散歩瞑想記 & ツレの物語

歩きながら自然とエネルギーを循環させる、散歩瞑想をしています
そして、ツレ、物語る

四月二十七日 良い子はマネしない 4

2013年04月27日 15時04分39秒 | 物語「良い子はマネしないでね」
「火事にならないよな?」

あんなに火の粉が舞い上がるし、今じゃ、辺り一面に煙がたちこめている。
…だよなぁ~
最早、蜂どころじゃない!
本来の計画では、ココで昼ご飯を食いに帰った後に、再び掃討作戦に移行する手筈だった。

火事の心配がないか確かめようにも、小屋の周りはスズメバチがブンブン飛び交っていて近づけない。
小屋が燃えたりしたらシャレにならない。
不安だ。


ジリジリと時間が過ぎる…

我慢のきかない俺達には限界だ。
決死の覚悟で見に行くことにした。
依然として、蜂はブンブン飛び回っている。
もう、こちらには戦闘継続の意思は無いのに…憎たらしい!

裏手に回り込み、慎重に近づいて火の気がないか確かめる。
大丈夫だ…
でも何か今ひとつ自信が持てない。
ちょっぴり不安。
「こうなったら水をぶっかけよう」
それしかない!
バケツに水を入れて、出来る限りの距離を取り、一斉に小屋に向かって放水!
ダッシュで退却だ。
蜂の反撃は無い模様。
なんだ? モノ足りない!
とりあえず、もう一回。
絶対安心のために、また一回。


戦いがやっと終わった…

みんな、心身共に消耗激しく、おとなしい。
だが明日には回復して、
「スズメバチの巣を爆破してから、トドメに水攻めにしてやったぜ♪」
とか言って自慢しまくるに違いない!
俺は、「大したことじゃない」っていう感じでクールにいこう。
その方が絶対にカッコイイ! ニヤリ

       終



(かわいい顔してこんなことをしてたとは、油断ならないガキンチョどもだ。
きっとまだまだコノテの話があるに違いない。
ツレよ、・・・おもしろい子ども時代送ったなあ)

ツレは休みなく物語り続け、精力を使い果たした。
今は、抜け殻のようになって風にふらふら揺れている。

ありがとう、おかげでおもしろかったし、チビツレのことがよくわかった。
こういうのを経て、今のきみがあるんだね。
栄養つけて元気になったら、また物語を始めてね、待ってるから。


読んでくれたかたへ

よろしければ一言感想などお書きください。
ツレに話して聞かせます。

四月二十六日 良い子はマネしない 3

2013年04月26日 12時41分53秒 | 物語「良い子はマネしないでね」
作戦の概要はこうだ

一把20入りの爆竹を、袋から導火線だけを出して、スズメバチの巣に4ないし5個を貼り付ける。
その後に、蜂が警戒を解いたのを確かめてから、爆竹の導火線に向けて一斉に打ち上げ花火を発射!

それぞれの役割分担や手順の確認はもちろん、必要物資も全て取り揃えた。
準備万端!いざ!

作戦決行は
明日(みょうにち)
11:00時(ひとひとまるまる)
各員ノ任務遂行ニ尚一層ノ努力ヲ期待ス 


決行日

作戦開始から30分後に爆竹の取り付け終了。
正面に3つ、裏側に2つ、計5個を貼り付けた。
俺達のやり方では側面は諦めなければならない。

一息ついて、扇型に展開。
慎重に近づく。
持ち場まであと少し。
ここからは匍匐前進で行かなければならない。
緊張する~
全員、所定の位置に着く。
秒読み開始…5、4、3、2、1、
発射!


シュボッシュボッシュボッ

勇者5人が放つ3連発花火の火力は凄まじく、スズメバチの巣は火の粉に包まれた。
ババババン
爆竹が炸裂!やった~♪
爆発音と共に破片が飛び散る。
敵の要塞は、絶え間ない衝撃波にみるみる破壊されていく。ヒュウー♪

その光景は後年、スターウォーズを観たときに蘇る。
まさに、デススター!

