最期までおひとりさん
「最期まで家にいたい、家で死にたい」という願いは叶いますか、安らかな「在宅ひとり死」を迎えることは可能ですか、どうすれば可能になりますか? では今使える制度は? 実例は?と迫る上野さんの鋭い突っ込みにも、実に細かく答える小笠原先生。
最期までおひとりさまだった方たちの、医療保険、介護保険で支払った費用、最期を迎えるまでに実際に使った全費用まで明かされています。誠実に丁寧にお答えになっているので、われわれ素人にも判りやすくて、横でお話を伺っているような気がします。
先生は、「在宅ひとり死」は孤独死ではなく、「希望死・満足死・納得死」
「ひとりで死ねる。ひとりで死んだっていいんだよ」ということを日本のみなさんに知っていてほしいと言われています。
ある実例。 彼は会社の健康診断でがんが見つかり、精密検査を受けたら、末期がんで余命6ヵ月だと告知されました。自覚症状が殆どなかったからなのです。
彼は、あと6ヵ月の命なら、やり残したことをどうしてもしておきたいからと、経口の抗がん剤を処方して貰って、西アフリカまで行きました。
手術もできないというがんを抱えて、たださえ悪化することは判っていたのに、遠い砂漠の国へ行くなどという無茶をしたのですから、帰国したときはとても重篤な状態になっていました。
入院を余儀なくされて3ヵ月経った頃、最期にどうしても家に帰りたいと言い、ようやく帰宅を許されたのでしたが、家に帰ってすぐに容態が急変したので病院に連れ戻され、それから一週間後、彼は彼岸へと旅発ちました。
当時、西アフリカへ余命6ヵ月というシビアな患者を、行かせていいものかどうか、教授会で論争されたと聞いていました。
「死は敗北」という医学界で、変わったケースだったのだと思います。
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