ミハ缶ブログ

ヘタレ大学院生が綴る日常と非日常。
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電子書籍がこの先生きのこるには

2012年07月29日 | Weblog

 ぼくが かんがえた さいきょーの でんししょせきの ふきゅうさせかた

 

 最近、某国際派気取りの会社が売ってる電子書籍が話題です。 なんか、青空文庫の書籍が1円で売られてたり、色々と愉快な事になってるみたいですね。この会社以外にも、SonyやAmazonも電子書籍端末の発売を控えていますが、私は、普及しないと思います。
 その理由としては、「価格」「信頼性」の二つに集約できます。価格については、端末価格もさることながら、本来、在庫コストが事実上ゼロであるはずの電子版が冊子版と同額とかで売られているという状況では、わざわざ電子書籍版なんて買う気が起きません。次に信頼性について。冊子は多少雨に濡れてもまあまあ読めますし、焼けたとしても断片的には読めるかも知れませんが、電子書籍ではそうはいきません。何らかの拍子で壊れてしまうと、せっかく払ったお金がチャラになってしまいます。それどころか、絶版(配信中止)になってるデータだったりすると、もう二度と手に入らないでしょう。また、電子書籍端末なんて、どーせ数年で買い換えるはずで、その時にデータを移行できる保証が無いというのも困りものです。挙句の果てに、撤退されて他社端末に移行できなかったりすると、もう、ね。
 そんな、現状厳しい電子書籍ですが、個人的には、ぜひ普及して欲しいなぁと思ってるので、なんとか普及させる方法は何か無いかと考えてみました。

 

 日本で最も普及している電子書籍は電子辞書です。電子辞書は、既に、高校生や大学生であれば大抵専用端末を持っていたり、PCやスマホ・ケータイ、携帯ゲーム機なんかにも内蔵されてるレベルにまで普及しています。まずは、このレベルを目指しましょう。
 そのためには、ひとまず、電子辞書で創り上げられた市場や流通に電子書籍を乗せる必要があります。そのためには、電子辞書で実績を積んでるメーカーと協業かそういうメーカーを買収するとやりやすいでしょう。

 まず、普通の電子辞書よりも画面大きめの電子書籍端末(仮に型番をEBR-1としましょう)を作り、電子辞書を標準搭載しておきます。で、「電子書籍も読める電子辞書」として売り出します。本体の機能は、そこまでハイスペックでなくても構いません。むしろ、電子辞書と喧嘩できる程度の価格(基準としては、「電子辞書買い換えたいけど、まあ、自炊した電子書籍が読めるなら、この値段でいっか」と思える程度)が必要ですから、カーナビ用の液晶を流用するとか、色々工夫する必要があります。
 この段階では、電子書籍マーケットは必ずしも必要ありません。電子辞書なんですから。他社(Amazon辺り)の規格が読めるといいですが、あまり必須ではありません。むしろ、青空文庫形式やPDF・JPGなど自炊した電子書籍が読めると良いでしょう。
 で、量産してコストを下げるために、「以前のものと比べて画面が大きく見やすい電子辞書」として、通販番組とかでお年寄りに売りつけます。ただし、この段階では、あまり儲けを考えません。今は、端末と会社の名前を定着させ、将来の電子書籍端末の定着と先行者利益を狙います。

