#647: Good Vibrations

2014-09-09 | Weblog
ビーチ・ボーイズの続き。

ブライアン・ウィルソンは、フィル・スペクターのアルバム作りに啓発され、アルバム“PET SOUNDS”制作のころからより入念なプロデュースを心がけるようになる。時代とミュージック・シーンの変化に積極的に対応し、サイケデリックとエレクトリック・サウンドを追求し始めるのだ。そうした姿勢の中から生まれたのが、66年の“Good Vibrations”という曲であった。

当時としては、破格の大金と時間をかけ、4か所のスタジオで17回のセッションを行い、ダメ押しのミキシングを4回も行った末に完成させた。

GOOD VIBRATIONS (1966)
(Words by Mike Love/Music by Brian Wilson)

Ah I love the colorful clothes she wears
And the way the sunlight plays upon her hair
I hear the sound of a gentle word
On the wind that lifts her perfume through the air
I'm pickin' up good vibrations, she's giving me excitations...

彼女のカラフルな服が好き
彼女の髪が日光に輝いている様子が好き
優しい言葉が聞こえる 風に乗って彼女の香水の匂いがする
素敵な雰囲気を感じる 彼女は興奮を与えてくれる...


初期の電子楽器であるテルミンを使ったり、サイケデリック・サウンドを強く意識している。

Close my eyes she's somehow closer now
Softly smile, I know she must be kind
When I look in her eyes she goes with me to a blossom world
I'm pickin' up good vibration...

目を閉じると彼女がそばに寄ってくる
少し微笑んで 優しく接してくれる
彼女の目を覗くと僕と一緒に花の世界に行ってくれる
いい感じになってきた...

歌詞の後半には、当時のヒッピー文化の基本モチーフ、キーワードであった“Blossom World”などという言葉も出てくるし、“Vibrations”というのも、ヒッピー用語で、「波長(心のゆらぎ)」「霊気」というような意味だ。この作品のアイデアは、ブライアンが子供のころから母親に聞かされていた“Vibration”の話が元になっているという。
“Pick”というのは、「数ある中から選び出す」というニュアンスで、“Choose”よりはもっとくだけた語感のようだ。
したがって“Pickin' up good vibrations”は「良い霊気を選ぶ」=「良い雰囲気を感じ取る」=「気持ちがいい」ということであろう。
サウンドはサイケデリックで不思議な感じ、コーラスも複雑だが、とても洗練されていて美しいハーモニーである。

ちなみに、ビートルズの最高傑作アルバムと評される“Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band”がリリースされたのは、翌67年6月のことで、多分にビーチ・ボーイズのこういった楽曲やアルバム作りを研究した節がある。
また、蚤助の個人的な見解だが、ビートルズの“Back In The USSR”という楽曲は、“Good Vibrations”のコーラス・ハーモニーに対するビートルズなりの返歌ではないかと思っている。

ビートルズとは違って、コンサート・ライヴを積極的に行っていたビーチ・ボーイズ、さすがにこのナンバーはライヴで演奏するのは無理だろうと思っていたが、実はアチコチで披露している。
日本では、アカペラ・グループの“RAG FAIR”(だったと思う)が、テレビでこの曲を歌ったのを観てビックリしたことがある。

この曲がヒットしたのは66年の秋頃で、年末には世界中でヒット・チャートのトップに立っていた。同時期に流行っていたのは、シーカーズ“Georgy Girl”、タートルズ“Happy Together”、ジェファーソン・エアプレイン“Somebody To Love”、シュープリームス“You Can't Hurry Love” といった曲であったが、“Good Vibrations”には完全にノックアウトされてしまい、買ったシングル盤はそれこそすり切れるほど聴いたものである。
蚤助の特にお気に入りの曲だったのだ。

二番からマイク奪われ戻らない  蚤助

こちらは“Bad Vibrations”、お後がよろしいようで...。


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3 コメント

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Unknown (marucox)
2014-09-14 13:15:02
こんにちわ。

ビーチボーイズ、改めて聞くと
コーラスの難度が高く、メロディも斬新で
今聞いてもとても素敵です。

この世で一番理不尽なことは
思いがけず天災や事故や病気で
身近にあるかけがえのない命を
奪われることだと思います。
でもそれ以外にも理不尽なことは
少なからずあるのだと言うことを
60近くになって知りました。
蚤助さんのご経験されたことに比べたら
塵ほどでもありませんが・・・・・。

人生は切なく哀しみに満ちたものかもしれません。
ダイヤモンドが連なったネックレスには
到底成りえない事でしょう。
でも時々訪れる幸せの瞬間を大切に
ありのままに精いっぱい過ごせば
小さな真珠がところどころに飛んだ
ステーションネックレスぐらいにはなれる気がします。

いつも記事は楽しく拝見していますヨ。
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こんばんは (蚤助)
2014-09-15 18:14:53
1歳1か月になったばかりの孫娘がRSウィルスから肺炎を起こして、10日ばかり入院していました。
先週末、ようやく退院できたのですが、本来、冬に流行するというウィルスがこの夏場に流行るとは…。
保育園で流行しているようです。大人はなんということもない症状でも、乳児の場合には時として重篤になることがあるようです。
空気感染ではなく、経口感染のようで、おもちゃとか、そういったものからうつるようです。
例年より患者数が増えているという報道もありました。いろいろありますね。
あ、ブログをご覧になってもうつりませんから、ご安心を…(笑)。



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どうぞお大事になさって下さい (marucox)
2014-09-15 18:52:51
快復されたようでよかったです。
蚤助さんはじめ、皆様お気をつけて。
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