#222: ひと目惚れ

2010-02-22 | Weblog
 平成22年2月22日と2が5つ並ぶこの日の本稿が、#222というのは全くの偶然であるが、テーマは「2」ではなく「ひと目惚れ」である(笑)。

 ドリス・トロイというシンガーをご存じだろうか。R&B系の黒人女性歌手だが、1963年に彼女がグレゴリー・キャロルと共作し、自ら歌った「ジャスト・ワン・ルック」(Just One Look)は彼女の最大ヒットである(全米10位)。と言っても、ヒットしたのはこれ1曲しかないので、いわゆる典型的な一発屋さんだが、そんな曲をなぜ話題にするのかというと、もちろん名曲だからである。ドリスを高く評価していたソウル界の大御所ジェームズ・ブラウンが口添えをして、ドリス盤が世に出たが、彼女の成功はこの作品だけであった。

 蚤助は、オリジナルのドリス盤は知らなかったが、ホリ―ズ盤でこの曲を知ったのだった。ホリ―ズの絶妙なコーラスとブリティッシュ・ビートがご機嫌で、1967年イギリスでもアメリカでもチャート「2位」(こちらは“2”に縁があったね)にランクインした。「ひと目惚れ」の歌なので、メロディも明朗にして快活、したがってホリ―ズの十八番といってもよい楽曲である。蚤助は、後年ドリス盤を聞くまで長いこと、ホリ―ズのためのオリジナル曲だとばかり思っていたものだ。そして、1978年には、当時人気が最高潮であったリンダ・ロンシュタットのアルバム「Living In The U.S.A.」(画像)がリリースされ、この中からシングルカットされた「Just One Look」がヒットしている。言うまでもなく彼女のカヴァー曲の選曲センスは素晴らしい。多分、プロデューサーのピーター・アッシャーの示唆もあるのだろう。この歌の仕上がりは実に良く、蚤助の大好きなヴァージョンである。

♪ひと目みただけで あなたに恋してしまった
 あなたの愛を得ることが どんなに素敵なことか
 知ってしまったの
 
 だから あなた いつまでも
 わたしのものでいてほしい

 夢だと思った
 でもそうじゃなかった
 でも あなたをわたしのものにするまでは
 いつまでも あなたを 求めていくの

 たったひと目で それだけで
 ひと目見ただけで そう たったそれだけで…

という感じの、まさに「ワン・ルック」の瞬間、「Falling In Love」してしまう内容で、涙目になりそうな歌である(笑)。

 さて、表舞台から消えたドリス姉さんのその後だが、アメリカよりもイギリスで多くの支持を集めたようだ。アップル・レコードに迎えられたり、ローリング・ストーンズやピンク・フロイドなどのレコーディング・セッションで活躍したり、ついには母国アメリカで、彼女の半生をもとに、ミュージカル「ママ・アイ・ウォント・トゥ・シング」が製作された。そしてこの「ひと目惚れ」の歌は、ママス&パパスのミシェル・フィリップス、アン・マレー、マーサ&ヴァンデラスなど沢山のアーティストがカヴァーする作品となっている。

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「踏み出せば少しで恋に落ちる距離」 


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