する問題発見と課題解決力
 第六章 プロに不可欠な論理思考
 第七章 進捗管理で企業力強化 管理会計の実践
 第八章 四字熟語に学ぶ経営
 第九章 経営雑学を経営管理の潤滑油に活かす

 

■【あたりまえ経営のきょうか書】

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■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-0  経営 はじめに A826  ■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ

2021-01-15 07:31:00 | 【経営者】 心構え

■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-0  経営 はじめに A826 

■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ

 

 リーマンショックやコロナショックにより、多くの経営者・管理職・ビジネスパーソンが自信をなくしてしまっています。一方で、過去の成功体験から、時代の変化に気づかずに、従来の延長線上で事業を続けている人達もいます。

 激動の時代に、不況感に苛まされるのではなく、「不況」が「普況」、すなわち不況期でも健全経営ができる企業体力を持つことが、今日、求められる発想法です。すなわち、「不況が、普況で、普況を富況にする」のが、経営者の役割であり、それを支えるのが管理職や、その下で働く人達の成すべきことだと考えます。

 1970年代から経営コンサルタントという職業を通して、感じ、学び、コンサルティングしてきましたので、それをご紹介します。読者の皆様に、それを感じ取っていただけますと幸いです。

 

◆1-0  経営 はじめに A826

 一流企業とか、大企業といわれる会社も、その大半は、はじめは小さな会社から始まりました。
 それらの企業と、現在中小企業としてもがいている企業と、どこが異なるのでしょうか。
 私は、1970年代から経営コンサルタントに従事してきましたが、お恥ずかしながら、その違いがどこにあるのかわかりません。
 しかし、長年の経験から、成長している企業に共通している、”成功の秘訣”は、わかています。
 その秘訣を正しく実行すれば、零細企業といいましても90%以上の確率で成功します。

 難しい経営理論は、大企業が多くの経営資源を投入しても、効果を発揮するまでには多くのエネルギーを投入し、時間をかけて進めても、なかなか成果を上げることは難しいです。基礎体力がない会社が、安易に考えて、自己流で取り入れても、消化不良を起こすだけです。
 経営者・管理職が、難しい理論を勉強することは、それなりの価値はあるかもしれません。しかし、勉強しすぎて、頭でっかちになってしまいますと、企業成長はストップしたり、停滞したり、時には、マイナスの方向に企業が走り出してしまいます。
 しかも、その状況に、経営者・管理職自身が気がついていない企業が多いのです。

 では、小さな会社でも、成長できる”成功の秘訣”とはなんでしょうか。
 その答は、「あたり前のことが、あたり前にできる」ことです。

 では、その「あたり前」とは、何でしょうか。
 それは、企業により、異なります。

 まずは、自分の会社にぴったりの「あたり前」を創ります。

 あたり前というのは、企業により異なるのですから、どこかの会社のあたり前をまねして単に「作る」というのではなく、新たに「創り出す」のです。そして、そのあたり前があたり前にできるようにしてゆくことが、企業が成長するということなのです。

 そのあたり前を、次第に成長させながら、次のあたり前を作ってゆくのです。

 これから、あたり前のことが、あたり前にできるようになれる企業創りについて、お話して参ります。
 しかし、あたり前のことが、あたり前にできる企業というのは、そう簡単にはできません。
 まずは経営者自身が、「当たり前なことがあたり前にできることが、企業経営の基本なのだ」と、信じ、自分の考え方をドラスティックに変革してこそ、企業の存続や成長があるのです。

 「あたり前を莫迦にせず、経営の原点に戻って、莫迦のように、あたり前に取り組むぞ!」と決心することです。そして、雨が降ろうが、矢が飛んでこようが、あたり前に取り組むと固い約束を、自分自身にすることです。

 経営トップが、この意識改革をし、管理職を通して、全社一丸となって、組織的に動ける企業創りをしながら、あたり前のことを、あたり前にできるようにすることを実行してゆかなければなりません。
 自分の会社が、成長してゆかないのは、あたり前造りが間違えているか、あたり前を成長させるということに対する自分の決心が弱いか、それに対する努力がまだたりないのか、方法論が間違えているのだと、自分に言いきかせ、自分自身を叱咤激励できなければ、いくら、ここで勉強しても、あなたの会社は良くならないでしょう。

