船にカモメが降りて来た。ゆっくりと羽根を休めればいい。
沖縄の唄に「御船の高ともに、白鳥や居ちょん。
白鳥やあらん、うみないおすじ。」
(船に白鳥がとまっているよ。いいや、あれは白鳥じゃない。
ウナイ神が航海を見守っているよ。)という唄が語り継がれている。
船にとまる白い鳥は幸運の兆しであるという。
琉球八社の一つ「普天満宮」の女神が人間だった頃の話し。
娘は日がな一日、機織りをしながら暮らしていた。
ある日のこと、いつものように機織りをしていると、急睡魔におそわれて、
ウトウトしたかと思ったら、いつのまにか荒れ狂う海の上をまるで鳥が
旋回するように飛んでいた。海に目をやると、転覆しそうな船が一艘、
木の葉のように波間に見え隠れしていた。
よく見るとそれは自分の父と兄が乗った船。
慌てて手を伸ばして兄を助けた。次いで父に手を伸ばそうとした瞬間、
母に揺り動かされて目が覚めた。その夢からしばらくして、娘の元に
父と兄の遭難の知らせが届いた。兄はかろうじて助かったが父は
戻らなかった。
ウナイ神にまつわる昔話が語り継がれている。