神戸RANDOM句会

シニアの俳句仲間の吟行・句会、俳句紀行、句集などを記録する。

2012=夙川句会

2013-04-25 | 吟行句会

ょっセレブ夙川句会







「夙川沿いのお花見
+色の魔術師―トラモンティ展鑑賞つきミュージアム茶室句会
+エクセレント・ダイニングカフェでの夕食―
と、ちょっぴりセレブな気分を…」
桜の季節、心ときめく第14回RANDOM句会の案内状が、だっくすさん、りっこさんから届きました。


夙川 
旅人の鼻まだ寒し初ざくら 蕪村

くもり一時雨。気温は2月下旬並み、冬の服装でおでかけを。阪神間の桜は五分咲き…と、浮かれ気分が半減する天気予報です。

阪急三宮駅の東口改札前。集合は午前10時30分。少し前に着くと、イカリスーパーから出てきた播町さん、大きなレジ袋を抱えて「豪華花見弁当や」。“セレブ句会”はすでに始まっていました。
手頃なお花見弁当と缶ビールを買って出てくると、もう全員おそろいです。

花冷も心あったか句会かな 稲村(1)(数字は句会での得点)

だっくすさん、つきひさん、りっこさんと女性は3名。男性はひろひろさん、播町さん、稲村さん、弥太郎さん、一風さん、見水さんの6名。本日の参加者は9名。女性陣が少なく、男性軍勝利のチャンスです。カメラマンのろまん亭さんが欠席なので今日は播町さん、見水さんが写真撮影。
10時32分発の梅田行き普通に乗り、車窓に流れる六甲・住吉・岡本・芦屋の春景色を楽しみながら10時49分夙川に到着。ここで先着の弥太郎さんが出迎えてくれました。




一刷毛に夙川を染む桜かな 播町(2)
寒冬に耐えし桜の花の色  弥太郎


澄んだ水の流れと桜が目に飛び込んできます。ホームも駅前広場も花見客でいっぱい。

夙川のちょっとセレブな花の風  つきひ(3)
青い眼の女(ひと)の和服や花の宴 りっこ(1)
諸々のことはさておき花人に   だっくす(4)


大混雑の駅前広場を抜け、川沿いに阪神香櫨園駅へむけ南へ下ります。だっくすさん、りっこさんは駅前の和菓子店で句会のおやつの鶯餅を人数分購入。




お花見 
山又山山桜又山桜 青畝

五分桜人の心は満開に      見水(1)
花を見て老いた人々若返り    一風
花に人行き交う顔は美男美女   ひろひろ(1)


夙川の花見は阪急から上流がメインですが、下流側もあちこちブルーシートで場所取りしています。

あこがれの夙川の地で花をよむ  稲村
夙川は今たけなわの花の宴   稲村(1)
その中にひっそりとした花ござも だっくす(2)
地は羽衣川は夙川花さくら   稲村
桜の名所・夙川に羽衣の地名。美しすぎますね。
老桜の水吸うてなお華やげり   播町(1)
入学の子と母と父花堤       播町(1)


「水吸うて」の水は夙川の水。今日は近くの中学校の入学式があったようで、親子が花の下を歩んでいます。最近は父親も付いていくようなので、と作者の弁。

咲きました若木と並び老い桜    弥太郎(2)
黒い幹ねじれ桜も咲き始め    弥太郎
大地から穀霊醒ます花の精    弥太郎


「穀霊」は桜のこと。桜は稲作の精霊。と説明をうかがって納得。

咲き初めし桜ひとひら味わへり    りっこ

五感で確かめるアーチスト・りっこさん、さくらの花びらを口に入れてみましたが…。
お腹が空きましたね。まだ正午には時間がありますが阪神香櫨園駅は目の前。手頃なベンチがあり、あちこちで花見の宴も始まっています。RANDOM句会もここらで昼食タイムにしますか。



花の道そぞろ歩いて缶ビール      見水
せせらぎに電車の音も混じる春 見水(1)
花の下ままごとの子ら睦まじく 見水


 青空の下、桜を見ながら食べるのは、なんと気持
ちのよいことでしょうか。つきひさんのお花見弁当は、淡路屋の「平清盛たこしゃぶちらし」。

青空に花鈍色に透けてをり つきひ(1)
曇天に桜の静けさまた楽し 一風
桜見て互い見つめて添うふたり 一風
花のとき人それぞれの愁いかな 弥太郎(1)


