神戸RANDOM句会

シニアの俳句仲間の吟行・句会、俳句紀行、句集などを記録する。

2020=夏のおうちde句会

2020-08-15 | 吟行句会

ロナうちde句会冷奴

  

「ランダムの皆様にどんな形ででも、やっと接する事ができて、うれしいです」

と、投句されたのは、へるめんさん。

18年前にスタートした神戸RANDOM句会は、春と秋の年2回、吟行句会を開催してきましたが、新型コロナの影響で、今春の句会は中止。次回の見通しも立ちません。

おうちde句会―――――――――――

2020年6月、一風幹事長に、播町さんから提案のメール。

「テレワーク句会といきたいところですが、ステイホーム句会はいかがでしょう。郵便とEメールとの併用なら、全員参加が可能ではないでしょうか。つきひ主宰にはかって句会を計画してみませんか」

つきひさんは、

「もちろんやりましょう。兼題は『冷奴』で1句、『炎暑』で1句、あと1句は自由。投句するとき、句についてのコメントがあれば書く。選句は◎1句、○3句。投句者の近況を書いてもらい、賞品はできれば複数の人に。講評と添削例のコメントもしますよ」

のご返事。

7月3日、句会のメンバー全員に、「第31回神戸RANDOM句会『夏のおうちde句会』、投句は7月31日までに」の案内状を送りました。

 

長い梅雨が続く中、7月13日、ひろひろさんから、

「続く雨で家中湿度81%。黴だらけ!! エアコンをかけ、黴退治??? コロナ太りが気になる今、…早く太陽に会いたい!!」

の挨拶と投句。その後、メンバーからメールと郵便で投句とお便りが次々と寄せられ、締切日の7月31日には14名・42句が集まりました。そして、ようやく遅い梅雨明け。

早速、作者を伏せて句を並べ替えた選句表を作成し、選句の締切日を8月16日にしてメンバーに選句表を送付。各自、自作以外の気に入った4句を選びます。特選1句2点、その他3句1点で、各人の持ち点は計5点。参加者14名の総点数70点の争奪戦です。

