うんたま森のキジムナー

初セリ

初セリは、5日が宮古島の成人式なので、お祝いには
魚が欠かせない為、4日の日に行われる。4日の朝の初セリに
間に合わせるには、当然3日の日が初漁となる。
魚の注文を直接受けている漁師は、翌日の天候も予測して、
早ければ元旦、2日と海に出ていく人もいる。
「漁師の正月なんて、旧正月にすればいいさぁ」とは言うものの
今では旧正月も限られた地域だけの行事となってしまった。

初セリは、通常の落札値より、若干高目に札が入る。
これを仲買人からのお年玉!などと呼んでいるが、市場が
なくなり、魚屋専門店(さしみ屋)がすくなくなって、
大手スーパーの仲買人や世代交代した仲買人が多くなったせいか、
そういう習慣がなくなっていってしまった。

市場のオジィやオバァの仲買人は、魚の取引に関しては、
おだてたり、すかしたり百戦錬磨のツワモノだった。
そんな市場の仲買人も、正月の初セリのときは、
「昨夜は寒かっただろー 高く買うからさー」と仲買人同士も
高値の張り合いをしたものだ。
自分達の儲けはそっちのけで、値段をつけてくれた人もいた。

そんなときは、私達もセリにすべての魚を出さず、高値をつけて、
あきらかに損をしている人がいたなら、
「これも持って行って!」と別に魚を渡したりした。

私は、人との付き合いが下手で、そして邪魔くさいことが嫌い。
何かを頂いたから、何かをお返しする。
それはしなければならない事ではなく
気持ちの交換なのではないだろうか?
仲買人と漁師はそんなに仲が良いものではない。
初セリのお年玉の中にはお金だけでなく入っているのは、
「思いやり」そして初セリを気持ちよくしようとする
オジィやオバァ達の気持ちが、今になってわかる。


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