ひろひろさんは、缶ビール2本を空け、演歌の世界が顔を出しています。

春昼や猫も杓子も赤ら顔  ひろひろ
夙川に夜桜お七男坂    ひろひろ




「そろそろ、出発しよか」。句会場の西宮市大谷記念美術館へ。

花冷えの川跨ぐ駅へ橋三つ 播町(1)
語りつつ句会場まで花の道 つきひ(4)
庭の隅静かにゆれる沈丁花 一風


阪神香櫨園駅から43号線・阪神高速をくぐり、閑静な石畳の住宅街を西へ。満開のミモザに息をのみ、道の両側に咲く菜の花や水仙、雪柳、沈丁花などの花々に春を感じながら歩きます。
ただし「花の道は桜の咲いている道ですからね」とつきひさん念押し。





色の魔術師 
見かぎりし古郷の桜咲きにけり 一茶

西宮市大谷記念美術館は、実業家の故大谷竹次郎氏(富山県出身で戦前「鉄鋼王」で名をなし後にホテルニューオータニを建設した実業家・大谷米太郎の実弟)が西宮市に寄贈した美術品と邸宅をもとに、昭和47年にオープンした宏壮な庭園のある美術館。




 ちょうど今日4月7日から「色の魔術師―グェッリーノ・トラモンティ展」が開催されています。

彫像の瞳のほの暗き花曇 つきひ(1)

美術館に置かれた岡本太郎の「午後の日」のイメージで詠んだ句だそうです。
全員で句会場の設営をした後、出句締切の午後1時30分まで、トラモンティ展会場を巡って、句づくりに挑戦です。

グェッリーノ・トラモンティ(1915~1992)は、人物や猫、野菜、魚などの身近なモチーフで色彩豊かに絵付けをした陶板、器、陶額を制作し、絵画も残したイタリアの陶芸家・画家です。

初期の素朴なテラコッタの彫刻に始まり、1階、2階の展示場を埋め尽くすカラフルでシンプルでおおらかでキラキラ輝く壺や大皿の陶器が目を楽しませてくれます。どれも古代ギリシャ・ローマからピカソ・マチスに至る南欧のアートの深さ、豊かさを感じさせる作品達でした。

イタリアンアートも輝く春来たり 見水(1)
花の色トラモンティの色に酔ふ  だっくす(2)


ミュージアム 
海手より日は照りつけて山ざくら 蕪村

長年近くに住みながら、大谷記念美術館に入館したのは今回初めて。こんなに素晴らしい美術館とは知りませんでした。とくに手入れの行き届いた庭園の美しさ。島根の足立美術館を思い出します。

花疲れ横座りして眺む庭 だっくす(2)

男には作れない句、と男性陣声をそろえましたが、さすが日野草城はこんな句を作っていました。

ぼうたん(牡丹)や眠たき妻の横坐り 草城





茶室句会 
顔に似ぬ発句も出でよ初桜 芭蕉

午後1時30分が5句出句のしめきり時刻。

美術館の庭園に面した広い和室「緑爽庵」での句会のはじまりです。

提出された短冊をバラし、手分けして清書。選句表を完成させ、全員にコピーを配付。コーヒーをいただきながら、午後1時55分、つきひさんとだっくすさんの進行で句会が始まりました。

まず、20分間かけて各自、他のメンバーの句を選びます。6句選んで、特選句1句は2点、その他5句は各1点、と各人の持ち点は計7点。参加者9名の総点数63点の争奪戦です。

