センター試験地理B2009年 

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2008年センター試験 地理B第2問解答解説

2008-01-22 | 地理解答
2008年センター試験 地理B第2問解答解説

第2問 世界の資源と産業

第2問
世界の資源と産業について、各問いに答えよ。

問1 下図1(ア)(イ)(ウ)は、ボーキサイト産出量、アルミニウム生産量、アルミニウム消費量について、上位8国まで示したものである。(ア)(イ)(ウ)はそれぞれどれか。あとの①~⑥の組合せから、一つ選べ。【7】






【7】解答③
解説 ボーキサイトからアルミニウムを生産する時、電力消費量が多くなる。アルミニウム生産量はエネルギー消費型工業の典型である。 
図(ア)アルミニウム生産量。ノルウェー、カナダ、ブラジルなど、水力発電の占める割合の高い国では、発電コストが安い。ボーキサイトからアルミニウム(地金)を生産する。
図(イ)ボーキサイト生産量。オーストラリア、中国、ブラジル、ギニア、ジャマイカなどの生産量が多い。熱帯土壌ラトソルに含まれる。アフリカのギニア、カリブ海のジャマイカの多い点に注目。
図(ウ)アルミニウム消費量。中国、アメリカ、日本のアルミ消費量が多い。アルミ輸出国はカナダ、ロシア、オーストラリア、ノルウェーなど。輸入国はアメリカ、日本、ドイツなどである。自動車、飲料缶、建築などに用途が拡大している。
★★★ 日本のアルミニウム需給 55p
★★ 工業立地 58p

問2 次のグラフの3国の1次エネルギー消費割合について、①~④は原子力、石炭、石油、天然ガスのいずれかである。石炭に該当するものは①~④のうちのどれか。【8】



【8】解答③
解説 オーストラリアは石炭輸出国。国内でも大量に消費していることから、③が石炭になる。
①天然ガス。クリーンエネルギーで、先進国からの安定供給は可能だが、価格が高い。
②石油。電力・化学では大量に使用される。国際投機商品であり、価格が不安定。
③石炭。火力発電用燃料炭と製鉄用原料炭として使われる。低価格だが、酸性雨や地球温暖化の原因になる。オーストラリアは世界一の石炭輸出国であり、オーストラリア国内でも、豊富な石炭を使う。
④原子力。化石燃料がなくなったあとは、原子力発電、という考えもある。地球温暖化対策にも効果的である。しかし、安全性と発電所の老朽化という大問題がある。
★★★ エネルギー 42p
★★ 電力(原子力)48p



問3 次の図3は、エネルギーの輸入依存率を、1次エネルギー全体と、石油のみの場合について、それぞれ国別に示したものである。①~④はカナダ、ロシア、日本、フランスのいずれかである。そのうちで、ロシアはどれか。【9】


【9】解答①
解説 ①ロシア 原油と天然ガスを、旧東欧・フランスにパイプラインで輸出する。エネルギー大国である。
②カナダ アルバータ州のロッキー山脈で石油が生産される。また、1次エネルギーとして、天然ガスと水力発電が豊富である。
③フランス 原油の自給率は1.3%である。フランスは原子力大国であり、電力のうちの原子力発電は70%を占める。1次エネルギー総量のうち、50%が原子力発電になる。
④日本 原油の自給率は0.1%である。電力のうちの30%が原子力発電であり、日本の1次エネルギー総量の18%が原子力になる。
★★★ 石油 46p
★★ エネルギー 42p

問4 図4のABCはロシアの工業都市である。そのあとの(カ)(キ)(ク)は、ABCのいずれかの説明である。A~Cと(カ)~(ク)の正しい組合せを、①~⑥から選べ。【10】




【10】解答⑤
解説 地図(A)モスクワ-説明(ク)
モスクワは人口1000万人を越える大都市である。大都市型工業としての消費財工業(食品、繊維)が発展する一方、共産主義時代の計画経済による重工業(機械、金属)もある。
地図(B)ノヴォシビルシク-説明(カ)
ノヴォシビルシクはクズネツク炭田を中心とする工業都市。オビ川とシベリア鉄道の交差する位置に建設された。1896年が建設開始年。
地図(C)ヤクーツク-説明(キ)
レナ川中流域にあり、レナ炭田に立地した。鉄道もないし、積雪期間が長いが、ヤクーツク自動車道路によって他の都市と結ばれている。人口は16万人。
★ ロシア 105p(センター01追)


問5 ラテンアメリカの資源と産業について、①~④から正しい説明文を選べ。【11】 
① アルゼンチンでは石油が重要な輸出品であり、高度な技術を用いた航空機工業に支えられ、国の経済は安定している。
② チリでは、国の経済は銅や銅鉱石の輸出に依存してきたが、近年、輸出の中心は、電気・電子部品に移った。
③ ブラジルでは、鉄鉱石を利用して鉄鋼業や機械工業が盛んである上、外国資本による自動車工場の立地が進んでいる。
④ メキシコでは、石油や鉄鉱石を利用した重化学工業が発展してきたが、近年は研究開発を中心とした宇宙産業が盛んである。 


【11】解答③
解説 ラテンアメリカの多くの国は、一次産品の輸出が中心。ブラジルには、アメリカ、ドイツ、韓国、日本の自動車会社が進出している。
①アルゼンチンの輸出品(2004年)
植物性油かす 大豆油 原油 石油製品 自動車 大豆 小麦
②チリの輸出品(2004年)
銅  銅鉱石 野菜・果実  魚介類  パルプ・古紙 木材
③ブラジルの輸出品(2004年)
機械 自動車 鉄鋼  肉類  大豆 鉄鉱石 航空機
④メキシコの輸出品(2004年)
機械  自動車  原油  衣類  精密機械  野菜・果実
*以上、世界国勢図会(08)による。
★★★ ラテンアメリカの産業 114p


問6 工業の立地について、不適当な説明を、①~④から選びなさい。【12】
① アパレル産業のデザイン部門は、流行などに関する各種情報の収集が重要となるため、大都市に立地する傾向が強い。
② 魚介類を缶詰に加工する部門は、消費者の多い大都市やその周辺に立地する傾向が強い。
③ 石油化学や石油精製部門は、原料となる石油の輸送に便利な臨海部に立地する傾向が強い。
④ 電気製品の組立部門は、安価な労働力を得やすい地域に立地する傾向が強い。



【12】解答②
解説 ①○ ファッションをリードするためには、大市場(大都市)での流行に鋭敏でなくてはならない。アパレルは大都市型あるいは消費地立地型である。東京とかパリが典型例。
②× 地方の水産業都市で水産物加工が盛んである。大都市では、冷凍倉庫をつくる場所がないし、加工品から除外された廃棄物の処理場の建設も難しい。気仙沼や清水が典型例。
③○ 産油国以外では、輸入港周辺に石油化学コンビナートが建設される。港湾立地型は、鉄鋼業や石油化学工業である。鹿島コンビナート。
④○ 単純作業なので、低賃金労働力の得やすい中国、ベトナム、タイなどで組み立てられる。日本では産業の空洞化が問題になった。
★★ 工業の立地 58p


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