8月13日に全員の選句が届き、14日に得点集計と選定理由を取りまとめて、つきひさんにメール、つきひさんから講評と添削例のコメントを頂戴しました。

では、メンバーの投句と作者のコメント(*)、選句で獲得した得点(丸数字、は特選句で2点)と選句理由(〈選〉)をご覧ください。まずは、「冷奴」の句から。

冷 奴 一品目全員一致冷奴 つきひ「俳句の時間」 

冷奴昔も今も木綿絹           ひろひろ

*昔の豆腐屋のおっちゃん(自転車で鈴をチンチンと鳴らす姿)を思い出します。今のパック入り

 の豆腐何か味がない感じ。

てのひらにのせて斬らるル冷豆腐   へるめん③

〈選〉・手品みたいに母がてのひらに乗せて切っていた昔をありありと思い出した。

    …ろまん亭

   ・秀作です。奇麗な手の上で切られる艶めきがある。…蛸地蔵

布引の水や旨しと冷奴        播町②

〈選〉・布引の名水で作った豆腐か、滝を見ながら冷奴を食しているのか、わからないが清潔感

    に魅かれた。…つきひ

    ・美味だろうなあ。布引の滝で冷奴食すとは、スケールが大きい。見事。…ひろひろ

冷奴よくぞ男に生まれける         ろまん亭①

〈選〉・夕方、まだ西日が射すのに、一番風呂から上がり、団扇片手に上半身はだかでステテコ

    姿。「とりあえずビール」の一杯。中七下五のありふれた陳腐な表現が、いかにも昭和

    のおじさんらしくて、お相伴したくなる。なかなかいいではないか。…播町・選外

     ・手間いらずの男っぽい料理だが、美味い。…見水

久しぶり友とビールと冷奴          一風②

*やあやあまず一杯。

〈選〉・友、ビール、冷奴の見事な3点セットで言うことなしです。…ろまん亭

   ・あらまほしい風景。…稲村

山葵田の湧水清し冷奴              さくら④

*冷奴の薬味はいろいろありますが私は断然わさび醤油派です。美味しい冷奴をいただきながら

 山葵田に思いを馳せました。

〈選〉・「冷奴」の句は、涼しいか、美味しそうかが、勝負。冷奴に山葵はあり得ないと調べて

     みたら、レシピがずらり、これが美味いらしい。つ~んと鼻にぬける辛味と香りが、

     清涼をよびます、とのこと。…播町

   ・なんともすがすがしい句。山葵の緑、広がる青空、透き通る水、真っ白な冷奴、こんな

     景色の中で食べる冷奴は格別でしょうね。暑さを忘れる句です。…だっくす

   ・湧水を使った冷奴は、美味。…弥太郎

冷奴遺る昭和に身を置きて         つきひ①

〈選〉おろし生姜と醤油をたらして、昭和人間の自分を味わっている感じがいい。…へるめん

縄のれんくぐり馴染みと冷奴      弥太郎②

〈選〉・いざこれからと、楽しそうな姿が目に浮かびます。…一風

    ・みんなと会って語り、飲み食いしたい!! 閉鎖社会、早く元へ戻りたい!!

    …ひろひろ

冷奴食欲すすむ昼餉かな           稲村

トッピングあれこれ変へて冷奴           だっくす③

〈選〉・和風も良いけど洋風、中華風も。飽きないです。…どんぐり

   ・中性の豆腐はトッピングであれこれ味が変わり楽しめるところが魅力。…ろまん亭

冷奴日照不足も気にかけず        蛸地蔵

冷奴薬味は各自好きずきに        どんぐり

冷酒を飲みて味わう冷奴            英

コロナ禍に憎々しげな冷奴         見水

*憎いコロナ。スーパーの「冷奴」の字面も怒っている。

炎 暑 炎暑来て梅のジュースに生き返る つきひ「俳句の時間」

炎暑の日本朝昼晩とシャワー浴ぶ  ひろひろ

*80%以上の湿度と高温、たまりません!!

逼塞のアラート列島炎暑くる     へるめん③

〈選〉・日本列島の厳しい夏。開けてほしい風穴への願望。…つきひ

    ・コロナ禍で、まるで犯罪予備軍のように引き籠り状態の高齢者に、追い打ちをかける

    ように炎暑で、熱中症の不安が……。だが、高齢者ばかりの句会の筈なのに、この作者

    の力強さは大したもの。コロナウィルスを吹っ飛ばす若さがある。…播町

   ・日本の現況をよく描写している。…稲村

休-延-止-不-閉-縮-粛なお炎暑   播町③

〈選〉・もういい加減にしてほしい気持ちがよく出ている。…見水

    ・スマホ(略字)時代の新しい俳句の形でしょうか?…一風

   ・グッド!コロナ時代を反映した配意句です。…蛸地蔵

炎暑なり雨が明ければ思いやる  ろまん亭

長雨に厭きて炎暑を待つ気分          一風③

*今年の梅雨は長い。雨と暑さとどっちを選ぶ?