 こうしてEBR-1でそこそこ電子辞書を置き換えて、名前を売る事に成功したら、いよいよ、より電子書籍に特化した新型機EBR-2を出します。こちらは、EBR-1より多少高くても構いません。その代わり、(EBR-1との互換は当然として)六法全書などもダウンロードできるようにします。電子書籍のラインナップは、辞書辞典からスタートして、冊子では部数があまり出ない専門書など、紙媒体ではどうしても値段高めになってしまう本を中心にします。そのために、原書房などの教授連中御用達な出版社を抱え込む必要があります。頭が固い著者さんだと、「電子書籍なんかより紙の方が……」なんて言い出すかも知れませんが、費用やら発行部数やらで釣れば、そこそこラインナップは揃うのではないでしょうか。値段設定は、紙媒体の1/10ぐらいいけるでしょう。どーせ在庫リスクなんてゼロですし。コピーされるリスクは、アカウント紐付けが一番簡単な気がしますが、キンドル辺りと互換か、許可が取れないようであれば、DSのように引越し可能な仕組みにした上で独自形式にせざるを得ないでしょう。
 また、電子書籍マーケットでは、一般の人も自由に小説やらエッセイやら漫画やらを投稿でき配布可能なようにしておきます。規格は何でも構いませんが、鍵付き・広告挿入のPDF(Jコミ形式)が一番無難な気がします。アンドロイドマーケットと同じで、こちらがわざわざコンテンツ作らなくても、ユーザーさんが勝手にコンテンツ作ってくれるので、コストを掛けずにコンテンツ不足を解消できます。また、これ以外にも、HTMLファイルとかを読み込んで何か面白い事ができるようにしておくといいでしょう。例えば、HTML5が読めたり、ジャバスクリプトで作られたゲームが遊べちゃったりしたりとか。
 これらの施策の主な対象は、大学生です。この手の話をすると、よく、「小学生から高校生を対象として、教科書を電子化した方が……」なんて言い出す人が居ますが、義務教育でそこそこ値が張る電子書籍端末を買わせるのは、ちょっと無理があると思います。既に今まで、その方向で実験的に採用されていたりしている所も多いですが、未だに普及していないのは、そういう理由があるのだと思います。ギリギリできたとして私立の高校生でしょう。大学生なら、丁度今大学バブルですし、そこでようやく可能ではなかろうかと。それに、この年代は、一番新しいものに抵抗がなくて、バイトとかで自由に使えるお金がある訳ですから、市場としてかなり有望でしょう。逆に、この市場にそっぽ向かれるような事があったら、ゲームセットです。
 そんな訳で、主に私立の大学や、大学生協などへの売り込みは、より熱心にやる必要があります(この辺りは、EBR-1の時代からやっとく必要があるかも知れません)。また、この段階では、GeNii辺りで既に電子化されてる論文がストレス無く読めるレベルじゃないとお話になりません。

 こうして、そこそこ普及して、コンテンツも揃ってきてから、ようやく、大衆向け書籍の電子化です。ここまでの段階で、実質的に電子辞書だったEBR-1も含めればそこそこの台数が出てるはずで、ラインナップも(大半はあまり売れないマニアックなものばかりとはいえ)かなり数が揃ってるはずです。この辺りの数字をエサにして、一般レベルでの普及を一気に狙います。
 そのために、新型EBR-3を出します。EBR-2よりハイエンドで、色々な作業をストレス無く行えるだけのスペックが求められます。当然値段が跳ね上がるので、従来機を値下げした上で併売して、EBR-3を買うだけの余裕が無い人の受け皿にします。
 ユーザーが増えれば、投稿も増えますから、ますますコンテンツは充実してきます。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるで、なかなかのヒット作も出てくるでしょう。そしたら、一般書籍化を働きかけて、話題なればますます利用者が増えて投稿も増えて……のスパイラル。

 

 電子書籍って、今まで何度も「電子書籍元年」を迎えつつも、今までなかなか普及しませんでした。著作権法上の問題とかコピーリスクとかある事は承知してるのですが、それ以前に、売り方が悪い気がします。
 だいたい、いきなり一般人向けに作っちゃうという時点で無理があるんです。一般ウケする本って紙媒体でも十分安いですもん。ただでさえ端末代が必要なのに、そんな所で勝負しても売れるわけがないんです。むしろ、在庫リスク事実上ゼロだというメリットを生かして、売れるかどうか解らないようなマニアックな専門書を、紙媒体では不可能な値段で沢山扱うべきなんです。また、コンテンツが少ないなら、電子化を許す著者が少ないなら、個々人が勝手にうpできるようにしてしまえばいいんです。

 以上、正攻法が難しいなら、搦手から攻めたらどうよ? という話でした。



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