今回も9名がそれぞれ特選句(◎)に選んだ句に、豪華百均賞品をプレゼント。その句を2人が特選句に選べば賞品は2つです。
見事特選句に選ばれたのは、次の6句でした。

五分咲きを待ちかね花の人となる りっこ ⑨◎◎◎
ねじれたる老木すがしき花つけて りっこ (5)◎◎
石畳ミモザの似合ふ香櫨園    りっこ (6)◎


今日のちょっとセレブなお花見句会はりっこさんがダントツ。◎も6個獲得。さすがアーチスト、的確な観察・表現・説得力に全員脱帽でした。

夙川や耳は瀬音に目は桜     稲村  (2)◎
飛び石の橋の向こうも花の道   だっくす(3)◎
川ヲ見テ空見テ春ノ愁ヒカナ   播町  (2)◎


以上で本日の句のすべての獲得点数が決まりました。
総点数63点の行方は、女性軍3名で44点、男性軍6名で19点。女性軍の圧勝でした。また、だっくすさん、つきひさん、播町さんは出句した5句すべて得点のパーフェクトでした。



表彰式です。各賞と受賞者は、次のとおりです。
1位 優勝    りっこ (21点) 
2位 準優勝   だっくす(13点) 
3位 殊勲賞   つきひ (10点) 
4位 敢闘賞   播町  ( 7点) 
5位 技能賞   稲村  ( 4点) 
6位 夙川賞   見水  ( 3点) 
6位 逆引技能賞 弥太郎 ( 3点) 
8位 逆引敢闘賞 一風  ( 1点) 
8位 逆引殊勲賞 ひろひろ( 1点) 

賞品はフーケの洋菓子。予定より早く午後4時すぎに句会終了。会場の後片付けをし、時間まで見残した「グェッリーノ・トラモンティ展」を鑑賞。

 あとで届いた播町さんの感想。
「神戸RANDOM俳句会」、記念すべき10周年句会は、セレブ女性3人組の圧勝に終わり、男性軍は全員1ケタ得点。なかでも優勝のりっこさんは特選◎を6つもとる不滅の記録。

 これに対しいつも優勝候補の見水さんの惨敗ぶりは目を覆うものがありました。この3月で登り坂を頂上まで登ったという満足感とこれからのゆるやかな下り坂へというストレスのせいでしょうね。そしてメンバー全員が60歳以上となりました。

 毎回の新趣向、今回は「色の魔術師―トラモンティ展」を初日に鑑賞し、しかも展示室の隣りの茶室で句会という贅沢さでした。
 

エクセレント・カフェ 
さまざまの事思ひ出す桜かな 芭蕉

午後5時、阪神香櫨園駅東のイタリアンレストラン「Vege+Cafe」到着。新鮮な野菜を使ったおしゃれな料理店。花と緑に囲まれた明るいテラスの席で春の宵の晩餐会です。ビールで乾杯の後、白ワインで料理をいただきながら、句会の反省。



「今日は大和が沈んだ日やで」
一風さんとひろひろさんの1句は、今朝の朝日新聞の「天声人語」で紹介された67年前の4月7日の出陣前日に瀬戸内海の桜を目に灼きつけ「内地ノ桜ヨ、サヤウナラ」の言葉を残した乗員の記事に触発されて作った句でした。

今日の日に逝きたる大和桜咲く 一風(1)
花ひかるひとひらひとひら母心 ひろひろ


つきひさん、美味しい料理とお酒が入って、はっきり思い出したようです。
「川崎展宏さんの戦艦大和の沈没の句はね…」

「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク 展宏 

「ヨモツヒラサカは古事記に出てくる黄泉の国との境にある坂道のこと」。古代史研究家・弥太郎さんのミニ解説。





 そして話題は不評ながら神戸も舞台のNHK大河ドラマ「平清盛」。時代考証のことや、9年前に稲村さんのガイドで歩いた「兵庫津の道」のこと。稲村さんは今年も地元の人たちを清盛像などに案内したそうです。

尼崎で育った一風さんは、かつて海水浴場だった頃の香櫨園浜の思い出を話します。野坂昭如「火垂るの墓」や谷崎潤一郎「細雪」にも夙川は登場します。話は尽きません。

さくらよむ夙川王子句合戦  ひろひろ

桜の句はこのRANDOM句会でもあちこちで作りました。去年の東日本大震災直後の王子公園句会の桜吹雪は圧巻でしたが、石山寺、龍野、有馬でも。
「日本人にとって桜は戦争の記憶と切り離せない特別な花なんですね」
つきひさんの句も、お父さんが戦地から帰還した幼い日の記憶でした。

復員の父を囲みし日の桜  つきひ(1)