〈選〉・今年の梅雨は、長かった。家中黴だらけ。…ひろひろ

    ・そのとおりでした…英

   ・人の心とはそんなものですね。…稲村

炎天下球児の居なき甲子園         さくら②

*今年は夏の高校野球も中止となりました。倉敷の孫も甲子園目差しがん張って来たのに

 とても残念です。

〈選〉高等学校選手権大会の中止。ファン、選手も残念なり。各学校のグランドはいつも

   ガラガラ。寂しい限り。…ひろひろ

喪の花の白蝕みてゆく炎暑        つきひ③

〈選〉・大切な人への供華が暑さで萎れてしまった。我が心もぐったりと深い悲しみに。

   「白蝕みてゆく」が良い。…さくら

   ・白い花びらから傷んでゆくのをながめている喪の期。静かでたまらなく暑い。

    …へるめん

炎暑さけ信号を待つ柱影           弥太郎①

〈選〉街でよく見かける光景。…英

蝉叫ぶカンカン照り下畑に出る         稲村

被災地を思ひて凌ぐ炎暑かな           だっくす⑥◎◎

〈選〉・九州で線状降水帯の豪雨。復旧作業の苦労に比べればこの暑さなど。…見水

    ・大水害にコロナ禍での避難生活。その苦労を思うとこの暑さなど嘆いておられない。

    深い思いやりの心情。…さくら

    ・同感。…英

    ・被災地を思う気持ちが伝わってくる。…稲村

炎暑待つ気分も薄れステイホーム   蛸地蔵

自販機のコインの戻る炎暑かな        どんぐり⑦◎◎◎

〈選〉・自販機の調子まで狂わせた炎暑。コインを入れなおす汗の人が目に見えるようだ。

    …つきひ

   ・梅雨じめりの季節に作句して、炎暑の季節に選句という、どちらに比重をおくか、

   難しい選択を迫られた「お題」だった。ここはやはり炎暑に集中でしょう。ある昼下

   がり、焼けつくような暑さの中、気が進まない用件で、小さな駅で降りた。道路沿い

   にぽつんとある自販機。冷たいコーヒーでも飲もうと、コインを入れたが何だか動き

   が悪くて、戻ってきた。なんだかなあ。…播町

  ・日当たりにある自販機、早く冷たいものが飲みたいのにコインが戻ってきてしまった。

   もう一度入れて出なかったらどうしよう、と焦る姿が見えます。…だっくす

  ・あまりの暑さに、機械も狂ってしまう。…弥太郎

コロナ禍に炎暑待望日々長く            英

阿蘇炎暑志村園長待ちわびる          見水

*「阿蘇カドリー・ドミニオン」ではパン君たちが今も志村園長を待っていそう。

自由句 句に詠まれゐること知らぬ大毛虫 つきひ「俳句の時間」

朝食夏長芋みそ汁おろしじゃこ         ひろひろ

*夏の朝はさっぱりと胃に運ぶ感覚で!!

