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始めよう 平飼い養鶏入門ログ

このウェブログは南信州のりんごのさとに移り住んだ娘夫婦とその友人たちのために作成した庭先でできる平飼い養鶏入門ブログです

平飼い自家養鶏で賞味期限、そんなの関係ないかもしれませんが

2017年06月04日 | ニワトリとたまごの、知ってそうで意外に知らないこと
意外とちかい昔、たぶん平成になってから消費期限、賞味期限という表示が販売される食品に使用されるようになったと思います。それ以前は「製造年月日」「加工年月日」と表示されていました。卵で考えると賞味期限でなく加工年月日ということは、卵をパックした日を意味します。各家庭、自己責任でたまごかけごはんにするか目玉焼きにするか、もしくは廃棄するかを判断しなさい、ということ。今から考えると乱暴なことのようですが昔の人たちにはそれが可能でした。先祖代々の知恵と知識が受け継がれていたからです。

まったくの私見ですが、戦後、農村から都市部への集団就職、都会での結婚による親や祖父母との別居という核家族化、核家族の連鎖などがすすんだことにより、生きるための知恵や知識が断絶してしまったような気がします。子供の寝かしつけ方や育て方、だしのとり方や食品の保存方法などなど。

誤解なくお読みください。卵はかってお刺身やお肉のような生鮮食料品とは考えられていませんでした。長期保存できる貴重な栄養源だったのです。わが農場が出荷する卵のラベルには「10℃以下で保存してください」とか「賞味期限を過ぎたものやひび割れが生じた卵は充分加熱調理してください」と表示してあります。法律で定められた鶏卵販売業者の義務だからです。

実は我が家では夏でも一度も冷蔵庫に入れたことがありません。なぜなら10人家族で毎週30個の卵を購入しますので冷蔵庫に入りきらないからです。
それでも守っていることはあります。気温30℃の夏でも、産卵から2週間以内に消費しきるということです。実際には毎週30個消費なので2週間30℃にさらされることはないんですがこれがわたしの基準です。

「産卵から」という言葉と「30℃、2週間以内」という言葉が謎のキーワードでしょうか。

・市販の卵のほとんどは「産卵日」が明記されていません。
・なぜか賞味期限は店頭に並んだ日から2週間後がほとんどです。

実はわたし20年近く前になりますが前職は食品流通業、食品スーパーの店長さんでした。産卵日を記載しないことも賞味期限が2週間なのも20年前のあの頃となんら変化がありません。産卵日は記載しないし、いつ産まれた卵かわからないけど店に卵が納品された日から2週間の賞味期限。その理由について詳しくはわかりませんので事実だけを記せば、

・産卵日を記載すればいいのにしていない。
・日本鶏卵教会の「鶏卵日付表示等改訂委員会」では
(2)賞味期限の改訂
「賞味期限については産卵日起点であることをより明確化するとともに、家庭で生食用として消費される鶏卵については“産卵日を起点として21日以内を限度”として表示することを新たに制定・公表することとする。」
とあるので21日すればいいのに14日のまま変化なし。

あくまで安直な書籍やネットの情報なので信用するに値しないかもしれませんが、「賞味期限の設定起算日は産卵日ではなくパックに詰める加工日だ」というまことしやかな話も、もしかして本当なのではと疑う気持ちも理解できます。

なぜなら21日と14日の差の7日間は、産まれてからパックするまで養鶏場やパックセンターで保管できる猶予期間とかんぐられても仕方がないからです。

誰かが誰かのために「そんたく」して便宜をはかっているのでしょうか。平飼いで毎日700個前後、何時に産まれたかもわかって出荷している私にはなかなか「そんたく」できません。

ということで、産卵日のわかる平飼い自家養鶏の皆さんは、最高気温25℃保存で21日、30℃で14日が生食の賞味期限ということを参考にしてください。

くわしくはこちらをご覧ください。
http://www.jz-tamago.co.jp/pdf/E05_3_m_1.pdf

卵の天然リンス・キューティクル

2017年06月04日 | ニワトリとたまごの、知ってそうで意外に知らないこと
産まれてすぐの卵はしっとりとぬれています。それが10秒くらいで乾いてしまいます。

キューティクルの完了です。

シャンプーやリンスの宣伝で「キューティクル」という言葉はおなじみですが生物学用語では「クチクラ」というそうです。卵のクチクラは、呼吸のための空気は通すけど細菌は防御するという自然界のすぐれものですが、水で洗うことで簡単にその効果がなくなってしまうそうです。

平飼い養鶏をしている人で自家の卵を洗ったり消毒して食べる人はいないと思いますが、実は市販の卵はすべて次亜塩素酸ナトリウム、いわゆる漂白剤で洗浄消毒後販売されているそうです。次亜塩素酸ナトリウム自体は食品添加物として野菜サラダなどの農産物加工品にもふつうに使用されているようなので問題はないとされていますが、せっかくの天然の防御システムを洗い流してしまうのは残念なことです。

わたしが子供のころ(昭和30年代)は食品スーパーなどなく、卵は八百屋さんか肉屋さんでばら売りでした。「ざらざらのある、いい卵を入れといたったよ」とお店のおばさんが言っていたのを覚えています。

卵にはざらつきだけでなく一個一個に違う模様があり、そんな模様を見つめては、いろいろな形にみなすことを遊びでしていました。洗卵機で消毒された卵にはざらざらも模様も残りません。つるつるです。

平飼い養鶏をできる皆さんは、ぜひ毎日産まれてくる個性のある卵をめでてやってください。
SMAPの「世界にひとつだけの花」くらいハミングしてあげてもいいかも・・・。

卵のサルモネラ菌食中毒

2017年06月04日 | ニワトリとたまごの、知ってそうで意外に知らないこと
「すき焼きに使用した卵で食中毒になった」とか「生卵を食べて食中毒になり子供が死んでしまった」などの話は事実であるようです。

でもネットのうわさ話レベルをうのみにするのでなく、よくよくその顛末を調べるとやっぱり「生きるための知識や知恵の断絶」がもたらした悲劇に思えてなりません。

すき焼きに「すべり」を使用する地域は多いと思いますが、食べ残しがもったいないからとその「すべり」を冷蔵庫で保存し翌朝?翌夕?に食べれば冷蔵でも増殖するサルモネラ菌で食中毒になります。卵かけごはん用の溶き卵を家族分大量に作り残った分を冷蔵庫に入れて翌朝食べるなんてことも絶対だめです。昔のおばあちゃんは必ずその日のうちに残りの生卵を加熱し翌朝の朝食や弁当のおかずにしていました。

「誰も教えてくれなかった」と後で嘆いても亡くしたものはかえりません。自分の無智が家族の悲劇の原因にならないよう先祖の知恵を吸収する努力を継続していきましょう。