 経営トップは、経営が上手に行かないことを、他人に責任転嫁できないのです。社会が悪いのだと大声を出しても、会社は良くならないのです。

 それでは、経営トップは、また管理職は、どのようにしたら、意識変革ができるのでしょうか。
 自分自身を変革し、時代に即した、また明るい将来が見える企業に体質変換を、どのようにしたら良いのか、地道ではありますが、着実に前進する方法を、このシリーズでご紹介します。

 経営トップが、どの様に発想して、どのような意思決定を図ったらよいのか、経営コンサルタント歴40年余の実績から、アドバイスをして参ります。

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■【あたりまえ経営のきょうか書】  1-01 原点に戻って”経営”とは何かを見直す

2021-01-14 07:31:00 | 【経営者】 心構え

■【あたりまえ経営のきょうか書】  1-01 原点に戻って”経営”とは何かを見直す

■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ

 

 リーマンショックやコロナショックにより、多くの経営者・管理職・ビジネスパーソンが自信をなくしてしまっています。一方で、過去の成功体験から、時代の変化に気づかずに、従来の延長線上で事業を続けている人達もいます。

 激動の時代に、不況感に苛まされるのではなく、「不況」が「普況」、すなわち不況期でも健全経営ができる企業体力を持つことが、今日、求められる発想法です。すなわち、「不況が、普況で、普況を富況にする」のが、経営者の役割であり、それを支えるのが管理職や、その下で働く人達の成すべきことだと考えます。

 1970年代から経営コンサルタントという職業を通して、感じ、学び、コンサルティングしてきましたので、それをご紹介します。読者の皆様に、それを感じ取っていただけますと幸いです。

 

◆  1-01 原点に戻って”経営”とは何かを見直す

 私事で恐縮ですが、私がまだ経営コンサルタントとして尻が青い時代のことです。

 顧問先の社長さんが、「経営とはなんでしょうね」と、私に問うているのか、独り言を言っているのかわかりませんでしたが、つぶやきました。

 実は、経営コンサルタントでありながら、私は「経営とは何か」ということを考えてみたこともありませんでした。

 その社長さんは、日本を代表するトップ大学を卒業していますので、求めているのは、教科書的な解答ではないことは自明の理です。

 これを契機に、「経営とは何か」を模索し始めました。しかし、机上で考えますと、経営書に書かれているような教科書的な解答しか出てこないのです。

 一方で、コンサルティング業務は、毎日、めまぐるしく新しい課題と共に襲ってきていましたので、落ち着いて考える時間もなかなかとれず、時間だけが経過したように思えました。


 あるクライアントで、私のコンサルティングに基づく、営業パーソンの努力が結実し始め、売上高は、それなりに増加してきました。

 売上の増加には一所懸命に取り組みました。そかし、そればかりに気をとられ、経費管理まで目が届かなかったのです。

 経費管理という視点がおろそかであったと反省しました。ところが、経費は、それほど増加しているわけではなく、営業利益高も増加し、利益率も改善されてきているのです。

 それにもかかわらず、資金繰りの苦しさは続いていました。新米コンサルタントとしては、その原因がわかりませんでした。

 当時は、キャッシュフロー計算書という概念がまだありませんでしたが、運転資金という観点で資金の流れを見て、ようやく、原因が「代金回収率の悪さ」にあることに気がついたのです。今から考えますと、赤面どころか、経営コンサルタントとして、恥ずかしくて公道を歩けない思いがします。


 ようやく、「経営資源により、経営の結果が大きく変わる」という、あたり前のことが経営コンサルタントとしてわかっていなかったのです。

 代金回収に力を入れ始めたら、数か月も経たないうちに資金繰りが楽になってきました。

 資金繰りが楽になってきますと、金融機関からの返済も楽になり、新たな借り入れも容易になってきましたし、金利も改善してきました。

 開発部門の人手不足から製品改良の必要性があったにもかかわらず、それができない状態が続いていました。ライバルよりスペック的に劣るために売上が思う様に伸びていなかったのです。しかし、改良の余裕もなく、そのままのスペックで営業活動を強いられていたのです。

 資金余力が短期間に改善したこともあり、開発要員を一名増員し、スペック改善に着手できました。展示会にも、それまでより広いブースを借りるようにしますと、出展効果から、売上も伸びて来ました。