〈選〉「朝食夏」はちょっと無理ですね。ここは素直に「夏の朝」とすれば、美味しくさっぱり

   と頂けましたのに。……播町・選外

その中に笑みある羅漢大夕焼         へるめん⑤

*たくさんの羅漢さんの中、呵々大笑の笑い羅漢さんではなく、ドジと反省と後悔の私に

「まあええんちゃう?」と言ってくれてるような「らかんさん」を思って詠みました。

〈選〉・小暗さの中に色んな顔をした羅漢像、その中に笑む像もあり安堵。…どんぐり

   ・色彩のない羅漢を見ていたら笑顔の羅漢を見つけた。背景は一面の夕焼けで、大らか

    な気持ちになる句だと思いました。…だっくす

   ・「笑みある」場面の少ない昨今、温かいものが感じられて気持ちが落ち着きます。

    …一風

   ・いかつい羅漢様の中に笑んでおられる羅漢様を見つけた。聖者も夕焼けの中では親し

    く、懐しく。その笑みにほっこりと。…さくら

コロナ禍の些事も大事も端居かな   播町①

〈選〉そうですね。何かあっても、ずっと家に籠りきりでした。落ち着いていたのか

   諦めていたのか…。…だっくす

ただ昼寝している如し今日も病む   ろまん亭②

〈選〉静かに臥せっている今日、元気になってね。こんな言葉みつけました「臥遊」。

   …へるめん

サクサクと鱧の骨切り身が縮む        一風

*切り身はあるけど近頃見なくなったなあ。

思慮の距離空けて沙羅観る念仏寺   さくら③

*コロナ禍の中、一時の安らぎをと沙羅の花を観に行きました。念仏寺は全国にありますが、

 有馬の念仏寺の景です。ソーシャルディスタンスを守りつつ、しばしの鑑賞でした。

〈選〉・沙羅との距離を思慮の距離とは言い得て妙。念仏寺も効いている。…つきひ

   ・はやり言葉のソーシャルディスタンスを花の念仏寺で感じうまく表現した。…ろまん亭

  ・どんな一句を捻ろうか。…へるめん

百日紅さへモノクロに訃報以後         つきひ

望郷と祈りの葉月巡りくる          弥太郎④◎◎

〈選〉・一番のお気に入りの句。…英

    ・正に重厚・安定したザ俳句。相撲なら三役級。…蛸地蔵

拭いてなお目に入る汗肥料ふる         稲村②

〈選〉・自然と向き合う本来の姿のように感じられて。…一風

   ・リアルな句。実践者しか作れない写実句です。…蛸地蔵

復旧の道のり険し梅雨出水        だっくす①

〈選〉突然の想定外の大水害に復興への思い。…どんぐり

コロナ禍に思う事など夏の月             蛸地蔵

〈選〉うっすらと見える夏の月を眺めていると、コロナ禍で人々のこころも縮み、地球全体も

   縮んでいっているように思えます。……播町・選外

合鴨を放つ田んぼの朝曇           どんぐり②

〈選〉・鴨は冬の季語ですが、ここでは合鴨、しかも合鴨農法=合鴨を害虫駆除や除草に用いる

    稲作の農法のことのようです。朝曇りは夏の季語。朝もやがかかったような曇り空の

    うちに合鴨に一働きしてもらおう。朝曇りの日は、日中はどんどん暑くなる。「放つ」

    で麦藁帽をかぶった農夫の元気な姿が浮かびます。…播町

   ・鬱陶しいコロナ、田園地帯で稲が青々と育っているとほっとします。…見水

水面に並ぶ乙女か紅蓮か          英①

〈選〉紅蓮を見て、美しい乙女を連想。…弥太郎

所在なく季節過ぎゆく夏木立      見水③

*春・夏イベント中止、季節感のないまま8月。

〈選〉・蟬が鳴き涼しい木蔭に人影もない今年。季節はただ変わる。…どんぐり

   ・コロナ禍で今迄の日常が一変した。気がつけば夏。夏木立の風に触れたい。所在なき、

    に共感。…さくら

   ・生い茂る夏木立も、季節と共に消えていく。…弥太郎

コロナの時代に 皆さんからの近況報告

コロナ禍の中で、皆さんがどう暮らしているのか、投句に添えた近況報告から。

ひろひろさん

「夏は5時起き、牛乳と薩摩芋の朝食後、犬の散歩約60分、夕方30分、で毎日10,000歩近く歩く日課。今のところ、飯の味はわかるが、新型コロナにピリピリの毎日。嫁ハンがものすごい神経質になっており、少々困っています。下手なリコーダーも約60分練習に励んでいます。

追伸。おじんのサッカーで、右尻右足付根「肉ばなれ」で大変です。「サッカー止めとけ」とのことです。残念!! あと1週間で完治予定です。暑い暑い日が続きますが、くれぐれも身体を大切に!!」

へるめんさん

「7月3日に左眼の白内障手術を受け、7月17日に右眼も。自分や世の中がよく見えるようになるのはちょっとコワイです」

播町さん

「旅行、キャンセル。観劇、キャンセル。講座、キャンセル。三木句会、キャンセル。遺作展、キャンセル。飲み会、キャンセル。スケジュール表に残っているのは、〇○科、××科、△△科の受診予約のみ」

ろまん亭さん

「写真の仲間と久しぶりに会ったり、週1でデイサービスに行ったり、その他いろいろ、それなりに忙しい日々です」

一風さん

「毎日元気で過ごしています。コロナ禍で思い切って出かけられないのが残念です。体力のある間に子供の時によく行った芦屋川から六甲山・有馬越えして温泉に入るというのをしてみたい。そんなことばかり考えています」

