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#246: 煙が目に…

2010-05-01 | Weblog
 タバコが大幅値上げとなる。ニコチンときっぱり縁を切ってから相当な年月となるが、きっかけは年頃だった娘が嫌ったからである。とても物分かりのよい父親というか、娘にだけは嫌われたくない哀れな父親なのであった(笑)。

 煙草を一本吸うごとに、寿命が5分縮まるという。煙草といえば、吸い方のカッコ良い男は何といってもハンフリー・ボガートだろう。映画「カサブランカ」では、上映時間102分の間に、ボガートは13本の煙草を吸っているそうだ。詞べた人もヒマだが、リハーサルも含めてボガートは一体何本の煙草を吸ったのか、それでどれくらい寿命を縮めたのか…、まあこんなことを考えていては、せっかくの名画も味気なくなるというものだ。

 煙草と恋愛は似ているところがある。しなければしないで済むが、してしまうとなかなかやめられない(笑)。恋の炎は、煙草の吸殻を灰皿にひねりつぶすようにはいかない。靴先で踏み消すこともできない。水をかけてもダメだ。たとえ失恋だとしても、である。恋に年齢は関係ない、老人になっても同じである。「煙が目にしみる」(Smoke Gets In Your Eyes)は、そのあたりの心を歌って見事である。歌詞の中身からいって、断じて焚火や暖炉の煙突の煙でないことは確かだ(笑)。

 「みんなは本当の恋がどうしてわかるのと訊く。でも私の中の何かにさからうことはできない。みんなは、恋は盲目、いつかそれがあなたにもわかると言う。心が燃えるときこそ、煙が目にしみることを知るべきだ。恋を失って、友は嘲笑い、私は涙を隠せない。でも、私は言う、恋の炎が消えた今、煙が目にしみるのと…」

 歌詞の大要は以上だが、気丈な女性が、恋の終わりをからかって「泣いてるの?」と聞く友達に「ううん、ただ煙が目にしみただけ」と返す図である。作詞オットー・ハーバック、作曲ジェローム・カーン。1933年のミュージカル「ロバータ」のための歌である。翌年映画化され、フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャースが出演したが、この曲はアイリーン・ダンが歌った。1952年には「ラヴリー・トゥ・ルック・アウト」と改題され再映画化、歌ったのはキャスリン・グレイスン。日本未公開だったが、後年「ザッツ・エンタテインメントPART-2」でこのシーンが見られる。サビで二度も転調する凝った曲だが、しかも無理がないことがこの曲に深みを加えている。歌い方によっては、クラシックの歌曲のようにも聴こえ、やや古めかしさも感じることがある。発表当時はマーチだったそうだ(笑)。

 多くの名唱があるが、最初に注目されたのが1958年、後にスリー・ディグリーズのプロデューサーになるリチャード・バレットのレコードだったが、それからほぼ1年後、凄いリメイク作品が登場した。当時最高の黒人コーラス・グループであった、プラターズのヴァージョンである。全米1位のミリオン・セラーを記録した。「煙が目にしみる」といえばトップ・テナーのトニー・ウィリアムスの歌声にとどめを刺すだろう。ちなみに、エラ・フィッツジェラルドもサラ・ヴォーンもライブでの熱唱で汗だくとなりながら「汗が目にしみる」とやって聴衆を沸かせている。なお、蝉坊さんのカラオケは、プラターズばりのなかなかの熱演であります(笑)。 

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「煙草やめやたら煙が目にしみる」



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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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煙が目にしみる (蝉坊)
2010-05-20 00:04:56
シミマシェン。トニー・ウィリアムスの味な清潔感大好きです!
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