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冬のソナタに恋をして

入院


サンヒョクの父親はチュンサンを救急車に乗ると、「お身内の方ですか?」の問いかけに躊躇なくうなずいて一緒に救急車に乗り込んだ。救急車の中では、顔色の悪いチュンサンを前に、先ほど近所の公園で見かけた、仲の良い父子の姿が浮かんでいた。もしかしたら、自分とこの青年もあんなふうに野球をしたりする機会があったのではないか、本当は父子だったのに、ミヒがそれを隠していただけではないのか、ジヌはそんな気がしてならなかった。しかし、救急車は病院に着くと、チュンサンだけを急いで救急外来に運び込んだ。ジヌは聞かれた看護師に、とっさに「父親ではない」と言ってしまったので、待合室で待つことは許されなかったのだ。ジヌは数時間検査を待っている間、サンヒョクに電話をして、チュンサンが倒れたこと、原因は先日の交通事故の後遺症らしいことを伝えた。

そうして気をもんでいるうちに、医師に呼ばれた。今度は親戚であると告げて、途中経過を聞くことができた。ジヌは医師に向かって言った。

「先日の事故の後、きちんと検査を受けて異常がなかったと聞いています。」

すると、医師は困ったような口ぶりでつづけた。

「そうはいっても、交通事故の後遺症は後から出で来ることもあるんです。そんなに単純なものではないんですよ。特に健康な若い男性が突然倒れるということは普通ではありえないことです。」

「深刻な状況ではないんですよね?」

「それはいろいろな検査をしなければ、まだわかりません。」

「そうですか。」

気落ちするジヌを慰めようと、医師は何気なしに言った。

「そう気落ちしないでください。お父さん」

この医者も自分を父親だと勘違いしている。それを聞いて、ジヌはついに決心した。


「実はもう一つ、検査をお願いしたいのですがよいでしょうか」

医師はそれを承諾して、ジヌは検査を受けることになった。それはほかならぬジヌとチュンサンのDNA検査だった。ジヌは検査を受けると、深いため息をついてチュンサンの病室に戻った。結果は1週間後。今だ眠ったままのチュンサンを前にすると、チュンサンとユジンが同級生だということを思い返して、じっと彼を見つめた。彼の目鼻立ちに、自分と似たところは少しでもあるのだろうか。自分の遺伝子の片りんを見つけたくて、じっと目を凝らしてしまう。


そしてそっと手を伸ばして頬に触れようとしたその時だった。息子のサンヒョクと、その友人のチェリンが病室に駆け込んできた。二人は、突然の出来事に慌てた様子であった。ジヌは伸ばした手をそっと引っ込めて取り繕うのであった。

その数時間前、チェリンは数日間の出張から、自分の経営するブティックに戻ってきたところだった。ミニョンと別れてからのチェリンは、前にもまして気が強く、怒りっぽくなっており、今日もブティックの社員に強い口調で指図をしていた。そのとき、テーブルに頬杖をついて、浮かない顔のチンスクが見えた。

「どうしたのよ?」

「う~ん、じつはね、あんたの留守中にいろいろあったのよ。チュンサンとユジンが別れちゃうみたいなの。」

「はぁ?どういうこと?」

しかし、チンスクは要領を得ない説明をするばかり。どうにかその一件は、サンヒョクがすべて知っているらしいと聞きだしたチェリンは、急いでサンヒョクの職場に向かうのであった。


そのころ何も知らないサンヒョクは、打ち合わせをしていた。しかし、久しぶりに顔を見せたチェリンの姿を見ると、スタジオの外の長椅子に一緒に座った。

「どうしたんだよ?何か用があるんだろ?」

「あのね、聞きたいことがあって。」

サンヒョクは笑って言った。

「そんなこと言われると怖いな。今度は何?」



「チュンサンとユジンに何の問題があって別れたの?チンスクも心配してた。あの二人、本当に別れてしまうの?」

するとその時サンヒョクの携帯が鳴った。それは父親のジヌからだった。サンヒョクはチュンサンが病院に運び込まれたと聞いて、チェリンと二人で病院に向かうことにするのだった。

コメント一覧

kirakira0611
@81sasayuri1018 さま、あはは。たしかにサンヒョクは平凡という意味ではジヌに似てるので、天才的なチュンサン←ミヒ似、に心惹かれていたかもしれませんね。あと、サンヒョクのねちっこさを良く覚えてますね。ヨンハさんもウンザリだったと思いますが、このあとまたサンヒョクがグダグダ言い始めますね。わたしも書いていて嫌になってきます。
身体を心配していただいて感謝してます。
ありがとうございました😊
81sasayuri1018
こんばんは。

>ジヌはそんな気がしてならなかった。

高校生の時、ジヌは研究室に来たチュンサンには何も感じなかったんでしょうね。
ふっと、こんな優秀な息子なら良かったな~(サンヒョク、ごめん)とは思ったんでしょうが・・・

そして、チエリンには私もいい人を感じました。
でも、サンヒョクが、また、もう一回豹変しますよね・・・

お身体気を付けられ完遂されてください。
万が一があっても!来年があります。
若いって素敵ですよ°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖° うばゆり
kirakira0611
@breezemaster さま、いつもありがとうございます😊
このぐらいの時間になると、いつもコメントをいただいてるので、楽しみに読んでます。ありがたいですね。
最近はジヌが主役に躍り出ていて、かなり彼目線で書いてるので、それもそれで楽しいです。こんなにキーマンだったなんて。ドラマのときにはジヌに注目してませんでした(笑)
そして今回はチェリン、良い味を出してます。自己中でわたしが思う韓国女性そのもの←海外で暮らした時の感想、のプリンセス気質ですが、根は悪い子ではないんですね。次回のチュンサンとの語りが個人的には大好きです❤️
よい週末をお過ごしください☆
breezemaster
おはようございます^^
二人の海沿いの宿に泊まる回から、毎回凄い大変化を続けるシーンが続きますね(@_@)
先生に、「健康な若い男性が突然倒れるということは普通ではありえないことです。」
こんなこと言われたジヌ、
息子なのかもと思いながら、聞いたんですから、心底気落ちする気持ちになりますよね

二人が別れることを聞いたチェリン、
普通のカップルなら、別れることも有るでしょうけど、
あの二人が別れるなんて、あり得ないって感じたんでしょうね
ある意味、感がするどいチェリンですもんね

冬ソナの一番大きな波のあるシーンを
毎回、ドラマを見ているかのように、楽しませていただいています。
kirakiraさん、ほんと今年は、寒い冬です。
家庭、お仕事が大事です。
無理せず、進めてくださいね
kirakira0611
ひまわりさま
お久しぶりです。
コメントありがとうございます😊
いつもブログで考えさせられてます。勉強になります。
おかげさまで稚拙なブログもあと少しでお話が完結します。初志貫徹できそうなのも、ひまわりさんはじめ、みなさんのおかげです。
本当にありがとうございます。
あと少し頑張りますね。
体調は大丈夫になってきました。
ひまわり
kirakiraさん、こんばんは。
体調はいかがでしょうか?
お忙しくしてらっしゃるのに、最後までこのお話をアップ
しようとされてることにお礼を言います。
ありがとうございます。
kirakiraさんがこうして一生懸命書いてくださるおかげで、
私も遅ればせながら、物語がわかってきました。
親がしてしまったことで、子どもが苦しむのは悲しいですね。
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