こないだ歩いてスーパーで買い物して帰りよったら、小銭が落ちる音が聞こえた。わしきり丸並みに小銭の音に敏感なのよね。振り向いたら背の高いおじいがモソモソ動きよった。そうか、じいさん小銭落としたなと思うた次の瞬間、自動販売機の集金とか、お札を小銭に両替する時みたいな、大量の小銭が落ちる音がしだいた。おじいに近寄ってみたら、おじいの懐から銀色の硬貨がじゃらじゃら落ちよった。おじいの立っちゅうとこは溝のグレーチングの上で、かなりの両の硬貨がその中へ吸い込まれた。おじいは呆然と立っちょって、その手には銀色の円筒形の物が握られちょった。
硬貨は全部500円玉やった。おじいが握っちゅうのは貯金箱みたいに見えた。
一杯になった500円玉貯金箱の中身を振り撒いたがやった。アスファルトのは拾えたけど、グレーチングはボルトで固定されちょって外れんかった。
ざっと見ても何十枚も溝ん中に沈んじょったわ。こんな悲惨な光景見たこと無いわ。おじいムゴイ…
その時は仕事があるきすぐ山へ戻ったけど、運転しながら考えたら、グレーチングの隙間から金魚用みたいな網入れて取ることができたかもしれん。あと役所に電話して、グレーチング外してもらうとか。
あれから一週間経った。
今日高知へ帰るきあの溝覗いて見よう。あったら全部取って警察へ持って行こう。