うんたま森のキジムナー

親心

卒業シーズン。 宮古島では高校までしかないので、
卒業すると、そのほとんどが島を出て、沖縄本島や
本土へと旅立って行く。

もうかれこれ3~4年前に、友達の息子が大阪の学校へと
島を出ていった。最初の頃はやはり子供の事が心配で、色々と
私に相談事をしにきていた。
「大阪の○○さんって知ってる?子供が世話になったそうで、
お前からも礼を言っておいてくれないか!」
私は関西生まれだが、この島にきてやがて30年、大阪で暮らした
日々より、島の生活の方が長い。

同じ関西人だからと言って、「ハイそうですか、知ってますよ。」
なんてありえない。だいたい人口約880万人!
誰かしらつながりのある島と、大都市大阪とは違うのだ。
何回言ってもわからないようだ。

「たこ焼き器を買ってあげないとダメかな?」
心配する気持ちはわかるが、そこまで心配しなくてもいいだろう。

それは最初の頃で、このあいだ、奴と会ったときに
「大阪へ行った息子はどうしてる?」と聞くと、少しの間をおいて、
「実はよ・・・大阪で就職が決まってさ。」
「そりゃ、よかった。おめでとう。」
この島では、ほとんど安定した仕事などない。
就職がきまってなによりだ。

「子供に大阪まで遊びに行ってもいいか?」と電話をしたら、
「お父さん、アホちゃう!そんなにしょっちゅう来てたら、
飛行機代がもったいないやん。」と言われたそうだ。
「お前に、アホちゃうか!と言われても腹もたたないけれど、
実の息子が、実の親に対して、アホちゃう!と言うかな?
まるで大阪で生まれ変わったみたいで腹が立つさぁ」

大阪に数年もいたら、関西弁になってしまうのは仕方がない。
「アホちゃう!」は挨拶代り
そんな事で腹を立てていたらきりがない。
やがて私のようになるよ!


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