さくらさん

「ほぼ引き籠り、時々ウォーク。外出は短時間で…おかげで筋肉落ちてしまいました。趣味の三味線や胡弓もケースに入ったまま冬眠状態。楽器がかわいそうですね!! 気持ちはあるのですが…がん張らなければ…と。俳句は時々作り頭の体操してます」

稲村さん

「コロナ下、ようやく7月下旬から加古川市内での古文書の会が、検温・マスク・広い間隔のもと再開しました。他の催しはほとんど中止。幸い?1町歩の田とそのうち2反歩で夏野菜を栽培。出荷もあり、けっこう忙しく健康的な毎日?を過ごしています」

だっくすさん

「コロナで騒ぎだしてから、すっかり気力がなくなって毎日サボって過ごす癖がついてしまいました。今日しなくてもよいことは明日しようということばかり考えて…。困っています。家籠りで歩かないためフレイルに陥ったりと脳も体も衰え切っています。これ、すべてコロナのせいにしようかな」

蛸地蔵さん

「コロナ疫病のますますの勢いにより、刺激のない日々を送るにつき、身心だらけきっています」

どんぐりさん

「マスクのお陰でお化粧の手間が省けて楽ちんです。日々の暮らしもぐうたらしてます。このまま続けば私はどうなるのでしょう…」

英さん

「皆さんに会って話がしたい。図書館も居酒屋も閉まっていた頃、本当につらかった。元気で皆さんに会える時を楽しみにしています」

見水さん

「車を16年ぶりに買い替えましたが、泊りがけの遠出はしていません。脳トレにナンバープレース(数独)をやってみたものの、時間がもったいないので中断。息子が満員電車で大阪に通勤、感染しないか心配です」

「叡子」物語 椿子に絵日傘持たせやるべきか 虚子

つきひさんは、今回、「遺る昭和」「喪の花」「訃報以後」と、句に詠みました。

「コロナ、梅雨の大雨、これから来る猛暑としんどい事ですね。そんな中で、わが師千原叡子先生が永眠されました。叡子ロスから未だ脱出出来ておりません」

千原叡子さんは1930年生まれですが、高浜虚子が1951年に書いた「椿子(つばきこ)物語」(青空文庫で読めます)に登場します。虚子はかつて兵庫県和田山の旧家の俳人を訪ねた折、少女時代の叡子さんに出会いますが、その後美しく成長して鎌倉の虚子邸に来た叡子さんを見、ふと、人から貰い受け「椿子」と名付けて手元に置いていた人形を叡子さんに贈る、というお話。漱石や子規と同時代を生きた虚子から見れば孫の年齢ですが、そんな繋がりもあったようです。