パーン…パーン…
散発的な爆発があるが、要塞は依然、完全には崩落していない。
第2波をかましてやるか?
だが、新たに深刻な問題が起きた。
その不安に俺達は飲み込まれた。

      つづく

四月二十五日 月下

2013年04月26日 01時07分21秒 | 日記
今夜はおおきな十六夜月だけど、光が少し冷たいのはやはり四月の月だから。
あばら骨みたいなしましま雲が、月の面を過ぎてゆく。
光は陰り、ひかって、陰り、戻る。

すこし上空に昇ってみれば、トタン屋根はにぶく光り、山はうっすら光を吸っている。
田んぼや野原は、雪は消えても緑はまだ萌え出さない、冬と春のくすんだ隙間だ。

静かだなぁ。

出稼ぎに行ってる友だちから夜半に電話。
心配してたんだ。
過酷な現場だから。
声に元気がなくて、だいぶ消耗してるみたいだったけど、心はお日さまのほうを向いていた。
そうだよ、どんなに酷使されても、心は渡さないで。

今夜はたくさんの友だちが、いっしょに月を見ている。
一人ひとり別々のところで、同じ月を見ていた。

四月二十五日 良い子はマネしない 2

2013年04月25日 12時07分11秒 | 物語「良い子はマネしないでね」
幸いなことに、敵は河川敷の小屋に陣取り、そこに要塞を築いていた。
この状況の意味するところは一つだ。
後慮の憂いなく総力戦が可能!
「ハッチの仇」に遠慮はいらない! 殲滅あるのみ! (みなしごハッチね)

先ずは偵察だ。
敵の戦力を知らなければならない。
「…百戦あやうからず」だ。
要塞の全容を調べ、捕虜を捕まえたら作戦会議だ。 (ほりょをどうする)

それぞれ、虫採り網を持って要塞に接近する。
要塞は思いの外、デカイ!
後ろからブビ~ってスズメバチが通過。
怖い!
要塞に近づくと、羽音は大きくなりチビりそうになる。 (きっとチビった)
スリル満点!
クラクラする。
「確保!」の声がしたので撤収する。
指令部に戻り作戦会議だ!


捕まえた捕虜は、口をわるハズはないので処刑することにした。 (やっぱりな)
爆殺だ。
どれぐらいの距離で死ぬか確かめる。
アーメン…
爆竹の威力は凄まじく、スズメバチといえども半径20cmは殺傷範囲内だと分かった。
南無阿弥陀…

作戦会議は紛糾した。
命がかかってるから当然だ。
A案
「火薬をビンに詰め爆破!」
小屋ごと吹き飛ばす可能性があるので却下
B案
「完全防御服を着て今までの手順で…」
即、却下
などなど…実現不可能な案ばかりだ。
死にたくなければ真面目にやれ!

…結局、最後はいつも通りに、破壊コンテストチャンピオンの意見に従った。
「スズメバチの巣の容積から考えると、蜂の数はだいたい50匹だから爆竹は…」
お~、なんて科学的♪流石だ!
きっとノーベル少年もこんな奴だったに違いない!

       つづく

四月二十四日 良い子はマネしないでね

2013年04月24日 20時08分12秒 | 物語「良い子はマネしないでね」
「ツレの物語」
油断ならないガキンチョどもの巻 ―爆竹―


ガキの頃に爆竹でイロイロと遊んだ。
クラッカーやロケット花火でも遊んだが、やはり爆竹が一番面白かった。
破壊力が違っていた。
当時の爆竹は今のモノより強力だった気がする。

最初は各自が魔改造したシナを持ち寄って、砂場にどれだけデッカイ穴をあけられるかの破壊力コンテストだった。
でも、チャンピオンがいつも同じ奴だったので、スグに改造遊びは廃れた。
次は、蟻の巣の入口に仕掛けて爆破し、出てくる蟻を空爆したり、石をおこした瞬間に爆竹をほうり込んだりした。
石の下から這い出してきたハサミ虫やムカデをピンポイント爆破!
テレビの影響だ。
俺達はすぐに感化される。

…でも何かモノ足りない。
これではただの弱い者イジメだ。 (そうだそうだ)
だいたい、反撃してくる獲物でなければスリルがない。
蜂だ。
奴等は人を襲う。 (そゆのもいるな)
退治しなくてはならない。
反撃だ!
恐れることはない。
爆竹の何たるかを知り尽くした俺達に、敵う者などいないのだ。 (場数ふんだらしい) 


最大の問題は大人だった。

たいがい、蜂は民家の軒に巣を作る。
誰だって、そんな所で爆竹を鳴らされたら怒る。
難問解決の緒は見つからない。
ここは一つ、とりあえずやってみることにした。

しかし、ここで予期せぬどうでもいい問題が発生した。
爆竹の破壊力、蜂の反撃、大人の怒りの恐怖に耐えられず、脱落する者が出始めたのだ。 (つねにそゆものである)

