ボロボロに泣きながら、彼女はこの店に辿り着いた。
彼女に眼には二つの涙がこぼれていた。
悲しい涙と嬉しい涙。
大切な人と別れちゃったんだ。
そうかそうか。辛かったな。
彼女はビールを呑みながら少し愚図る。
人間らしくていいじゃないか。
うんうん。
そしてまたビールを呑みながらこう言ったんだ。
私には彼がいなくても、それ以上に大切な仲間がいる。
一緒にはしゃぎ、一緒に泣き、一緒に笑ってくれる仲間がたくさんいる。
この事を再確認した事にまた涙をこぼしたんだ。
ふん。当たり前だー。
俺は、いや俺達はいつだって仲間だぜ。
今頃遅いぜー。
いつだって愛してるんだ。忘れちゃ困るぜ。
おっとそうだ。
これ飲みねぇ。
あんたにお似合いに90年代バブル時代の代物だぜ。
今時無いぜー。
ブラックティーだ。
ソーダで割ってレモン入れるだけ。
どうだ?懐かしいだろ?
若い頃の力が漲ってくる感じがしないか?
彼女は笑いながら帰っていったよ。
また来いよ。
俺はまだ此処にいるはずだ。