小嶋つうしん(号外)

(元)大分県議会議員 小嶋秀行の徒然ブログ

鳩山さんの退陣

2010年06月03日 | 民主党・選挙
 たいへん「残念」でなりません。昨年の衆議院選挙で圧倒的な有権者の支持を戴いて誕生した「鳩山政権」でしたから、こういう形で、しかも約9ヶ月で退陣というのは、とにかく「残念」です。

 なぜ「残念」かということを中心に書きとめておきたいと思いますが、一つは、民主党がかねてから訴えてきた「地域主権」(地方分権)が一気に進むと私は思っていたからです。それを是非とも鳩山政権で実現の緒につけて欲しかったからに他なりません。

 もう一点は、鳩山由紀夫氏が唱えてきた「新しい公共」という概念が少しずつ見えてきた時期だったからでもあります。これは、地方自治体でも進められている「市民協働」の考え方が、この「新しい公共」という考え方のもとに整理が進むと考えていたからです。

 辞意を表明して一夜明けてた3日、マスコミ各社が各地で市民の声を放送していましたが、それらを聞いていて感じたことは、支持率が政権発足時と正反対の数字になっているといわれながら、退陣を惜しむ声が意外に多かった点、何と割り切れない思いでした。

 その意味では、マスコミ報道の影響がどれだけ大きいか、計り知れない様にも思いました。事実、ご承知の通りマスコミ報道は、普天間なら普天間、政治とカネなら政治とカネだけを長時間取り上げて報道します。

 最近になって、子ども手当が支給されるようになりましたが、来年度はどうなるかマニフェストには、抽象的な表現だそうです。これを、マスコミはすぐさま批判します。「約束が違う」と。

 でも、知っている人は知っていますが、昨年夏の総選挙の際に想定した、税収と23年度の税収(見込み)比較では、約10兆円程度減収といわれますから、当初想定通りの政策実現が可能な訳ありません。

 それでも民主党は、どうにかして公約を実現するために頭を痛めていますが、マスコミは、そういう税収のマイナスなどは、余り関連して報道することはありませんし、「告発型の報道」が目立ったのは気のせいではないと思います。

 こうした例で明らかなように、報道では、いつの間にか特定の政策課題だけで論じられるようになり、有権者に正確な内容が伝わりにくくなっているとすれば、これは問題ですし、そうした成り行きで世論が結果として「捻じ曲げられる」とすれば、マスコミも本意ではないと思います。

 こう考えると、確かに政治とカネの問題で、鳩山さんのお金に関する感覚が問題ではあるにしろ、それ以外に評価することはたくさんあったと思います。「事業仕分け」「天下りの根絶」「税金の無駄遣い根絶」「公益法人・特殊法人の整理」「官僚主導から政治主導への転換」「国家戦略室の設置」「陳情行政の改善」「診療報酬の改訂」「医療・福祉分野の改革」いろいろありますが、余り「日の目」は見ません。

 いつかの記者会見でも鳩山さんが言及していました。「情報管理の不備が大きい」と。また、内閣にしかない情報がいつも間にかマスコミの知る所となり、正式な発表より前に報道される事から、対策が後手に回るという場合が多くみられたように感じたのは、私一人ではないと思います。

 書けばきりがありませんが、こんなことを考えると、どうも鳩山さんの退陣は「残念」の一言につきます。