いじめ撲滅のためには、まず子どもの最も近くにいる大人である教師が、教育委員会が、「自分が縁した子ども達は、断じていじめで苦しませてなるものか!」との強い一念を持つことから始まるのではないか━。
数日前の小平市議会決算特別委員会で、市議会公明党を代表し、私が教育委員会に投げかけた質問の冒頭だ。残念なことに直後、青森県の黒石市でまた悲しい事件が報道された。
大津市のいじめによる中学生自殺事件発生後、小平市においても大きな議論が起こり、いじめの予防対策、早期の発見と解決、そして重大事態に至った場合の対応等について、教育委員会の検討が進められた。
そして平成25年いじめ防止対策推進法により、小平いじめ防止基本方針が策定、対策連絡協議会と、いじめ問題対策委員会による協議が定期開催され、各学校にも学校いじめ対策委員会と学校別いじめ防止の基本方針が作成されたことが報告された。
抜本的には、「いじめる心」を撲滅する、そして「いじめは、いじめる側が100%悪い」という精神風土を醸成していく事が必要だ。
これまで新設された機関や仕組みによって、大津事件当時の小平市のいじめの実態と対応が、具体的にどのように変化・進化をしたのか。
小平では重大事例が発生しなかったことが果たして、当時指摘された、どんな子どもでも、いじめる側にもいじめられる側にもなりうるとの「教室の悪魔」とも表現される、人間の生命の奥底に存在する問題に、対応できることになるのか。
答弁では、現場に一番近い教育長から「いじめは、いじめる側が100%悪い」という思いを共有している事、いじめられる側も悪いという論調は、その次に来ると考えるものとの趣旨の表明があったことに、ひとまず安堵感を覚えた。
黒石市の事件では、アマチュアカメラマンの撮った写真の女の子が自殺したことを知った上で、市長賞内定について、ご両親に承諾を得たものだ。
この写真の採用によって、あるいは後日、心無い論評が起こったかもしれないが、この話が来たとき、ご両親は悲しみの中で間違いなく娘に救われる思いを感じたに違いない。決定した首長さんのはからいも暖かく評価されたであろう。
内定取り消しという、翻意の裏側には、死という事実を忌み嫌う日本人の精神風土がある。死=不浄=縁起が悪い、と言う抜き難い差別感情だ。
しかし本来の「縁起」とはそんな浅薄なものではなく、全ての事柄はひとつも欠けることなく、過去から現在、そして未来とつながっていることを表しているものだ。死もまた一つの通過点である以上、未来に向かって今何をするかが一番大事なのだ。
市長賞授与の目的とは何か、それは未来に向けて喜びを「今」に留めることでなければならない。いじめ問題はここに光を当てなければ、撲滅することはできないと感ずる。
写真の中の女の子は、そんな賞などまるで関係なく、とびきりの笑顔で輝いている。
彼女のご冥福とご両親の哀しみが少しでも癒えることを祈らずにはいられない。
あぶかわひろしは今日も行く
あぶかわ浩(虻川浩)小平市議会議員のホームページ