高尾山はもう紅葉のピーク、朝、夜と冷える日も増えてまいりました。
選ぶ洋服に悩む今日この頃、いかがお過ごしでしょうか(^^)
最近、Facebookユーザーの友人でこの言い回しを使ってくださっている方がおり、ちょっと面白く思っています(笑)
さてさて、久しぶりの更新になってしまいました。
仕事、私事、ここのところたくさんの変化がありまして、ただ今生活を見直し調整中、なかなかゆっくり文章を書く時間がありません。
さらにこの後に続く確定申告。
まだまだ、と思っていたらあっという間です。
フリーランスの皆様、頑張りましょう!
一昨日、ようやく受けていた仕事が一つ終わりましたので、たっぷりの就寝を取りました。
そして、ようやくこちらで書きたかったことをまとめているところでございます。
大麻のこと。
もう先々週になりますが、ずっと行きたかった大麻畑、大麻博物館へ行ってまいりました。
大麻、と聞くとギョッとする方もいらっしゃるかもしれませんね。
いわゆるドラッグとして使用するものではありません。
産業、神事で使用するための農作物です。
何故、私が大麻にこんなに興味を持っているのかと申しますと、昔、私の父方の叔父が
「うちは昔、忌部さんじゃった」
と言ったのをずっと覚えていて、忌部さんてなんだろう?というところから、その軌跡をたどる旅が始まって大麻に興味を持ちはじめたのでした。
忌部氏を簡単に説明しますと、神事に欠かせない道具を制作する技術集団のことで、地域によって制作物が異なっておりました。
父の出身の阿波では、大麻でアラタエ(織布)を織り献上していたようです。
阿波忌部氏に関しては、林 博章先生の『倭国創世と阿波忌部』という書籍でかなり詳しくその軌跡が書かれており、現在でも継承されている大麻農家さんのことなども紹介されています。
そこで始めて栃木県で大麻が生産されていることを知り、ずっとそこへ行ってみたかったんです。
今回、そんな私の願いを聞いてくださり、友人が麻農家さんに予約を入れて連れて行ってくれました。
ここの農家さんは、林先生の書籍ではもちろん、国産の麻にこだわる神社の宮司さんなど、いろいろなところからお名前をお聞きしていた農家さんで、大麻の栽培の風景や麻を使った工芸品の販売、カフェ、麻の紙すき体験などを通じて、広く栃木の麻を広める役割を果たされておられるようです。
麻の工芸品などが販売されているカフェはこちら。

玄関には麻の文様。

落ち着いた古民家風のお部屋には、麻で出来たランプやお飾りがたくさん。

今の時期はすでに大麻は刈られた後でしたが、種用に栽培された大麻畑の跡を見ることができました。

大麻の生産に関しては国では大変慎重になっており、ここの大麻も年に一度薬効がないかどうかを調査するそうです。
日本で栽培されている大麻は、薬効の無いものを掛け合わされて作られているので、麻薬成分はほとんど検出されません。
万が一薬効成分の高い海外産のものと交配してしまったものが出来てしまっても、それが流通することのないよう細心の注意がなされているのです。
そのような地域全体での管理体制があって、はじめて許可が下り、生産できるものなのですね。
栃木では13件ほどの大麻の農家さんがあり、稼働しているのは年平均で10件ほどなのだそうです。
そして、同県那須には『大麻博物館』があり、ここでも大麻に関しての貴重なお話をお聞きすることができました。

特にここでは糸にする技術(よらずに作る特殊な方法!)や、精麻の仕方、今は継承者のほとんどいない織りの技術に関してまで、とても詳しくお話いただけます。

大麻は、産業としても大変魅力的な農作物なのですが、そのへんは私なんかよりもずっと良くご存知の方々がたくさんおりご説明くださると思いますので、是非ググってみてくださいませ。
なんだか数年前から麻はブームのようですよ。
今でもジワジワ続いております。
私の仕事にも麻は欠かせない物になっています。
日本画で使用する和紙は『雲肌麻紙』という、麻を加えて強度を強めた特殊な和紙です。
お陰様で、薄く何度も重ねる技法(私は特にこの技法を好んで使用します)にも耐えて基材が痛むことがありません。
そして趣味にも。
弓道(5月からはじめました)では、麻を使って自分で中仕掛けを作ります。
この部分のメンテナンスはとても大事。

