去年の秋の終わり、冬囲いをするときに、ラベンダーの木を引っこ抜いた。
ずっと花が咲かなかったからだ。
もう少し大きくなったら咲くのかな、来年は咲くのかな、と毎年思っていたけど、いつだか何輪か咲いたきりもうただの一つも咲かなかった。
抜いてみて気付いた、そのラベンダーはずいぶんお年寄りだった。
幹と枝が古木の雰囲気だった。
盆栽みたいに、うねって曲がって風雨に耐えましたって感じ。
数えてみたら植えてから25年ぐらい経っていた。
そんな木を抜いてしまって後悔した。
枝はリースにして、クリスマスに飾った。
コップにも差して部屋に置いたらラベンダーの香りがした。
コップのは冬の間中元気で、春になっても元気で、五月が終わろうとしている今、つぼみをつけた。
米粒みたいに小さいつぼみだけど。
突然抜かれてびっくりしたんだと思う、ラベンダーは。
それでコップの枝にあの木の精気がまだいるのかなあと思うのだ。
半年もコップで生きてつぼみ付けたんだからさ。
これから暑くなるから、もうコップでは無理だと思う。
どうしたものかなあ。
どうにもならないか。