お世話いただいた、だっくすさん、りっこさんに心から感謝。
そして、次回の句会に期待。皆さんご健康で。


夙川句会 = 2012.4.7 写真/bantyo,mimizu文/mimizu






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2011 桜乱舞 王子動物園句会

2013-04-08 | 吟行句会
桜乱舞 王子動物園句会







開園60周年の王子動物園 10時。つきひ、さくら、ひろひろ、播町、だっくす、どんぐり、英、ろまん亭、一風、蛸地蔵、りっこ、集合(順不同)。稲村さん、弥太郎さんは句会場で合流する。見水さんはご用があり句のみ参加。



うすぐもりなれど、花もあり、若葉もあり、良い日になりそうと期待が高まる。65歳以上は入場無料の園内へ。
まずは左手、フラミンゴ。オレンジ色のロマンチックな鳥たちが、にぎやかに鳴き交わす。「羽の裏と嘴の先は黒いんや」などとことらもにぎやかに観察。
「中の島でしゃがんでいる数羽は卵を抱いている」と王子動物園に勤務する蛸地蔵さんの説明。なるほど立ち上がったフラミンゴの足元に卵がある。「つがいで温めるんかナ」「これだけおったら父親がわからん」「乱婚やナ」「ハーレムや」と人間の感想を言い合う。数字は得点数。



雀までなんとにぎやか花見かな 0   稲村

全員ほぼ一緒だったのはここまで。自然に思い思いのところへ。と、突然、思いがけない息をのむ程の花吹雪。
名句がたくさん生まれました。

猛吹雪但し桜のと予報士が 0   播町



桜の猛吹雪はうれしい。
本日の最高点の1つ。桜情報を気にしながら準備してくれただっくすさんの思いがにじむ。
「前掲の句に多く点が入ってなんでこれに入らへんのやろ」とひろひろさん。百年に一度という表現には地震への思いもある。地震と花吹雪の関連が見えない。前掲句は豪華と言わずにすごさを思わせる。など意見が続出。そして、あとの懇親会でこの句を◎にすると、つきひさんの重大変更があるなど話題作となった。

踏みしめる桜の花びら香りたつ 4   一風
「桜の花びらって香りするんか?」「する、感じられた」

花吹雪阪急各停先頭車 0   播町
花吹雪遠き先よりひしひしと 0   蛸地蔵
花びらに交じって飛ぶはひらひらと 0   ひろひろ







散る花は動物たちを喜ばせ、園全体が飛花の渦にのまれました。


本当にでっかい舌がすっと伸びた。

パンダ舎へ花の風紋踏みながら 6   つきひ

「風紋というのは普通砂丘とかを言うんだけど…」とつきひさん。辞典では砂丘などとあるから花の風紋はいいヨ」たしかに花びらが風紋を描いていました。





動物園といえば百獣だよネ。



「土色」が話題に。象はだいたいそんな色だが…。イヤ象は鼻で自分の背中に土を吹きかける。王子動物園はそんな自然な姿を大切にしていると作者。



昼寝は夏の季語や。投票してしまったけどシマッタ。



桜満つ句会の季語に散りぬるを 0   ひろひろ





黙々と花の屑掃く仕事人 3   さくら




花びらも一緒に食べる。
「ひとつ聞き……」の句。
そのとおりや、身につまされると投票したのに、これは女性へのエールと作者に言われて「ナニソレ!」とブーイング。
「支柱受け……」
神戸の開花情報の基準。もうだいぶ樹齢を経てきた。いつまで標準でいられるかしら。