弓道で使う道具にも、好んで麻文様のものを選んでいます。

麻の文様は、古くから魔除けの効果があると信じられていることは広く知られていますね。
麻文様に弓!
もう最強の魔除けです。
今回伺うことで、手間のかかる技術を継承している方々への尊敬の念がさらに強まりました。
手間をかけることには、それなりの意味があります。
たとえば。
麻の糸は、よって作ると中の小さな水を通す穴が潰れた繊維が出来ます。
しかし、職人さんの精麻によって作られた麻の糸は、水を通す空洞がそのまま残っているので、そこに空気が入り、夏は涼しく冬は暖かいという大変贅沢で合理的な夢のような布が出来上がります。
このような良さと手間を計りにかけた時に、多くの人が少なくとも10回に1回くらい良さを選ぶようになれればいいなと思うのです。
伝統技術を継承する方々、無くなりつつある伝承を採取して広める方々…。
今年は特にそのような方々と深く関われた年であり、自分もその中で何を大切にしていくのか、やるべきことは何なのかを精査出来た年になったと思います。
まだまだ今年はやることが一杯ですが、一つひとつ、丁寧にこなしていければと思っております。
最後になりましたが、今回の素敵な旅を企画してくださったKさん。
何から何までお世話になりまして、本当にありがとうございました。
選ぶ洋服に悩む今日この頃、いかがお過ごしでしょうか(^^)
最近、Facebookユーザーの友人でこの言い回しを使ってくださっている方がおり、ちょっと面白く思っています(笑)
さてさて、久しぶりの更新になってしまいました。
仕事、私事、ここのところたくさんの変化がありまして、ただ今生活を見直し調整中、なかなかゆっくり文章を書く時間がありません。
さらにこの後に続く確定申告。
まだまだ、と思っていたらあっという間です。
フリーランスの皆様、頑張りましょう!
一昨日、ようやく受けていた仕事が一つ終わりましたので、たっぷりの就寝を取りました。
そして、ようやくこちらで書きたかったことをまとめているところでございます。
大麻のこと。
もう先々週になりますが、ずっと行きたかった大麻畑、大麻博物館へ行ってまいりました。
大麻、と聞くとギョッとする方もいらっしゃるかもしれませんね。
いわゆるドラッグとして使用するものではありません。
産業、神事で使用するための農作物です。
何故、私が大麻にこんなに興味を持っているのかと申しますと、昔、私の父方の叔父が
「うちは昔、忌部さんじゃった」
と言ったのをずっと覚えていて、忌部さんてなんだろう?というところから、その軌跡をたどる旅が始まって大麻に興味を持ちはじめたのでした。
忌部氏を簡単に説明しますと、神事に欠かせない道具を制作する技術集団のことで、地域によって制作物が異なっておりました。
父の出身の阿波では、大麻でアラタエ(織布)を織り献上していたようです。
阿波忌部氏に関しては、林 博章先生の『倭国創世と阿波忌部』という書籍でかなり詳しくその軌跡が書かれており、現在でも継承されている大麻農家さんのことなども紹介されています。
そこで始めて栃木県で大麻が生産されていることを知り、ずっとそこへ行ってみたかったんです。
今回、そんな私の願いを聞いてくださり、友人が麻農家さんに予約を入れて連れて行ってくれました。
ここの農家さんは、林先生の書籍ではもちろん、国産の麻にこだわる神社の宮司さんなど、いろいろなところからお名前をお聞きしていた農家さんで、大麻の栽培の風景や麻を使った工芸品の販売、カフェ、麻の紙すき体験などを通じて、広く栃木の麻を広める役割を果たされておられるようです。
麻の工芸品などが販売されているカフェはこちら。

玄関には麻の文様。

落ち着いた古民家風のお部屋には、麻で出来たランプやお飾りがたくさん。

今の時期はすでに大麻は刈られた後でしたが、種用に栽培された大麻畑の跡を見ることができました。

大麻の生産に関しては国では大変慎重になっており、ここの大麻も年に一度薬効がないかどうかを調査するそうです。
日本で栽培されている大麻は、薬効の無いものを掛け合わされて作られているので、麻薬成分はほとんど検出されません。
万が一薬効成分の高い海外産のものと交配してしまったものが出来てしまっても、それが流通することのないよう細心の注意がなされているのです。
そのような地域全体での管理体制があって、はじめて許可が下り、生産できるものなのですね。
栃木では13件ほどの大麻の農家さんがあり、稼働しているのは年平均で10件ほどなのだそうです。
そして、同県那須には『大麻博物館』があり、ここでも大麻に関しての貴重なお話をお聞きすることができました。

特にここでは糸にする技術(よらずに作る特殊な方法!)や、精麻の仕方、今は継承者のほとんどいない織りの技術に関してまで、とても詳しくお話いただけます。

大麻は、産業としても大変魅力的な農作物なのですが、そのへんは私なんかよりもずっと良くご存知の方々がたくさんおりご説明くださると思いますので、是非ググってみてくださいませ。
なんだか数年前から麻はブームのようですよ。
今でもジワジワ続いております。
私の仕事にも麻は欠かせない物になっています。
日本画で使用する和紙は『雲肌麻紙』という、麻を加えて強度を強めた特殊な和紙です。
お陰様で、薄く何度も重ねる技法(私は特にこの技法を好んで使用します)にも耐えて基材が痛むことがありません。
そして趣味にも。
弓道(5月からはじめました)では、麻を使って自分で中仕掛けを作ります。
この部分のメンテナンスはとても大事。

弓道で使う道具にも、好んで麻文様のものを選んでいます。

麻の文様は、古くから魔除けの効果があると信じられていることは広く知られていますね。
麻文様に弓!
もう最強の魔除けです。
今回伺うことで、手間のかかる技術を継承している方々への尊敬の念がさらに強まりました。
手間をかけることには、それなりの意味があります。
たとえば。
麻の糸は、よって作ると中の小さな水を通す穴が潰れた繊維が出来ます。
しかし、職人さんの精麻によって作られた麻の糸は、水を通す空洞がそのまま残っているので、そこに空気が入り、夏は涼しく冬は暖かいという大変贅沢で合理的な夢のような布が出来上がります。
このような良さと手間を計りにかけた時に、多くの人が少なくとも10回に1回くらい良さを選ぶようになれればいいなと思うのです。
伝統技術を継承する方々、無くなりつつある伝承を採取して広める方々…。
今年は特にそのような方々と深く関われた年であり、自分もその中で何を大切にしていくのか、やるべきことは何なのかを精査出来た年になったと思います。
まだまだ今年はやることが一杯ですが、一つひとつ、丁寧にこなしていければと思っております。
最後になりましたが、今回の素敵な旅を企画してくださったKさん。
何から何までお世話になりまして、本当にありがとうございました。