安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

桜によせて

2013年04月05日 | 月刊ブログ
今年は特に桜の開花が早く、いつもなら入学式のときに満開になるのに、すでに葉桜になりかけています。木の根元に敷き詰められた花びらのジュウタンを見ながら、お花見の時期を逸したことが残念でなりません。
 
今週、月曜日は長崎校の入学式、今日はここ佐世保校の入学式が行われました。
昨日の佐世保校のオリエンテーションでは、入学者全員が初めて一堂に会し、ともに同じ教室で学ぶ仲間との対面でした。
 このオリエンテーションで、私は、二つのことを念頭に生活し、公務員を目指しこれから勉強を粘り強くがんばってほしいと述べました。
 一つ目は、主体性です。社会に出るにあたっては必ず必要とされるもののひとつです。中学高校では、学校の指示で動いていたのが、この学校では自分の置かれている状況を把握し、何をやるかを決断し、行動することが大切になります。主体性をもって取り組むことによって、周りの私たち教員は、準備しているすべてのものを、学生に提供することができるのです。
 二つ目は、ストレスコントロールです。公務員になるまでに、1次試験2次試験を受験し合格しなければなりません。それは、自己の不安との戦いになることでしょう。そのプレッシャーは並大抵のものではないはずです。そのようなストレスに、ただ耐えるのではなく、むしろうまく付き合って自分の気持ちをコントロールしていくことができるようになれば、効果的なエッセンスとなり勉強もはかどるはずです。それは実際の公務員として働くときの、ハードな仕事や人間関係でのストレスにも、耐えられると思うのです。

 しかし、そんな学生を影で支えてくれるのは、なんと言っても、いつも一番身近にいる両親、家族です。
 これからの勉強の日々、家族の理解と暖かいまなざしに、感謝の気持ちを忘れずにいてほしいとも、学生たちに話をしました。

 先月は、東日本大震災から2年の命日でした。
 先週、たまたま、深夜にテレビをつけると、震災で大きな被害を受けた東北のある市の去年の成人式の映像が流れていて、ある青年にスポットが当てられていました。青年は二十歳を迎えました。この青年にとって、成人式は、また別の大きな意味があるというのです。
 二十歳になることで、法律上保護者となり、津波で両親を亡くし孤児となった自分たち兄弟が一緒に暮らすことができるようになるのです。青年は特にまだ中学生の弟のことが心配でたまりません。目の前で両親を亡くし、心に大きな痛手を負いました。また、学校を転校したり、環境が変わり、平穏な暮らしができなくなっていたからです。
 兄弟で一緒に暮らせるようになって1年が経過した様子が流れていました。弟の中学の卒業式に、保護者となった兄と18歳の姉が出席して、弟の節目を見守ってあげています。兄弟で家事を分担し、支えあって、この先も生きていかなければならないのだろうと、目頭が熱くなりました。この震災で孤児になった子供の数は280名を超えていると、テレビのスーパーで流れていました。
 私たちの目に見えないところに、今の境遇に耐えがんばっている人たちが数多くいることを、私は気づかずにいました。

 同じくらいの年齢で、公務員になる目標を定め、家族の理解の下、進学してきた人たち。一方、自然災害によって両親を失い、大きく人生を変えざるを得なかった人たち。
 境遇が違っても、がんばって自分の将来を切り開いていくための努力をしていくことには、違いがないように思えます。
 しかし、恵まれた環境には、感謝の気持ちをもって生活しなければ、被災されたかたがたに申し訳ないような気持ちになりました。そして、この環境を与え支えてくれた家族にいつか恩返しをしてほしいと思うのです。

 公務員になり、人の役に立つ仕事をし、周りからも信頼され、充実した人生を送るため、これからのこの学校での期間を、自分を成長させるステップアップの期間ととらえてほしいと思います。

 もう、桜の花は、来年まで見ることができませんが、1年後、満開の桜を、ここに入学してきた学生たちと合格内定を祝いながら、喜色満面で見上げたいと願っています。
 
今ごろ、東北でも、桜が咲きはじめているでしょうか。
 
 Photo by mizutani

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