様々な失敗を乗り越え、難易度が上がるに従って人数は減った。
残った人数は5人。
みんな、一騎当千の強者だ。
最終戦にむけて場数をこなし、蜂の習性を知り尽くしたベテランばかりだ。
頼もしい!
もちろん最終戦は最強で最凶のキング「スズメバチ」だ。 (スズメバチ!? まじすか)

               つづく

四月二十三日 つくしの見た風景

2013年04月24日 01時18分04秒 | 日記
先月、亡くなった父の知り合いに手紙を書いた。
返事が来た。
体動かず、夫の世話になって十年余り、施設に入ったとあった。
それでも夫は毎日来てくれる。
申し訳なくて申し訳なくて、生きているこの身が辛いのですと。

若い頃は、はつらつとした方であったのに。
病は過酷だ。
わたしは介護歴が長かったけれど、介護するよりされるほうが能力がいるなぁと思った。
人の世話になって生きるということは、なにかを手放すことだ。
誇りとか尊厳とか、そういうことではなくて、たぶんもっと余計なものを。
子どもの頃はなくても幸せだったものを、もう一度持たない自分を経験し、手放すことを学ぶのだと思う。

でもその時になったらきっと自分も苦しんで、「阿弥陀さま、はやく迎えに来てください」と思うに違いない。

田んぼ道の、つくしが見た風景は、つくしだけのものだ。
それが青い空じゃなく、どんよりした雲やほこりっぽい風であったとしても、たったひとつの大事な風景だ。

四月二十二日 ある事件 三

2013年04月22日 22時06分46秒 | 物語「ある事件」
事件発生3日目

全員揃っところで組み立て作業を開始した。
ナカナカ捗らない。
刻々と時間ばかりが過ぎ、みんな焦るばかりで険悪な空気が漂いはじめる。

「高校生なら自分で組み立てられるハズだ」との意見に、珍しく全員が賛同した。
それからコトは一気に進んだ。
ネジとか、何だか分からない部品はまとめて袋にいれて、ソレのそばに置いておくことにした。
だいぶ自転車ぽくなったのでヨシとして、ソレをきちんと磨いて完了とした。

指紋を残すようなドジはしない。
見張りをたて、慎重かつ迅速に、ソレと若干の部品を元の場所に戻した。
何処かに証拠を残すようなミスがなかったか検証した。
抜かり無し!
みんなに安堵の表情が浮かんだ。

全員のアリバイをつくるために、架空の話をでっち上げた。
明日からは、何事も無かったかのように振舞わらなければならない…
「明日は大仕事だな」とか冗談を言い合って解散!


後日談

次の日の朝、ソレの姿はなかった。
以降、誰も見かけることもなく、ソレの存在は忘れ去られた。

初夏
ソレの主の高校生は、バイクで通学を始めたとの噂だ。
組み立ては出来なかったのか、と残念に思った。
まぁ、学校までの15kmを、自転車のみで通わないヘタレには無理だったか…

ソレの存在自体は儚かったが、俺達の記憶には確かなモノとして残っている。
チョットした罪悪感と共にだけど…


(わたし)
高校生は、自転車を組み立てられなかったのか・・
ちゃんと直して乗ってた、っていうのならよかったな。
でも、そのせいでバイクを買ってもらえたのかもしれず、
もしかしたらそれがきっかけで、今ごろバイカー人生を謳歌してるかもしれない。(むりやり)

四月二十二日 ある事件 二

2013年04月22日 12時12分06秒 | 物語「ある事件」
事件発生2日目

手持ちの道具だけではこれ以上の解明は難しくなり、近くの公園で遊んでいたら、イッコ下の奴が近づいてきた。
「○○ちゃん達、昨日自転車盗んだろ」
速攻で拉致して尋問した。
どうやらアレは、二キロほど離れた家の高校生のバス停までの通学用自転車だと判明した。
シマッタ!
だが、とりあえずコイツを何とかしなければならない。
「お前、誰かに教えたか? 教えたら俺達は主犯はお前だっていうからな! そしたら多分、お前は死刑だから」
これだけ脅せばビビって黙ってるだろう。
大丈夫だ。
問題はアレだ。
問題解決の知恵を出し合った。
警察が動き出す前に元に戻せば大したことは無いという結論になり、明日は日曜だから昼から集合することにした。

