ミハ缶ブログ

ヘタレ大学院生が綴る日常と非日常。
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今回の地震について気になっている事

2011年03月28日 | Weblog

 地震から2週間以上が経ちました。連日のように震災を伝えていたメディアも、徐々に落ち着きを取り戻し、またアホなニュースばかりやっています。

 今回の地震は、恐らく、今後の災害史に残るものとなるでしょう。もちろん、被害という点でもそうですが、発生のメカニズムが、今まで想定されていないものでした。よく、「何で対策をしておかなかったんだ!」とか言ってる(自称)識者がいますが、では、あなたは、今回の震災を予期できていたのでしょうか?
 明治時代、多くのレンガ造りの庁舎や倉庫などが建築されました。当時の東京には、「浅草十二階」という、今でいう東京タワーや東京スカイツリーのような観光地もありました。しかしそれらは、関東大震災で尽く倒壊してしまいました。
 現代の人々からすれば、「レンガ造りなんて、そんな地震に弱い建物をなぜ作ったんだ?」と思えるかも知れませんが、当時の人々からすれば、そんな事は、予想だにしていなかった訳で。最近の例でいけば、阪神淡路大震災で、「なんで、地震で倒れるのに、高速道路の高架を耐震補強しておかなかったんだ?」と言っているようなものです。
 そんなコロンブスの卵的批判をしている暇があったら、「今後、同じような地震が発生した時に、どのように対処・対策をしておくべきか」を考える方が、よほど建設的でしょう。

 さて、それを踏まえた上で、 今回の地震について、2点ほど、気になる事があります。杞憂なら良いのですが ……。

 

気になること1:間違った成功体験
  今回の地震では、津波による被害ばかりが報道されています。確かに、揺れそのものによる被害は、相対的に少なめで、それより、津波による被害が甚大であるという事は、当時の中継を見ながら感じていましたし、そのようにツイットもしていました。実際、そうでしょう。
 しかし、震災発生地域は豪雪地帯であり、雪に耐えるために、そもそも建物の強度が伝統的に強いという点を、忘れてはならないでしょう。また、建物そのものは倒壊しなくとも、内装材や照明が落ちてきたりしていたようです。
 更に、助かった人の体験談として、「揺れたので、急いで外に出た」というのが多いのも、気になります。日本古来の建築物の場合、地震が発生すると、屋根瓦が落ちる事で建物への負荷を減らすような構造になっています。最近の建物でも、割れた窓ガラスが落ちてきたり、看板などが落ちてきたりします。今回の地震でも、外装材が落ちてきたという事例もありました。
 今回、あまりに津波について報じられすぎており、それ以外の問題が見えにくくなっています。しかし、それ以外の問題にも、もっと眼を向けるべきではないでしょうか。

気になること2:原発について
 津波同様、大きく取り上げられすぎているのが、原発の問題です。確かに、現在進行形の災害なので、取り上げるのは判るのですが、(専門外な私から見ても)あまりに無知な取り上げられ方をしています
 例えば、津波対策についてですが、福島第二原子力発電所近辺は、遠浅の地形になっています。津波というものは、リアス式海岸や狭い湾といった地形の所で大きくなり、遠浅の海岸では海底との摩擦でエネルギーが減る……といった事が常識的に判明していました。恐らく、原発を作る時に、極力津波の影響が少ない場所を選んだのでしょう。
 しかし今回、そんな本来津波の被害が起こりにくいはずの遠浅の地形を持つ場所に限って、津波がより大きくなり、多大な被害が発生しました。多分、今まで知られていなかった(あるいは、あまり考えられていなかった)何かがあったのでしょう。これを想定しろだなんて、冒頭に書いた通り、無理な注文です。
 そして、今回の件を機に、原発叩きが各地で起きています。しかし、今回の地震で被災した原発は、福島第一第二原発だけではありません。東北電力の女川原発東通原発も、同様の被害を受けています。この二箇所では、正常に停止し、現在も、問題ありません。
 一体何が言いたいかというと、トラブルへの対策には、原因の解明が必要だという事です。福島第二原子力発電所でのトラブルは、現在進行中です。現在進行中のトラブルの原因を解明するのは、無理です(推定はできるでしょうけど、それはあくまでも「推定」です)。すなわち、適切な対策を決めるのも、同じく不可能です。なのに、一足飛びに「原発反対」という対策を主張したり、さも東電の組織体質が原因であるかのような議論をしたりするのは、全く無意味だと、私は思います。
 日本人は、一度事故が起こると、ひたすら叩く傾向があります。JR西日本の尼崎脱線転覆事故でもそうでした。日航123便墜落事故でもそうでした。しかし、そのような議論は無意味で非建設的です。大切なのは、同様の事故を繰り返さない事だと、私は思います。にも関わらず、事故そのものによる「○○叩き」ばかりに終始していると、そこへの対応にばかり労力が掛かり、また、ほとぼりが冷めて「○○叩き」が下火になったりするなどすると、事故の分析や対策が疎かになってしまう危険性があります。
 今回も、東電や政府が叩かれまくっています。また、原発そのものの問題も、同様に指摘されています。しかし、そればかりに終始していては、何も始まりません。この災害が無事収まるまで冷静に待ち、原因を分析し、(将来的な原発全廃も視野に入れた)対策を行っていく事こそが、大事ではないかと、私は思います。

 原発については、また再び書くかと思います。ただ、誤解の無いように付け加えておきますと、私は原発(消極的)賛成派です。むしろ、核融合発電推進派です。
 ……「核融合って水爆でしょ? 危険じゃないの?」とか思ったあなたには、「カレー食ってる時にう○この話すんじゃねぇよ」とだけ。

 

 

おまけ:
6社比較
 
NHKのみ

 私は、揺れを感じてから(動画中だと、国会中継中に緊急地震速報が出て、緊急番組に変わった辺りから)ずっとNHKにしていたので、他社の地震速報がどんな状況だったのか知りませんでした。しかし、これを見ている限りだと、かなり早かったみたいですね。
 普段、受信料やら何やらで叩かれまくっているNHKですが、やはり、非常時にはNHKが強いですな。
 一方で、テレ東は遅いですけど、テレ東はテレ東で、「テレ東が緊急報道番組を出す」というのが一種の指標となっている所もあるので、まあ、いいんじゃないでしょうか。その後の様子も見ていると、どうもテレ東は、「地震そのものは、永遠に記憶に残るだろう。しかし、原発はほとぼりが冷めたら忘れられるだろう」と判断したようです。
 私も、同意見です。だいたい、チェルノブイリでも、原発内部で作業していた人などを除けば、せいぜい半径30km圏内で採れた農産物を食べて体内被曝したぐらいしか明らかな健康被害が起きていない訳ですし。そういえば、広島長崎も、「今後100年は、植物も生えない死の大地になるだろう」とか言われてましたよね。

 それにしても、NHKすげー。



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