安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

意識一つ

2018年02月13日 | 月刊ブログ

 冬の景色はどんよりともの悲しい感じがします。埃まみれの葉っぱの色と、傘の骨のように寒々と枝だけを伸ばしている木々で、さらに成熟した玄い季節を感じます。

 実家の庭には、寒椿が1本、今の時期には咲きつかれたように一つ二つくすんだ赤い花を残しています。

 そして、毎年必ず、花壇の隅には、冬の終わりを告げてくれる水仙が、地面から芽吹き、葉っぱと茎をまっすぐに空を指して伸びています。もうすぐいい香りの清楚な花をたくさん付けてくれることでしょう。写真は、珍しい八重咲水仙です。

 

 先日、学校では、デュアルシステム科の卒業論文発表会が行われました。ブライダルプランナーを目指して本校に入学し、授業時間の4割を企業実習に充てる画期的なシステムの本学科は、知識や技術のみならず、現場スタッフとして、週に3日間の現場実習を行います。実習は、すべて本番。その現場を任されているという責任感、使命感は、学生の域をはるかに越えた恐怖にも似た緊張感を感じるのではないでしょうか。お客様からは実習生という言い訳は通用しません。一スタッフとして、究極のサービスを当たり前のように要求されるのです。しかし、その分、お客様の心からの「ありがとう」は、どんな苦労も帳消しにしてくれると言っていました。

 発表の中で、女子学生は、「この2年間で私の性格は、大きく変わった。」と述べていました。入学時、「人と話をするのは好きだが、自分から声を掛けることができない臆病な性格を、何とか克服したい」と心に決めていたといいます。実習を重ねていくごとに、先輩や社員の方に積極的に教えてもらいに行ったり、周囲をよく見て学び声掛けをしたりと、過去の臆病な自分ではできなかったことが、できるようになったことで、意識一つで自分の性格を変えられるのだと、実感したそうです。

 就職も希望のところに決まり、今日の卒業論文発表で、卒業要件をすべて満たすことができました。これからブライダル関係のサービススタッフとして、さらに厳しい現場へと飛び立って行きます。

 

 私たちは、仕事として、毎日同じことをしていると、自分だけが分かって、相手の立場に立って説明をしたり、つい思いやりの心を忘れてしまったりします。サービスがマンネリ化していくのです。

 日々の仕事の中でも、毎日、毎月、毎年同じことを繰り返していくと、知らないうちに端折ったり、当然やらなければならないことを忘れてしまったりすることがあります。サービスの低下の始まりです。サービスを受けた人は、自分が求めた当たり前のサービスを受けられなかったといって、そのことをいちいち言ったりはしないでしょう。何も言わずにお客様はその「売り場」から次第に離れていくのです。

 公務員も含め、私たちサービス提供者は、顧客意識と品質意識、低下したサービスに気づく問題意識、それを改善する改善意識が必要です。一人ひとりがこれらの意識をもって仕事に取り組めば、サービスの低下もマンネリ化もなく、その企業や人に対する信頼は定着していくことでしょう。

 

 私が担当している卒業年次生の「ビジネス文書」では、最後の授業の時に、これから社会人として成長できるかできないのかの大きな違いを話して、今後のはなむけとしました。

 仕事は、上司や先輩の指示からスタートします。指示された人は、任された仕事を責任と誇りをもってやり遂げなければなりません。そしてその仕事が終了した時、必ずその仕事の指示を出した人に、報告をしなければならないのです。報告をすることで、その一つの仕事が完全に終わります。仕事は、この指示から始まり報告で完了です。そして、報告した人には二つのご褒美がもらえます。

 一つは、次の仕事がもらえるということ。次の仕事を報告すると、また次の仕事がもらえます。そうやって、できる仕事が次第に増えていくのです。報告をしない人と比べるとできる仕事の数が断然増えていくのです。その差は、歴然です。

 二つ目は、丁寧に報告をすることで、指示を出した人との信頼関係が構築されていきます。信頼の度合いは、目に見えない形で広がっていきます。

 実際に私が仕事をしている日々の現場でも、指示を出す方から考えると、その人に対する評価が心情的に少しずつ変わっていくのが分かります。

 もちろん仕事に対する知識や技術はとても大事ですが、すべては人と人との関係が、ベースの日本社会では、意識一つで相手からの評価を得、相手との信頼関係を築くことができるのです。それならば、たったそれだけのことなら、報告すればいいのならば、やった方が絶対にいいに決まっています。

 そんな話を、授業の最後にしました。これからの仕事人生を大いに楽しみ、大いに自分を成長させ、素晴らしいキャリアを築いてくれたらと、思いました。

 

 ここのところ、平昌オリンピックの話題で持ちきりです。極寒の地で、日本代表として選ばれた精鋭たちが技を競っています。今までの努力が報われますようにと頑張ってくれることを心から祈るばかりです。

 

Photo by mizutani


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