四半世紀にわたる千原叡子さんとの日々。つきひさんの喪失感は大きいようです。

講 評 ――――――――――――――

最初に選句前の選句表を見た、つきひさんの感想は、

   久しぶりにランダム会員の皆様の句に出会い、

   作者を想像するのは楽しかったです。

選句を終え、作者のコメントや近況報告に接した、つきひさんの講評です。

 ・締め切り日を守って14人の投句があったことが素晴らしい。作者コメント、近況

  報告、選句理由を読むのも楽しくwithkorona時代にふさわしい句会となりました。

 ・添削は苦手ですが、今回は作者コメントがあり助かりました。

 俳句を詠むときは

 ・詠みたいことを一つに絞ってシンプルに詠む、あれもこれもと盛り込まないこと。

 ・季題(季語)を理解し、詠みたいことを季題に託すことを心がける。

 様にして頂ければと思います。

高得点句

選句により、全部の句に点数が付けられ、作者も明かされましたが、今回の高得点ベスト5を再掲します。

  自販機のコインの戻る炎暑かな     どんぐり  ⑦◎◎◎

 被災地を思ひて凌ぐ炎暑かな    だっくす  ⑥◎◎

 その中に笑みある羅漢大夕焼    へるめん ⑤

 山葵田の湧水清し冷奴            さくら      ④

 望郷と祈りの葉月巡りくる           弥太郎    ④◎◎

コロナ禍と酷暑で家に引き籠り、とは思えない、ほっこり気分になります。

添削例

前回の第30回御影句会から、新しい試みとして、点数が取れなかった句をどう添削すればいい句にできるか、みんなで意見を出し合いました。

今回は、つきひさんに、今回点数が取れなかった句から4例を選び、添削していただきました。

1例目(添削前)冷奴昔も今も木綿絹 を、作者のコメントから、

   (添削後)豆腐屋の鈴なつかしき冷奴

   としてみました。

2例目(添削前)蝉叫ぶカンカン照り下畑に出る を、

   (添削後)カンカン照り下畑仕事や蝉しぐれ

   としてみました。蝉叫ぶといわなくてもカンカン照りで厳しさは十分伝わってきます。

3例目添削前)コロナ禍に思うことなど夏の月 を、

   (添削後)コロナ禍や赤く大きな夏の月

   としてみました。赤い月で不安感が伝わらないでしょうか。

4例目添削前)コロナ禍に憎々しげな冷奴 を、

   (添削後)コロナ禍を怒る字面の冷奴

   としてみました。作者のコメントをそのままの方がわかりやすいのでは。

   怒る字面が面白いと思いました。

獲得点数により賞が決まりました。

優勝はへるめんさん(11点)、準優勝はだっくすさん(10点)。

他のメンバーは、さくらさん(9点)、どんぐりさん(9点)、弥太郎さん(7点)、播町さん(6点)、一風さん(5点)、つきひさん(4点)、ろまん亭さん(3点)、見水さん(3点)、稲村さん(2点)、英さん(1点)、蛸地蔵さん(0点)、ひろひろさん(0点)。

さくらさん、だっくすさん、へるめんさん、播町さん、弥太郎さんは投句した句すべて得点し、パーフェクトです。

今回の兼題ごとの高得点者にも賞。『冷奴』はさくらさん(4点)、『炎暑』はどんぐりさん(7点)、『自由句』は弥太郎さん(4点)。

つきひさんが選ぶ「つきひ特別賞」は「ただ昼寝している如し今日も病む」を詠んだろまん亭さんに。「季題は昼寝。傍目には昼寝しているのか、安静のために寝ているのかわからない。病む人の切ない気持ちが出ています」が選定の理由です。

賞品は、ステイホームにふさわしく図書カードを送らせていただきます。

 

            受賞者       賞 品   

 優 勝(向日葵賞) へるめんさん   2000円の図書カード

 準優勝(朝顔賞)  だっくすさん   1000円の図書カード

 冷奴賞       さくらさん    1000円の図書カード

 炎暑賞       どんぐりさん   1000円の図書カード

 自由句賞      弥太郎さん    1000円の図書カード

 つきひ特別賞    ろまん亭さん   1000円の図書カード

 

女性軍対男性軍では、女性軍5人で43点、男性軍9人で27点。男性軍の倍返しの悲願空しく、今回のステイホーム句会でも女性軍大勝利で句会は終了しました。

パソコンやスマホでお互いの顔を見ながら行う「リモート」句会にはなりませんでしたが、どこかでみんなで一緒に集まったかのような、楽しい句会になりました。

さて、今夜は、お気に入りの豆腐に好きな薬味を載せて醤油を垂らし、冷えたビールか冷酒、ノンアルコールビールでもぐいっと飲んで、残暑を吹き飛ばしましょう。

今回の企画にご協力いただき、ありがとうございました。

コロナ禍は8月14日現在、国内で5万人、世界で2千万人が感染。まだまだ続きそうです。

お気をつけてお過ごしください。全員でお会いできる日が楽しみです。

次回のご希望やご提案があれば一風幹事長まで。

 

 

 2020.8 絵手紙/bantyo,tukihi・書/herumen・写真/mimizu・文/mimizu

 

 

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