              続く

四月二十一日 散歩瞑想

2013年04月22日 01時07分16秒 | 日記
きょうは雪が降って、とても散歩どころではないと思っていた。
夜になって友だちが、「月でてるよ」とメールをくれた。
おや、気づかなかった。
もう夜中だったけど、ずーっと月を見ていないのでとても見たかった。
行っていいかと聞くといいよと言うので(自分が)、出かけたのです。

はあ・・、黄金色の光が、脳みそに入り込む感じです。(どういう感じだ、そりゃ)
十二日目の月なのでもっと明るくていいはずなのに、やはり春の月はどこやらぼんやりしているのでした。

なんだかどこまでも歩いて行けそうな気がして、
歩いたまま眠れそうな気までして、
いつかほんとうにやってみようと思っている自分はエライなあと思います。
きっとこういう状態を、わたしは散歩瞑想と言ってるんだと思う。

ただ、道からはずれないようにね。
一度田んぼに落ちたからね。

とてもいい晩でした。

四月二十一日 ある事件

2013年04月21日 13時02分55秒 | 物語「ある事件」
ツレがチビすけのころの物語。


事件はバス停のすぐ脇でおきた。
ソレは行方不明となってから3日後の夜に、事件現場で無惨な姿で発見された。


事件発生前日

俺はソレが気になっていた。
朝早く登校する時も、日が暮れてから家に帰る時も、ソレはずっと同じ場所にあった。
不思議に思って仲間に話し、イロイロと推測してみた。
協議の結果、ソレは捨てられたんだと決定した。

次にソレの今後についてを決めるため、見に行くことにした。
物陰に置かれたソレを出して鑑定する。
やはり捨てられる位だから「カッコ悪い」
ハンドルには、包帯みたいな絆創膏がグルグル巻いてあって痛々しい。
何より全体がスカスカして頼りない感じだった。
俺達にとっては、電子フラッシャー、サイドミラー、スピードメーターなどの装備こそが評価の対象であり、カッコ良さだった。
Wビームライトも、ディスクブレーキはおろかドラムブレーキですらないソレは、自転車と呼ぶにはなんとも恥ずかしいシロモノだった。
ただ、ギアがペダルのところにもあるというが唯一の救いだった。


事件発生当日

学校でアレの処遇を話し合いした結果、あのまま朽ち果てさせるのは勿体無いとなった。
そこで、とりあえず放課後に基地へ移送し、点検してみることになった。

移送完了後、各々で持ち寄った道具類でさっそく作業を始めたが、点検ではなく自転車のしくみ解明になってしまった…
こうなってしまったら俺達は止まらない。
黙々と、分解じゃなく分析作業に没頭した。

暗くなってきたので解散して、明日また引き続き解明作業をすることにした。

                  続く

四月二十日 特技

2013年04月20日 13時12分41秒 | 物語(一話完結)
ツレがまたオモシロイことを言い出した。


俺はガキの頃、なんとかテレビに出てみたいもんだと思っていた。

そこで目をつけたのが「特ダネ登場」だ。
「万国ビックリショー」は何か敷居が高い感じがしてビビってた。
外人が出てたんだからしかたがない。
それに、田舎者だからって言葉の問題で通訳をつけられる可能性があるし…
その点「特ダネ登場」は、ナレーションで熊倉一雄が「この方は…」って紹介してくれるから安心だと思った。

当時、俺には必殺の特技があった。
自由に「心臓を止められる」んだ。
だから出演は間違いなく出来ると思っていた。
そこで、一番口のかたい信用できる友達に披露して、感想を聞かせてもらうことにした。

だが、俺の必殺特技には重大な欠点があると分かり、テレビ出演の望みは消えた。
友達曰く
「それって、だだ息を止めるってだけだから誰でも出来る。たしかにズーとやってれば心臓は止まるからそれはそれでスゴいぞ」

野望は潰えたがまた一つ賢くなったからヨシとした。


わたしは思います。
人の一生は物語だと。
どんなことがあったとしても、「何か起こらなきゃ物語にならないだろ?」
と思えば、笑っていられる。
かもしれない。

ツレよ、ほんとに心臓止められるんじゃなくてよかったよ(´-`)

