センター試験地理B2009年 

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2009年センター試験地理B 第4問解答解説

2009-02-08 | Weblog
第4問 村落、都市に関し、各問いに答えよ。

問1 次のABは、世界と日本の共通して見られる村落の、模式図である。ABの説明について、不適当なものを選べ。【 21 】

     

① Aは格子状に区画された耕地が広がる。アメリカ合衆国のタウンシップ制による開拓地域に見られる。
② Aは家屋が分散する散村形態をとっている。近代における北海道の開拓地域に見られる。
③ Bは道路に沿って家屋が並んだ集落である。ヨーロッパの森林地域で自然発生的集落に見られる。
④ Bは家屋の背後に短冊状の耕地が並んでいる。近世における日本の新田集落に見られる。

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解答【 21 】③
○ ① 19世紀、6マイルずつの区画に、入植者に4分の1マイルずつ分配した。アメリカ中西部の開発が進んだ。
○ ② 明治初期(1873~1904年)に、北海道の農業開発と日本の正規軍編成のために屯田兵集落が建設された。現在の札幌、旭川など。
× ③ ヨーロッパの林地村。所有地の道路沿いに強制的に居住させられ、林業・農業の仕事を割り当てられた。自然発生的にできた集落ではない。
○ ④ 日本では武蔵野台地の三富新田(埼玉県)が典型的である。
解説 計画的な道路とは、土地面積を公平に分けるためである場合が多い。開拓地であり、散村になる。
教科書 p105、p106
ワーク p71 ★★
マスターp72 ★★(地形図)


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問2 次の図2の(ア)(イ)(ウ)は、キャンベラ、チュニス旧市街、ニューヨークのいずれかである。正しい組合せを選べ。【 22 】

     




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解答【 22 】⑥
(ア)直交型街路。ニューヨーク以外に札幌、京都など。
(イ)迷路型街路。西アジア、北アフリカ。自然発生的に拡大した市街地と、戦争時の防衛目的に建設した市街地とがある。
(ウ)放射状街路。キャンベラはグリフィンの設計した放射状街路。他にモスクワ。
解説 迷路型道路のうちでも、軍事防衛目的のために、軍事的には高度な都市計画として建設された都市がある。
教科書 p111
ワーク p66 ★
マスターp79~80 ★★★

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問3 次の①~④は、シドニー、デリー、ハーロー、ボローニャのいずれかの都市の説明である。ボローニャに該当するのはどれか。【 23 】 

① 大都市の過密化の問題を解決するために、職住接近型の都市として、郊外に建設された。
② 都市再開発にともない、港湾地区にオフィスビルや商業施設などが整備された。
③ 古くからの市街地に隣接し、官庁街や住宅地、放射状街路が計画的に整備された。
④ 都市再開発にともなう街区保存により、中世からの歴史的町並みと新しい都市計画が見られる。
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解答【 23 】④
① ロンドンのニュータウン計画として、ハーローなどの職住一体型の都市が建設された。
② シドニーは18世紀からの古い都市である。沿岸地域に新しい市街地が建設された。
③ 古くからの市街地はデリーである。新しい都市ニューデリーがデリーに隣接して建設された。
④ 世界で最も古い大学がイタリアのボローニャ大学である。その近辺の歴史的地域を守るとともに、隣接して新しい市街地が建設されている。
解説 誤解の生じないような、タイプの異なる4都市の比較である。
教科書 p295(イギリスと日本のニュータウン比較)
ワーク p68 ★
マスターp79~80 ★★

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問4 次の図3はロサンゼルスにおける、いつくかの人種・民族の居住地を示す。①~④はアジア系、黒人、白人、ヒスパニックのいずれかである。次の説明文を参照し、図3の①~④のうちから、ヒスパニックに該当するものを選べ。【 24 】

● アジア系-かつては都心に隣接して多くのアジア系が住んでいたが、所得水準の向上とともに郊外へ移転した。
● 黒人-低所得者が多く、かつては都心に居住していたが、新たな移民の流入により、その居住地は縮小している。
● 白人-高所得であり、人口密度の低い一戸建て住宅地区に多く居住している。


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解答【 24 】②
① 黒人。都心のスラムに居住しているが、その面積は小さい。
② ヒスパニック。メキシコなどスペイン系白人。英語は苦手だが、低賃金労働者として米国では重要であり、都心に増加傾向である。
③ 白人。郊外の高級住宅地に住む。高速道路あるいは高速鉄道を利用し、都心の職場に通勤する。
④ アジア系の人口割合が減り、市内に散在している。
解説 人種・民族・所得別の棲み分けである。黒人に代わり、ヒスパニックが低賃金労働者として重要になった。
教科書 p291(分布図から都市問題を読み解く。同一問題、的中)
ワーク p69(問題2) ★★
マスターp81 ★★★(これほどの的中は奇蹟的)

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問5 表1の(カ)(キ)(ク)の3都市を、銀行、第2次産業比率、昼夜間人口について、比較したものである。3都市の正しい組合せは、①~⑥のどれか。なお昼夜間比率とは、昼間人口÷夜間人口の数値である。【 25 】






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解答【 25 】①
(カ) 第2次産業が少なく、銀行が多いから、地方の中心都市仙台である。
(キ) 昼間人口が小さいから、市外への通勤者が多い。千葉市。
(ク) 第2次産業が非常に多いから、工業の発展した浜松市である。
解説 いずれも政令指定都市である。まず(ク)の第2次産業が非常に大きいから浜松市と判断できる。(キ)は東京への通勤者の多い千葉と判断できる。残りが東北地方の経済の中心で、銀行の多い仙台である。
教科書 p110、p112
ワーク p127 ★(ブラジル人労働者数)
マスターp69 ★★(日本の工業) 

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問6 次の写真1は、4都市の商業地域を示す。写真(サ)(シ)(ス)(セ)の説明として、不適当なものを①~④から選べ。【 26 】



① (サ)はデパートや専門店などが集中している。大都市の鉄道ターミナル周辺に見られる。
② (シ)は売り上げの減少が著しい商店街である。地方中小都市に見られる。
③ (ス)は古くからの地元資本の店舗が大半を占める。都市郊外の幹線道路沿いに見られる。
④ (セ)は歴史的な古い町並みが残った商店街である。かつて城下町あるいは宿場町であった。
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解答【 26 】③
○ ① 大都市では、駅前が繁華街として賑わう。新宿、渋谷など。
○ ② 地方都市の中心地域は、自動車時代に対応できなかったり、郊外の大型店舗におされて、閉店する店舗が多い。シャッター通りといわれる。
× ③ 都市郊外の大型スーパーマーケットは、県外の巨大資本である。地元の老舗ではない。
○ ④ 城下町や宿場町の町並みを復活すると、観光客が増加する。土産物中心の商店街が成立する。
解説 地方都市の中心商店街には駐車場がない。駐車場の完備した郊外の大型スーパーマーケットに負け、シャッター通りになりつつある。
教科書 p129(商業地の変化)
ワーク p68 ★
マスターp74 ★★★

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