 経営コンサルタントとして、「経営資源の良質化」ということの重要性を体得でき、「コンサルティングは、経営資源の良質化で実績に繋がる」ということに気がつきました。自分なりの経営コンサルタントとしてのあり方が見え始めたのです。

 「経営とは何か」という私の「経営の定義」第一号は、「経営とは、経営資源の良質化を図ること」ということで落ち着きました。この様な表現は、経営書にはあまり登場しませんので、自己満足ではありますが、「我ながら、良い表現に気がついた」と思うようになりました。

 経営コンサルタントとしての経験を重ねる中で、経営に対する定義を改善し、あまり垢抜けした表現ではないものの、「経営とは何か」について、以下のように表現するようにしました。

  経営とは、
  経営環境へ臨機応変な対応をしがら、
  内外から調達した経営資源を計画的に用いて、
  経営資源を有機的に組み合わせ、
  それを効果的に活用して、より高い生産性を追求し、
  顧客が必要とする新しい付加価値を創り出し、
  再生産のための適正利潤として還元し、
  自らが掲げ、実行しようとする理念を基礎にし、
  それを永続させて、
  夢の実現を通じて
  社会に貢献する

 これが、私のコンサルティングのテーマ作りの源泉にもなっていまして、新しいクライアントさんとの取り組みの際に、上記の定義のどの部分に力点を置くべきかを考えてから取り組むようにしています。

 すなわち、経営の定義が、経営コンサルタントとしての行動の原点になっているのです。

 
 

 

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■【あたりまえ経営のきょうか書】  1-02 ガラス張り経営とその運営法 A518

2021-01-13 07:31:00 | 【経営者】 心構え

■【あたりまえ経営のきょうか書】  1-02 ガラス張り経営とその運営法 A518

■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ

 

 リーマンショックやコロナショックにより、多くの経営者・管理職・ビジネスパーソンが自信をなくしてしまっています。一方で、過去の成功体験から、時代の変化に気づかずに、従来の延長線上で事業を続けている人達もいます。

 激動の時代に、不況感に苛まされるのではなく、「不況」が「普況」、すなわち不況期でも健全経営ができる企業体力を持つことが、今日、求められる発想法です。すなわち、「不況が、普況で、普況を富況にする」のが、経営者の役割であり、それを支えるのが管理職や、その下で働く人達の成すべきことだと考えます。

 1970年代から経営コンサルタントという職業を通して、感じ、学び、コンサルティングしてきましたので、それをご紹介します。読者の皆様に、それを感じ取っていただけますと幸いです。

 

◆  1-02 ガラス張り経営とその運営法 A518

 世の中には、「常識」といわれることが多数存在します。しかし、「常識」というのは、本当に正しいのでしょうか。クリティカル・シンキング思考で考えてみたいと思います。

 「経営の透明性」とか「ガラス張り経営」という言葉をしばしば聞きます。この言葉を聞くと「素晴らしい経営者だ」「信頼できる企業」というようなイメージを持つ人が多いと思います。

 私も「ガラス張り経営」を心がけて、これまで組織運営やコンサルティングをしてきました。しかし、「ガラス張り」ということと「情報を隠蔽しない」ということは異なると解しています。

 「情報を隠蔽する」ということは、情報を開示しないで、特定な人、それもしばしば「一人」とか「一部の選ばれた人間」「ある部署」に限定することが多いです。しかも、その特定の人という裏には、後ろめたいことが隠されているというニュアンスが含まれることがあるように思えます。

 「ガラス張り」といいますと、その様な「後ろめたさのない」という意味から、歓迎され、賞賛されると思います。


 では、ガラス張り経営で、経営はうまくいくのでしょうか、社員を上手に管理できるのでしょうか。

 例えば、新しい戦略を構築しようとしているときに、それを社員に話をしますと、社員の中から建設的な意見が出たり、協力したいという積極的な社員が出てきたりと「ガラス張り」のメリットが出てくるでしょう。


 一方で、まだ充分に戦略が練り切れていない段階で、トップが、それを社員に開示したとします。充分な戦略が練り切れていないということは、充分にデータや資料・情報が収集し切れていなかったり、それを充分に分析しきれていなかったりして、それが判断ミスをしている可能性もあります。

