東京大学入試地理B

東京大学入試問題(前期)地理Bの問題・解答・解説。2006年・2007年の2年分。

07年第3問設問B アメリカ5州の産業

2007年03月01日 | 東京大学
07年東京大学前期入試地理B 第3問設問B 

第3問設問B 次のグラフはアメリカ合衆国5州の製造品出荷額および業種別割合を示す。




(1)図のA~Dは、カリフォルニア州、ミシガン州、テキサス州、ワシントン州のいずれかである。A~Dの州名を答えなさい。

(2)CとDはともに輸送機械工業が発展しているが、それぞれの内容は異なる。どのような違いがあるか、30字以内で述べなさい。

(3)ケンタッキー州では、最近10年間に輸送用機械器具の出荷額および割合が高くなった。これは日系自動車工場の進出が大きな原因である。ケンタッキーとその周辺の州における、日系自動車工場の立地の特徴について、下の【  】内の語句を全部使い、90字以内で述べなさい。
  【 デトロイト  部品  労働力 】

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第3問設問B解答
(1)A-カリフォルニア州 B-テキサス州 C-ミシガン州 D-ワシントン州
(2)C-自動車産業が中心 D-航空機産業が中心
(3)日本の自動車企業はケンタッキー州のような低賃金のサンベルトに進出した。当初、部品は日本から輸入したが、現在は現地の関連工場から調達する。アメリカの自動車産業も北部デトロイトから、低賃金のサンベルトに移転が多くなった。
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第3問設問B解説

(1)(2)カリフォルニア州とテキサス州は、サンベルトとして最も工業生産ののびた地域である。
A-カリフォルニア州。地中海性気候と関連する食品加工、シリコンバレーを中心とする電気・電子工業が発達している。
B-テキサス州。内陸油田とメキシコ湾岸油田があり、石油化学工業が発達している。また、ダラスを中心とするハイテク工業地域が、シリコンプレーンである。
C-ミシガン州。世界的な自動車工業都市はミシガン州のテトロイトである。ミシガン州は、輸送機器(自動車)の生産割合が高い。
D-ワシントン州。シアトル社は世界最大の航空機メーカーボーイング社の工場がある。スポケーンでアルミニウムの生産が多いことが大きな立地条件になっている。
産軍複合体 コンピューター産業、航空機産業、石油化学工業など、アメリカの国際競争力の強い産業は、軍事用に税金を投入して研究開発が進められ、民間に需要があると判断した時点で、民間用として世界中に売られる。アメリカ政府が国際的独占企業を、外交・軍事政策として支援し、世界支配を達成した。コンピューターのマイクロソフト、航空機のボーイング、石油のエクソンなど、いずれもアメリカ政府が一体となり、国際市場を制覇した。

(3)ケンタッキー州の工業化
サンベルト 北緯37度以南がサンベルトである。ケンタッキー州は綿花地帯であった。土地・労働賃金が安いし、州政府が進出企業に優遇税制を適用した。保守的風土があり、労働組合の活動を州法で規制した。日本企業は国際摩擦の解消のためにアメリカ進出を考えていた時に、進出しやすい条件が南部各州から示された。日本企業の多くは南部サンベルトを中心に進出し、現地生産が増加した。
北部スノーベルトがアメリカ企業で飽和状態になった時、アメリカ企業にとってもサンベルトは新しい投資先になった。
ケンタッキー州はデトロイトから近く、アメリカ企業が新しい工場に部品を輸送することも容易であった。





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