森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

「地球、光りなさい」を想う‐キエフにて

2010年09月14日 | 随想・エッセイ

この夏、北のモスクワ周辺では、灼熱で森が焼けた。Img00209201009121513 ウクライナでも摂氏40度の異常な夏が続いたそうだが、 日照時間が短くなるにつれて、木々が黄葉に色づき始めていた。異常に熱い夏の次に続くのは、短い秋とマイナス30度の例年にない寒さの冬との気象予報が出されているらしい。異常に寒い冬の訪れを前に、寒さに慣れているはずのキエフの人々が言う、「地球がおかしくなってしまった。何かが起こる。怖い。」 Img00194201009121314_2千年以上続く石畳、森の都市と言われるキエフの公園の木々は、急変する人間の営みが地球に負担をかけ、地球が呻き声をあげている事をきっと感じている。今、キエフに居る。

自然環境問題とは縁遠そうなウクライナで、気候の異常を嘆く言葉は意外な気がした。Img00231201009121552 チェルノブイリはここから100km程度の北にある。ソ連邦時代に人間の起こした直接的環境汚染の洗礼は受けているので、産業原因による環境悪化には敏感とは思っていたが、地球の急激な変化に危機感を持つウクライナの人々の言葉を聞いて、この天体の生命環境は急激に変化していると痛感した。欲望の笛に導かれる人類の滅亡の歩みは、もはや止められない。文明化して以来、数千年の人類の営みが地球を滅ぼす。地球の限界を感じた最期の人類は、何れは宇宙に脱出する。何万、何億年もの間、宇宙を放浪している間に姿形が変った人類の末裔が、別の地球を見つけるようなことが何万年後かに起こるのかも知れない。Img00240201009121843_2

ある取引の見極めと契約交渉にキエフに飛んできた。実現すれば、クルド地区の経済発展の為の資するかもしれないが、地球の滅亡を助長する大型石油産出設備の供給になる。10年前に、達成感と自戒をもって自ら「筆を折った」はずの仕事だったが・・・。

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涸れない泉-ウイーンにて

2010年09月11日 | 随想・エッセイ

私の心の奥底には空洞がある。そこは光と緑が溢れる泉があって、Img00066201009110900清らかな水が流れ、 小さな生態系の生命の営みが繰り返されている。嵐や吹雪に遭遇しても、砂漠のように渇ききっても、そこだけはいつも変わらずに守られてきた。どんなに打ちひしがれても、辛くても、心が凍える思いをしたときも、自信を無くしたときも、心の底の、そのまた底にあるそのひみつの泉だけは変わることはなかった。だから、人が避ける人も仕事も受け入れる事が出来たし、どんな嫌なこと悲しいことも乗り越えられた。泉があると思うと、どんな事も頑張れた。Img00057201009110853

あの頃から38年が経過した。人生で最初の小さな挫折を味わって、現実から逃げ出すためにヨーロッパを旅した。その時に見たヨハンシュトラウス像に再会した。Img00133201009111016金色に輝く像は、あの時の雨に黒く濡れた悲しげな姿とは違う。 秋色が染まり始めたウィーンの公園を歩きながら思う。心の奥底の「涸れない泉」は、あの頃に生まれた。

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「森の時間」が再開

2010年09月04日 | 随想・エッセイ

Img_8198_4 人生の大きな変化を楽しんでいたら、瞬く間に半年が経過した。変化を我が身に受け入れ、自分に与えた命題を前進させるために、自分と対峙するゆったりとした時間、「森の時間」を再開することにした。

   

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