 ガラス張りにすることにより、社員からその指摘が出てくれば、ガラス張りの良さが出たように見えます。しかし、一方で、「このような判断ミスをするとは、わが社のトップは一体何を考えているのか」と疑問に感じ、次第に社員からの信頼を失う危険もあるのです。

 社員は、わが社という歴史と伝統ある会社ですからこそ、社員として自社のために骨身を削って仕事をしてくれているのです。裏を返しますと、自分が選んだ会社だけに、素晴らしい会社でありつづけることを期待しているのです。

 上記のように、トップが軽率な判断、たとえ軽率でなくても充分検討しないでした判断に対して、疑義や懸念が社員に生じたとしますと、社員の期待を裏切ることに繋がりかねません。それでは、会社から離れていってしまいます。


 上述の例であります「新しい戦略構築」の話に戻ります。

 例えば、役員会で「委員会制度の導入を検討する」ということを決定し、ガラス張り経営であるという理由で、その段階から、役員間のコンセンサスが不充分なまま、社員に発表をしたとします。

 「なぜ委員会制度を導入するのですか?」と社員から質問されたとします。各役員が統一した見解を述べられれば、社員は、会社に対して信頼を寄せ、この活動を推進すれば、積極的に参画してくれるでしょう。

 ところが、役員毎に言うことがバラバラであったり、社員から反論が出たときに、うろたえたり、キチンとした説明ができなかったりしては、役員に対する信用どころか、会社に失望すらするでしょう。


 コンセプトを充分に役員が咀嚼し、それを表現できるように、充分なる意見交換や討議を経て、具体策やその進捗管理までが明確になっていれば、役員に対する疑問や反論が出ても、自信を持って対応できるでしょう。

 それには、具体策を決める前に、コンセプトがキチンと役員間で理解され、合意されていなければなりません。その様な段階で、得てして、形だけを作ることに終始しがちです。誰が、どの委員会のメンバーになるなど形式的なことばかりに終始していては、肝心のことに充分時間を配分できず、消化不良のままの戦略発表となってしまいます。

 残念ながら、多くの企業で、何かをするというときに中途半端な形のものが社内に公知されることが多すぎるように感じます。

 社長をはじめとする役員が、大所高所から見て、それに気づいたら直ぐに対処すべきです。役員が、それを理解できないまま、走り出さなければならなかったことが多かったり、素晴らしい制度や戦略であっても、消化不要のまま放置され続けていたりしていることが多く、トップや役員・管理職は謙虚に受け止めるべきです。その上、これまで決めてきたことを見直しながら、新しい戦略・政策・方針として立案し、提示し、実行し、進捗管理を続けていくことが肝要と考えます。


 ガラス張り経営だからと言って、何でもかんでも発表して良いというのではなく、タイミングや反意を考慮して実施すべきです。

 

 

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■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-03 「さん」づけ呼称と民主性 A705831

2021-01-12 07:31:00 | 【経営者】 心構え

■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-03 「さん」づけ呼称と民主性 A705831

■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ

 

 リーマンショックやコロナショックにより、多くの経営者・管理職・ビジネスパーソンが自信をなくしてしまっています。一方で、過去の成功体験から、時代の変化に気づかずに、従来の延長線上で事業を続けている人達もいます。

 激動の時代に、不況感に苛まされるのではなく、「不況」が「普況」、すなわち不況期でも健全経営ができる企業体力を持つことが、今日、求められる発想法です。すなわち、「不況が、普況で、普況を富況にする」のが、経営者の役割であり、それを支えるのが管理職や、その下で働く人達の成すべきことだと考えます。

 1970年代から経営コンサルタントという職業を通して、感じ、学び、コンサルティングしてきましたので、それをご紹介します。読者の皆様に、それを感じ取っていただけますと幸いです。

 

◆ 1-03 「さん」づけ呼称と民主性 A705

 近年、企業において、役職名ではなく、「さん」付けをすることにより民主性を表現する企業が多くなりました。

 福沢諭吉翁が「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」とおっしゃったことは有名であり、人間性を重視する観点からも、上司も部下も、皆人間であることには変わりがありません。

