最近暇つぶしがてらに、自家用車(マイカー)の購入手続きから税制、車検制度など一連の手続きや制度、税制などに関して調べているところです。
近々に車を買う予定があるとかそういう話ではなく、単なる暇つぶし。まぁ「マイカーは鉄道やバスなど公共交通機関のライバル」だと言われますが、ライバルだという前に相手のことを知らなければ意味がありません。少なくても法定費用や税金・制度に関しては知識として知っておいて損はないでしょう。
色々調べてみると、結構世間で言われている車に関するあれこれ話が、実は結構適当な感覚的なものだったり、10年以上前に制度が改定されているにも関わらず、伝統の如く語り継がれていたりと結構話半分な感がします。
実際に車を保有していても、手続き等やメンテナンスなど大半の部分は業者が代行してくれるので、興味がなければ正確に知らなくても大丈夫。というのあるようで・・。
今回はこの車の中であれこれの中で話半分だと感じたものの一つ「軽自動車は安い」という言説として「軽自動車と普通車の差」をまとめてみます。
私は田舎に住んでいますが、自分の車は持っていません。私の家の辺りは基本的に「近くに行くには圧倒的に車が便利だけど遠く(厚木・町田・横浜・都心辺り)に行くには電車が便利」という場所柄、車の必要性がそれほど高くない。というのはありますが・・・
地元の人に「車持ってない」というと結構驚かれることもあったり、だいぶ前の話ですがうちの親がセカンドカーが欲しさで、私に車通勤前提の会社に就職させて車を買わせようとあれこれと・・みたいなこともありました。
親を含め人に「車を買う金がない。車を買うぐらいの金があるなら他に使う」とか言うと「安い軽(自動車)を買えばいい」と返されることも多々ですが・・・・果たして軽自動車なるものはそんなに安いのか??
実際の軽自動車とそうでない車(普通車)の差額はどんなものなんでしょうか??

「軽自動車」というのは単に安い車、小さい車という意味ではなく、一定の規格(車体サイズ・エンジン排気量など)に収まった車に対しては、税制その他で優遇します。というもので、軽自動車かそうでないかは厳密に法制度で定義されています。
用語の「軽自動車」は、一定以上の排気量の2輪のバイクも含むようですが、ここでは4輪の「車」のみを軽自動車とします。また当然、事業用ではない自家用が前提です。
比較対象の普通車は1000ccクラスもしくは最大でも1500ccクラスの、軽自動車よりも1~2ランク上の一般的な乗用車とします。(高級車と比較しても意味がないので)
以下で思いつく項目ごとに見ていきたいと思います

軽自動車は年間10800円(2015年4月に値上げ。前は7200円)
普通自動車は、年間で1000ccで29500円、1500ccで34500円
自動車税に関しては軽自動車が最低でも年2万円安いのは確実。

2年分の1年当り、自家用、エコカー減税・経年13年超での割増なしの条件で
軽自動車:3300円、普通車(1トンまで)8200円、普通車(1.5トンまで)12300円
と軽自動車が最低でも年間5000円は安いよう。
「日本自動車整備振興連合会」の重量税計算ツールでいくつかの車種に関して重さを検索してみると・・
http://naspa.jp/
リッターカークラスのコンパクトカーなら1トンもしくは1.5トン以内、1500ccクラスぐらいの乗用車でも1.5トンまでで収まるかな・・・という雰囲気。人気の?トヨタアクア、プリウス共に1.5トンまでに該当。
ただこれはエコカー減税・経年13年超の割増がない。という条件下。
エコカー減税で「50%減税」「75%減税」「免税」があるので、エコカー減税対象外の「軽自動車」と、75%減税の「普通車1.5トンまで」なら普通車の方が安いなど逆転も発生。
重量税に関しては、エコカー減税や経年が同じ条件なら軽自動車の方が年間5000か9000円安い。ただ実際には車種選択や経年によりけりで一概どっちが安いとは言えない。軽自動車の方が安くなる可能性は高い。というのが結論

http://www.kurunavi.jp/guide/juryozei2.html

自動車税と並んで軽自動車と普通自動車で決定的な違いを発見したのはこれ
東名・名神など有料道路ではない狭義の高速道路では軽自動車は普通車よりも割安な通行料が適用されます。
具体的な料金を見てみると・・・