花の動物園は句材がいっぱい。
「神戸では……」
意味が深い。原発に汚染された海、被災から16年経った神戸、東北への思いが伝わる。





ロマンがある。



羽をひろげた孔雀の姿は見事。



拍手する子供の笑顔の先に象 0   一風
山孫と祖母手を振る写真の背に桜 1   一風
まや山もアシカの池も春眠る 0   ろまん亭






動物たちの表情にはヒトも思いを寄せてしまう。特に霊長類には…。



ジョニーへの伝言、60年待っても届かない。
ジョニーは日本一長寿のチンパンジー。風格あり。






ジャイアント・パンダは無心(?)に笹をたべる。

毎年の花の姿に違いなし 0   蛸地蔵
花冷えの路を昼餉へ急ぎけり 1   播町
老い桜小枝の先の淡い色 2   弥太郎






それにつけても心痛むのは3月11日の東日本大震災のこと。
「タイムリーな時事句」「現地との落差を感じる」

大地震の復旧遠し花は葉に 7   だっくす

時は移るのに壊れたものの復旧が見えないもどかしさ。

北上の岸辺の無残啄木忌 1   見水
望郷よ北国の春歌う友 0   ろまん亭



あまりの痛ましさにお見舞いの言葉を失います。



そして、句会場は素敵な建物、神戸登山研修所内へ。

摩耶の嶺色どり添える山桜 1   一風
葉桜や岩登り登山研修所 0   どんぐり
レンガ塔青いツル草春日差す 0   弥太郎
新人に昔を思いにが笑い 0   英




四月馬鹿つまらぬネタで皆しらけ 1   英
春の坂紺の制服弾む声 2   弥太郎


松陰か海星か、まぶしい乙女たち。
以上、70句ですべて。それぞれが9句選し、1句に◎(2点)、自選1句。つきひさんの当を得た進行。ダーウィンも笑っているかナ。表彰式も同会場。7点句が2つもあるだっくすさんが24点で堂々の1位(でも賞品は得点の少ない順にもれいました)



お楽しみ懇親会は三宮・ミント神戸「うおまん」。
あ~あ、終わっちゃった。幹事さん、皆さんありがとう。
ランダム句会にはやさしさがある。
次は海を越え阿波徳島か、紅葉の京都嵯峨野か、それとも……。


2011.4.16 
文:りっこ 写真:ろまん亭



コメント (1)
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1999 敦煌・西安=播町

2013-04-02 | 俳句紀行


ほんたうに月と砂漠と駱駝かな


1999 敦煌・西安第1日★8月23日(月)

7:55 三宮交通センター前発バス。
9:10 関空着。トルコ組の地震でのアクシデントを心配、話題にしつつ。
10:55 関空(日本エアシステムJAS237便、機内昼食)→13:50(時差1時間)西安。

蜻蛉と王氏王嬢のお出迎へ

着後、マイクロバスで西安へ向かう。一面の玉蜀黍畑。やがて新興住宅地、体育館、企業団地など、洋風建築に変身中は咸陽市か西安市か。全員、1万円を中国元に両替。1元14円?
→15:20 北門(安遠門)をくぐり西安城壁内に入る。
→「鐘楼」。東大街・西大街・北大街・南大街の中心、周りはロータリーに。
→「碑林(ペイリン)博物館」1000基の石碑を集めた「石造文庫」。
→西安のシンボル「大雁塔」。聳立西安南郊大慈恩寺内、15元。夕暮れの市内四方を眺望。

大雁塔四方の街へ爽気かな
秋麗や槐の路は西域へ


→西安賓館(XI´AN HOTEL)☆☆☆☆
夕食:同ホテル内。旅遊局主催歓迎宴。日本語勉強中のワン・エイさん。


♪忘れ得ぬ人…♪
「心ならずも錫の容器を売らなければならないワンさんの表情が…。(Fu)」
小姐の日本語美し朱夏の宴

■旅行社スタッフ
・添乗員 結城嬢…近ツリ。大阪出身の20代女性、「中国人の日本語風に訛ります」。
・現地ガイド 王氏…敦煌で旅行社の経営兼ガイド、「市場経済」で一攫千金に燃える男。
・同 王嬢…西安外語学院出身、古代王朝の侍女風ながら端正な日本語を操る謎めいた女。
 

第2日★8月24日(火)

6:40 大きな弁当をもちホテルを出発。バス内で朝食。なかみは、ペットボトルの水(が入っているのにまず驚く)、サンドイッチ、甘い菓子など。喉を通らず。
7:40 西安離陸(中国西北航空公司便)→敦煌(国内機2時間20分)。服務員にこりともせず。
10:00 ローカル空港。着後マイクロバスで、敦煌賓館(DUNHUANG HOTEL☆☆☆)。
→徒歩で「敦煌市博物館」(10元)、ホテルに戻り12:00、昼食。今後の食事に一定の予感あり。昼寝タイム2時間。三人組、さっそく梨、葡萄の買いだし。