 この視点からみても、社長以下の全社員が「さん付け」で呼び合うことは、民主的な人間関係を作る上において必要なことでしょう。

 しかし、視点を変えてみてみましょう。

 日本で最も早くに設立された経営コンサルタント団体であります、日本経営士協会では、会員同士を「さん付け」ではなく、「先生」という呼称を付けて呼び合っています。

 本来、人間性を重視したコンサルティングをするためには、自分達自らが民主的な関係であることを表明するために、「さん付け」にすべきところです。ところが、同協会の伝統として、「先生」呼称が定着しています。

 同協会は、「経営士・経営士補」という資格付与団体です。ところが、コンサルティング経験の浅い資格取得者の中には、「まだ、経験も浅いので、先生と呼ばれるほどのものではありませんので、先生と呼ばないでください」と謙遜する人がいます。


  一方で、経営コンサルタントとしての資格取得は、コンサルティング実践経験の浅い人といいましても、難関な試験に合格した人達です。その資格のブランドを背負っているのですが、プライドを持ってよいはずです。また、プライドを正しく認識することにより、その資格のイメージも高まります。
 自分では謙遜しているつもりで、「先生と呼ばれるほどの実績はありません」と言うことは、その資格の権威を低めることに繋がりかねません。

 そこで、「先生」と呼び合うことにより、プライドを持ち、自分自身も資格に負けないように努力し、責任を持った言動を採るという意識付けをするためにも「先生呼称」は、効果があるのです。

 協会としては、権威うんぬんという問題よりも、意識改革により、すこしでもよいコンサルティングをすることが、社会貢献に繋がるという観点から、外の人からは多少奇異に感ずるような人もいらっしゃるかもしれませんが、このような伝統を守っているのです。


 ただ今ご紹介しましたことは、経営コンサルタント団体という、特殊な組織における、さらに「意識付け」ということに焦点を絞ったお話です。

 だからといって、「自分には関係ない」と切り捨てるのではなく、ここの根底に流れている物は何か、それを自分の立場に置き換えたら、何かに利用できないか、と、いうように本質を追究する思考法を、繰り返しながら、その思考法を自分のものにしてゆく必要があります。

 その一環として、これをヒントにして、自分の会社をよくするきっかけを作れないのか、というような、コンピテンシー思考が、経営者・管理職やビジネスパーソンには求められます。コンピテンシー思考というのは、一般的な意味合いと多少異なりますが、上手にこなしている人や失敗したときの原因や理由を追及し、他のことに転用することを指します。

 

 経営コンサルタントとして企業を訪れた時に感ずることの一つが、「組織で動く」ということができていない企業が多いことです。「烏合之衆」という言葉がありますが、人がただ集まっているだけでは、「組織」とはいえないのです。

 組織を活かした動きになっていないという背景には、「組織で動く」、すなわち、組織力を活かすということを知ってはいても、軽視していて、それを行動に起こしたり、ましてや年度方針に盛り込んだりという発想がない企業が多いのです。

 その様な企業で、「民主的だから、“さん付け”で呼び合おう」ということは、正しいやり方なのでしょうか。

 

 組織的な動きをしている企業というのは、目標が明確で、その目標に向かって、全社員の言動のベクトルがおおむね揃っています。その様な企業では、民主的経営の一環として、「さん」づけ呼称を定着させるという選択肢は、評価されるでしょう。

 ところが、そうでない企業では、まず、組織で動くということを意識付けするために、「管理とは何か」「管理職とは何を、どの様にする人か」というようなことを、体に染み込ませることが必要です。


 その一環として、管理職を、役職名で、たとえば「課長」とか「○○部長」というように呼ばせて、組織とは何かを意識付けさせることが必要なのです。

 多くの方が、そこまでする必要があるのか、それで効果があるのかと懸念されます。「全社一丸」というような言葉がよく知られていますように、「組織で動く」ということの必要性は大半のビジネスパーソンが知識として持っています。

 しかし、このような抽象的なことは、知識として持っているだけでは行動に移すことができないのが常です。役職名を呼称として用いることは、時間がかかりますが、徹底する方法のひとつとして、経営管理の基本を認識させ、体得させるためには必要なことなのです。


 このように、誰でもが知っていることを、知っていることだからといって、軽視するのは一般的な企業です。他の会社とはひと味違う、あたり前のことをあたり前にしようとする企業努力が、機会損失を回避できるのです。成長する企業は、小さなことでも積み上げる「ちりもつもれば山となる」ようなことを地道に継続しています。

 

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