概ね普通車よりも2割弱程度軽自動車が安いことが分かります
20~30km程度の短距離でも通勤で毎日のように高速道路を利用するなら、年間で結構違ってきそうですね。(上表の大井松田~御殿場を月20往復だと年間で67200円の差


任意保険に関しては、運転者(被保険者)の範囲や年齢、補償範囲や金額、車種、等級、更に保険会社による差など、保険料を算出する条件が複雑で難しいですが、ここで参考になる記事を

http://allabout.co.jp/gm/gc/407878/
この記事では2015年4月の保険料改定を反映した内容で試算されています。まとめると・・
強制保険の自賠責保険では普通自動車と軽自動車の金額は2年間で1470円軽自動車のほうが安い。
任意保険での普通自動車の保険料は車種によって差があり、軽自動車の方が安いものの車両保険なしならば年間で5000円以下の差。
と保険料としてはあまり差がつかないと考えておいてよさそう。

車両購入価格としては、新車か中古か車種・グレードによりけり。定価からの値引きなども考慮すると、どっちが高い、安いとは一概には言えない状況。
例えば車種は何でもいいけど「絶対に新車に限る」という前提下で考えれば、軽自動車の方が低予算で購入可能なのかなと。また一定の予算内で探すなら、軽自動車の方が車種・グレードの選択肢が豊富になるので相対的に軽自動車が安いと言えるのかなと。
新車購入または経年の浅い中古車購入の場合は、自動車取得税の差(課税対象額から普通車は5%、軽自動車は3%)もあるので、この部分も軽自動車の方が有利なのかなと。
「新車購入なら軽自動車の方が低予算で買えるので有利」といっても、軽自動車の新車でも100万コースの買物になると考えておいた方が良さそうで・・
中古車の場合、車種・グレードの他に状態や人気などの要素も加わってくるので尚更複雑な状態。
以前に私は知人から「中古の車をただで上げるけどどう??」という打診を受けたことがありますが、中古車屋で有料で買った軽自動車と、無料でもらった普通車ならそりゃ無料の方が安いわけですが・・・
同じ予算で何かしらの車が欲しい。というのなら、新車と同じく軽自動車の方が選択肢が豊富(相対的に安い)といえるのかもですが、絶対的な金額だとどうなのかな??とここは私が調べた中ではよく分からなかったです。

軽自動車と普通車の違いで、都市部以外では「軽自動車は車庫証明が不要」という差があるよう。例えば神奈川県西部では秦野市や平塚市、小田原市では必要なものの、南足柄市やその他各町では不要。
ただ車庫証明が不要だといっても車庫(駐車場)は必要なわけで・・・。私の家の方の田舎なので、路上駐車で「この車いつもここに止まってるな~」とか、公園のような私有地ではない場所に「いつも止まってる車」を見ることもありますが、それはグレーゾーン(いやアウトか?)の領域の話。
また軽自動車の方が狭いスペースに止められるので、「軽自動車の方が安い駐車場を借りれる」という可能性もあるかもですが、実際どうなんでしょうか?
駐車場経費はそれぞれ場所や状況によりけりなので、「(特に車庫証明不要地域なら)安く済む可能性がある」程度の話かなと。また車庫証明取得手続き費用に関しても、車両購入時のみで5千円もしない世界(業者に依頼する場合は+業者手数料)と差は小さいよう。

「軽油でOKな軽自動車は断然有利」(大嘘

さらに実際の消費量である実燃費だと各人の利用形態にもよってくるので尚更に複雑な状態。
軽自動車で荷物や乗車人数が多い。スピードを出す。など高出力が必要な場面ではエンジン回転数が高くなり実燃費は急ダウンといった話もあるようで・・
少なくても「軽自動車ならガソリン代が安く済む」と一概に言い切るのは不可と考えてよさそうな雰囲気。
私のような素人ではなく車に詳しい達人なら、車種選定の時点で利用形態や想定年間走行距離を考慮して、購入価格対燃費がいい、コスパのいい軽自動車の車種を調べ上げて、普通車よりもかなり安く済ませることは可能なのかもですが・・・。