初秋や街にけなげなミュージアム
種ぷふと吹ゐて東路の青葡萄


敦煌という街
Fu:「いなかの街。ゆったりと時間が流れる。からっとした空気。人々は落ち着いている。街角の広告に、"アルバイト募集、月300元"とあった」



→14:00 南西70km「陽関」へ。四方ゴビ灘。広大、荒涼たる自然。高速路と電柱・電線のみ。このドライブ、圧巻。途中、下車してカメラ・タイム。蜃気楼にも感激。

ゴビ灘のとは永久の乾きや海市立つ

→15:00、陽関。唐の詩人王維「君に勧む、更に尽せ、一杯の酒。西のかた、陽関を出づれば、故人無からむ」。西域を体感。観光地に改造中。16:00発。

炎天やをんなあやつる裸馬
陽関の風抜けていく葡萄棚


→「白馬塔」
→「敦煌映画村」中国西北影視基地紀念。
→太陽能賓館で、例のごとき夕食(今回の旅、ビールとスプライトのコップ1杯はサービス)。
→18:30発、南6km、「鳴沙山」。駱駝に乗って「月牙泉」。砂丘の頂上へ、二人脱落。途中、夕日落ち、月昇る。文字通り月の砂漠。

♪♪(ご参考までに)月の砂漠(加藤まさを・作詞、佐々木すぐる・作曲)
月の砂漠を、はるばると、旅の駱駝がゆきました。金と銀との鞍置いて、二つならんでゆきました。
金の鞍には銀の甕、銀の鞍には金の甕。二つの甕は、それぞれに、紐で結んでありました。
さきの鞍には王子様、あとの鞍にはお姫様。乗った二人は、おそろいの、白い上着を着てました。
広い砂漠をひとすじに、二人はどこへゆくのでしょう。朧にけぶる月の夜を、対の駱駝はとぼとぼと。
沙丘を越えて行きました。黙って、越えて行きました。

秋天へ砂丘行く列影長し
靴脱げば新涼のごと鳴沙かな
泉湧くことの不思議や夕日落つ
ほんたうに月と砂漠と駱駝かな


→夜、五人組、陽関東路、沙州市場を散策。三国志トランプ(撲克)など。

敦煌の夜市唐黍まづ食つて
汗だくで値切る旅人や夜の市



第3日★8月25日(水)

この日は、砂漠の大画廊「莫高窟」特集。全員、懐中電灯、ペットボトル持参。無菌室に入るような装備のひとも。
午前:130窟の南大像、高さ26mなど。ちなみに100→130→148→172・173→96→320→16・17→328→329窟の順。
→敦煌市内に戻り、太陽能賓館で昼食。
→午後:再び、莫高窟、45窟の美人の菩薩像、57窟の壁画の菩薩像など(これらは別料金)、ちなみに45→46→55→57→61・62・63→427→428→419の順。計21窟を見学。16:30まで。


コスモスや女人菩薩は窟のなか
胡桃割るやうに窟入る窟を出づ
四十五窟菩薩は涼し会釈して
蝙蝠のやうな飛天もありにけり
石窟に飛天とびかふ涼しさや


→帰路、熱闘甲子園のごとくゴビの砂をお土産に。「莫高窟の本を買えばよかった。(Fu)」

ゴビの砂閉じ込め秋の旅かばん鞄

→絨毯製造販売店
→太陽能賓館で夕食。地酒敦煌は火の酒。勧君更尽一杯酒。「食事の時間の短さには辛いものがある。(Fu)」。5人で外へ夕食にでかけるべきだった、とあとで反省。

掛軸の絵に涼をとる旅半ば
火の酒を酌めば王維の詩爽やか


→敦煌賓館、
→夜、ツアー全員でバザール。陽関東路、沙州市場を散策。シシカバブを試食。焼き芋2個7元は高く買いすぎた。二人組、早退しホテルへ。エンゼルパラダイスを予定するも始まらず。部屋でビール。隣の部屋のビールも。冷蔵庫のビールは冷えていない。電源が入っていないのか。酒を冷やす習慣が無いのか。三人組は、玉蜀黍など買い、うち二人はホテル内で「足院」へ。「この日すこし元気が無くご迷惑を。敦煌ののんびりした雰囲気をもっと味わいたかった。(Fu)」

