茶色のヤギ、アトリはいつもおてんばで
他のヤギのご飯を取りに行ったり、一緒に食べようとするヤギを
追い払ったりしていました。
小屋から抜け出すことも上手で、他のヤギたちにはない跳躍力を自慢していました。
そんなアトリも、妊娠してもうすぐお母さんになろうというのに
いつまでたっても、おてんばさんはそのままでした。
こんなことで、ちゃんとお母さんになれるだろうか・・・。
心配はつきませんでした。
人の手を借りることもなく、ある日突然畑で赤ちゃんを産み落としたアトリ。
人間が慌てて、赤ちゃんをわらの入ったタライに入れて小屋に入れてあげようと
抱きかかえると、赤ちゃん独特の甲高い鳴き声を出してお母さんを呼びました。
すると、絶叫に近い叫び声でアトリが鳴きます。
子供を取られると思ったのでしょうか。
それでも、ここでこのままいても、上からトンビやカラスが狙っています。
下でも、いたちやきつねがいつ来るかわかりません。
泣き叫ぶ親子にひるむことなく、人間はこの仔の命を守るため
必死で2頭を小屋へ連れて行きました。
見ていると、かいがいしくアトリは子供の体をなめています。
すぐに立ち上がって仔ヤギもおっぱいを吸いに行きました。
仔ヤギが少しでも、「みゃあ」とでも鳴こうものなら
自分がご飯中でも、慣れることなくまた絶叫して寄り添いに行きます。
夜は必ず小屋の奥に仔ヤギを置いて、自分が出入口から見えないようにかくまっています。
目が、優しくなりました。
性格が丸くなりました。
動きがゆっくりになりました。
人間があんまり好きではなかったのに、ご飯をもってきてくれてありがとう。
というような顔で迎えてくるようになりました。
仔ヤギを触っても怒りもせず「かわいいでしょ?」と目を細めているようです。
私も人間だから、時間の中で生きている。
そこで、どうしても思うようにならない娘ふたりの姿に
他の人や自分のやらなくてはならないことを優先しがちであせることもい多いけれど
アトリを見習って、泣く姿も、食べる姿も、もちろん生きていることそのものを受け止めて。
自分だけでなく、ご縁のある方全てに「もっとおおらかに子育てしよう」。と、伝えよう。
言葉ももちろん添えるけど、ここに身を置いてもらうことがきっと一番効果的。
今日から3月。今月も、又、おっぱい飲んでる赤ちゃんが来る。
心開いてお迎えしよう。
おてんばアトリに、たくさんのことを教りました。
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