自動車の維持費の中でも金額的に大きい車検費用。保険代、重量税に関しては前述しているので、ここでは純粋な検査料とついでに行う整備代金の差を見ると、検査手数料では僅か300円の差で軽自動車が安い状況。
整備代金、及び業者に委託した場合の委託費用の差に関しては調べ切れませんでしたが、「一概に軽自動車が安い」とは言えない雰囲気でした。
ここまで見てきた項目を総合すると「状況や車種選択など人それぞれな部分が多くて一概にいえない」ばかりという印象ですね。逆にいえば「軽自動車を買えばとにかく安く済む」とは言えない状況なのかなと。
結論からして「軽自動車は言うほど安くない」「イメージ先行で実際よりも安く思われている」というのが実際のところなのかなと。
初期費用に関しては「新車前提」なら車両購入金額で安いと言えそう。
維持費に関しては自動車税の差額で年間2~3万円と高速道路通行料の差額。で差は付くものの、それ以外の費用で差が出る、場合によって逆に差が埋まる可能性もあり、やはり総額でみると一概には言えないよう。
自動車税の差額。年間2~3万円だけを見たとしてどう考えるかですが、購入価格など初期費用はもとよりメンテナンスや税金、法定費用を含めた維持費を考えると、年間ベースで10万円単位のお金が必要なのがマイカーの世界。
自動車税以外の差額を考えても、少なくても前出の「車を買う金がもったいない」と言ってる人に対して「軽自動車なら安い」というのはナンセンスというか悪徳セールスマン級の言説じゃないかと思えてきます。
実は前出の「軽自動車なら安い」と言う人の多くは結構な年上世代。
基本的に軽自動車への優遇処置は時代と共に縮小していて、普通車との差が徐々に小さくなっているのが実際のよう。失礼ながら軽自動車のコストに関する認識が今よりも税金等の差が大きかった昭和の時代からアップデートしてないのかも。という気がしてきます。
特に「車格」に拘るような人の中には「軽自動車は貧乏人の乗り物だ」ぐらいのことを平気で言う人もいるので、これまた「軽自動車=(実際の差よりも)安い」というイメージが付いてるのかなと。
また「2~3万円+α」の差の考え方では、車がなくても日常生活に不便をしない、必要な時だけレンタカー・シェアカーを利用すればいい都市部在住と、車がなければ通勤すら不可。日常生活が成り立たない地方部では意識が違うのもあるのかなと。
前者なら「生活必需品」でない分、「車を持たないという選択」もある分だけ趣味や嗜好品の要素が強くなるので、年間十万単位の中の3万円をケチっても意味がない。と考えても変な話ではないと思います。
逆に後者ならそもそも「車を持たないという選択がない」うえに日常の通勤に必須、いわば鉄道の通勤定期のようなものなので、特に税金のような固定費用は少しでも安い方がありがたい。という考え方もあるのかなと。
こういった背景を考えると、昨今のTPP絡みの軽自動車規格廃止論議の中で言われる、「軽自動車は過疎地の重要な足。軽自動車規格が廃止されれば足が奪われる」というのは、ちょっと不正確な言説なのかなと。
どちらかといえば、車以外の削れる出費にお金が回らなくなることでの地方経済の疲弊が心配されるような気がします。
また公共交通機関との関わりで見れば「軽自動車規格」が廃止されれば、車を手放す人が増えて地方の公共交通機関の乗客が増加。苦境にあえぐローカル鉄道・バスに光明が」なんてのは、やはり眉唾感が。
ただ「車があれば便利だけどなくても生活できる」ような都市圏郊外で、「軽自動車は安い」というイメージ先行の固定概念が廃される反動で、1家に2台目以降のセカンドカーを手放して電車・バス利用を増やす。というニーズはありえるかなと。これはあくまで既存の鉄道・バスが日常生活で戦力になるダイヤ・運賃。あることが絶対条件ですが・・。
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2015/12/12 18:45(JST)