唐黍を選ぶをんなの夜長かな
煮て焼いて沙州市場の夜長し
梨を噛むベッドの男無口にて




■■ツアー・メンバー
①②③④⑤…
神戸5人組。
⑥⑦…
ヘビースモーカー・甘党男と買い物・おしゃべり好きの妻の「定年熟年夫婦」。羊羹をいただきビルのつまみにしました。
⑧⑨…
橿原市からビール喇叭飲み・痛風禁煙男とさっぱりした奥さんの「重量級中年夫婦」。
⑩⑪⑫…
しゃべりまくる中年女、買物にもいちいち文句を言われるその実母、二人から逃げ回る女子医大生の孫の「三世代女系家族」。
⑬…
一人で参加の仏教美術にやたらと詳しい「奈良高齢男」。
⑭⑮…
野球帽のちょっと中国語をしゃべる女とその友人の「中年女二人旅」。
⑯⑰…
無口な中年女と無口なその娘。「寡黙母子家族」。
計、男5人、女12人でした。


第4日★8月26日(木)


午前8:30ホテル発。「夜光杯」の製造販売店。
9:15 空港着。敦煌(西北航空)→西安12:30着。空港内のレストランで昼食。この旅は全食事つき、全中華料理。


→13:50発バスで、北東約40km。「秦俑博物館」(兵馬俑)。1号坑230m×72mから3号坑まで。兵馬俑坑の発見者、楊氏は販売本に署名中。兵馬俑坑発見から20年、付近は一大観光産業集積地に。

井戸掘れば石榴のやうに俑出づと
大屋根や晩夏に鬨のはぢけさう
サインする楊氏無言の秋灯下
楊氏またレプリカならんそぞろ寒


→16:00、「華清池」(30元)。突然激しい雷雨、稲妻、5ミリ角の雹の歓迎。雨宿り。まったく見学できず。それでも玉蜀黍を買う。17:00発。
→秦始皇帝陵を遠望しつつバスの窓から石榴買う。
→市内へ向かうも、大渋滞。運転技術と交通ルールの壮烈な実態。反対車線、歩道に乱入など夕暮れから夜の闇まで雨の中の2時間のスリリングな体験。

華清池に雹供として秋の雷
いなびかり貴妃も武后も壊すひと
石榴売る少女かほそきふくらはぎ
唐黍を食む渋滞に早や慣れて


→わずか30分の夕食(西安賓館)→20:35、ホテル前の「唐楽宮」で唐時代歌舞ショー。「この踊り、青菜のダンスのよう。(Mo)」。パトカー先導のVIPは何者か。
→ホテル内バーで、ちょっとドリンク。


第5日★8月27日(金)


6:00起床で三人組、あくまでも行動的。「小雁塔」まで散策、太極拳など。
→朝食バイキング、茶のみでミルク、ジュース、珈琲(中国では口偏)はなし。


太極拳媼ゆるりと今朝の秋
朝粥も西瓜も旅の食ひ納め
炎昼や出稼ぎのひと仕事無く


→8:30ホテル発。「西門」(安定門)、高速道路のような城壁。
→「鼓楼」(クーロウ)、5元で3打。
→昼食、「徳発長」。餃子のフルコース(50元)、百餃百味。

胡桃割るひと柘榴売るひと秋意
百餃百味なれどビールのなまぬるし
胡桃割る音に秋知る貴妃の街


西安の印象
Fu「期待したほどの街ではなかった。北京のよううに歴史がつぶされていく感じ。西の城門はロマンをかきたてられるまでに至らず」

→西安民間芸術館(土産屋)→空港で最後の買い物。喫茶。中国元、使い果たす。「1万円を使うのにこんなに苦労するとは…。掛軸は本当に気にいった物はなかった(Fu)」
14:45搭乗開始。
→15:15西安(JAS236便)→19:45関空(機内で夕食と買い物)。
→20:45K-JET→21:15バス→三宮。あいさつもそこそこに解散。

(1999.8)
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