四月十九日 蟻地獄 三

2013年04月19日 11時36分18秒 | 物語「蟻地獄」
第六日目
アントンのビンに砂糖を振りかけて、蟻の巣の近くに置いてからプールに行く。
帰ってからしばらく観察したけど変化なし。
アントンは少食?
落ちてくる蟻に攻撃しない。
つまらないので雨のあたらないところにおいて遊びに行く。


蟻地獄はかなり少食で、たまに落ちてくる蟻とか団子虫をチュウチュウ時間をかけて食う程度。
ウンコは勿論オシッコもしない。
アントンはウルトラ怪獣のアントラーから命名した。
いやはや続きはどうしたらいいものか…


めんどくなったからアントンのビンに大量の砂糖を入れた。
観察日記はあとは創作で何とかすることに決めた。
今までと同じでたぶん乗り切れる…


夏休みも終盤、アントンを見に行った。
アントンの巣はカッピカッピの砂糖におおわれ、小さな虫達の楽園になっていた。


それでアントンはどうなったの?(わたし)
あー・・・捨てた。(ツレ)
はっ?(わたし)
あ、そ。(わたし)

男の子ってそういうもんです。

四月十八日 蟻地獄 二

2013年04月18日 11時04分25秒 | 物語「蟻地獄」
第四日目
朝から蝉がうるさいから蟻地獄の観察はナシにした。
午前中はプールで遊んだ。

帰りに駄菓子屋でアイスを買って食べていたら、ラムネの空ビンに蟻がたかっていた。
そこでヒラメイタ!
家に帰りサイダーを飲む。
地球サイダーだ。
タカラでも三ツ矢でもない。
空ビンを蟻の巣の側に置いておく。
横に倒して、蟻が入りやすいように地面と飲み口に枝切れで橋を架けておく。

一時間後、蟻でいっぱいのビンをもって蟻地獄に行くと、ライバルがいなくなったからか、巣が少し大きくなっている気がした。
ビンの口から脱出した蟻が、蟻地獄の巣に落ちるようにセットする。
完璧と思った作戦だったが蟻はナカナカ落ちない。
かなり自由にビンから出入りしてる。
こんなにいるのにマヌケな奴があらわれない。
悔しいがそのまま撤収!



第五日目
さまざまな作戦を考えているとあるコトに気がついた。
わざわざ山の神社に行かなくても、蟻地獄を家に持ってくれば良かったんだ。
…誰かに知られたら笑われるところだった。危ない…

さっそく実行
栗のビンに軒下のサラサラの土と蟻地獄を入れて帰る。
また少し大きくなっている気がした。
飼うからには名前をつけなくてはならない。
アントンにした。

               つづく

※栗のビンとは口径6cm、深さ18cmの900ccの無色透明なびん

四月十七日 蟻地獄

2013年04月17日 15時59分42秒 | 物語「蟻地獄」
つれあいが誕生日祝いに物語をくれた。


夏休みの自由研究で、僕は蟻地獄の観察をしようと決めた。
理由はかっこいいからだ。
朝顔とか夏の星座の観察は誰でもやってるからカッコ悪いと思った。
裏山の神社に蟻地獄がある。
石段は百五十段。
朝のラジオ体操が終わってから急いで観察に行けば○○○のテレビには間に合う。
ナイスアイデアだ!

第一日目
蟻地獄がいっぱいあって、どれを観察すればいいのか迷ってしまう。
だから一番デカイのを選ぶことに決めた。
平らな石の上に、神社の軒下の蟻地獄を全部集めてみる。
ファイト!
思った通りにデカイのがチャンピオンだった。
勝負の結果に従い、チャンピオンだけが神社の軒下を支配することになった。
自然は厳しく残酷だ。
敗者には死んでもらった。

第二日目
朝の早い時間には蟻はうろついていない。
対策を練らねば、今までの努力が台無しだ。
焦る気持をプールに入り落ち着ける。

第三日目
朝から雲行きがあやしい。
雨が降ったら石段が濡れて滑りやすくなる。
貴重な夏休みだ、怪我でもしたらもったいない。
危険を避けて安全な布団に避難する。
蟻地獄のことは明日にする。

                      つづく
    

四月十六日 川

2013年04月16日 23時03分47秒 | 日記
タイヤ交換してもらっている間に堤防を歩く。
川は雪解け水で増水していた。
2年前、ここで雪玉を投げたら手袋ごと飛んでいったっけな。
しばらくの間、流れの上の猫柳に引っ掛かっていたけど。
きょう何となく探してしまった。あるわけないのに。
思い出の場所で、さよならした人を探すみたいに。