
まずは英語の問題である。
「(問)“The night we called it a day”というのはいったいどんな夜のことでしょうか。正しいと思うものを選びなさい。」
a)長い一日が終わった夜
b)僕たちが徹夜をした夜
c)僕たちが昼間のことを話し合った夜
d)僕たちが終わりにした夜
e)僕たちが一日と呼んだ夜
“The night we called it a day”というのは、ソングライターで弾き語りの名手でもあったマット・デニス(1914~2002)が1941年に作ったスタンダードナンバーのタイトルである。作詞したのは、デニスの楽曲にたくさん歌詞を提供したトム・アデア。蚤助がこの曲を最初に聴いたのは、おそらくヴォーカルではなく、ミルト・ジャクソン(vib)とジョン・コルトレーン(ts)との共演盤“BAGS & TRANE”(1959)(こちら)におけるバラード演奏であったと思う。ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、コニー・ケイ(ds)というメンバーも粒ぞろいで、ずいぶんと聴き込んだものだったが、この曲のタイトルの意味するところが長いことわからなかったのである。生来の怠け者で、敢えて調べようとする気にならなかったのだ。
その後、“PLAYS AND SINGS MATT DENNIS”(1953)で作者マット自身による弾き語りのライヴ録音(こちら)や、クリス・コナーの“CHRIS CRAFT”(1958)における歌唱(こちら)、最近ではダイアナ・クラールの“THE LOOK OF LOVE”(2001)における歌唱(こちら)などを耳にするにつけ、次第に意味を知りたいという欲求が強くなってきた。
蚤助の場合、辞書を引き引き歌詞の意味について思いを巡らせていくわけだが、いくつかの辞書にあたる中で恰好の辞書を見つけた。現在は、家庭を持って家を出た息子が、家に置いていった“LONGMAN”の英英辞典である。この辞書は、どうやら特に非英語圏の学習者のために編纂された辞書のようで、すべての単語を原則として2千語以内で説明してある。それも説明が易しいというユニークな特徴を持っているのだ。
そこで、このマット・デニスの佳曲“The day we called it a day”である。時を表す関係副詞“when”が省略されていて、本来は“The night when we called it a day”であるが、“night”と“day”が対として使われていてなかなか気の利いたタイトルである。だが、直訳すると「僕たちが一日と呼んだ夜」となって何のことか全くわからない。しょうがないのでいくつか手元にある英和辞書で引いてみると、辞書によっては“call it a day”というのが出ていないものがある。そこでかの“LONGMAN”を引いてみるとちゃんと“call”の項に出ているのだ。“call it a day”は“(informal)to stop working, usually because you are tired”と説明されている。“(口語)通常、疲れたために働くことを止めること”という意味だ。念のためお馴染み研究社の辞書を調べてみると“call”ではなく“day”の項に出ていて、“call it a ~”として「(口)(その日の)仕事をお仕舞いにする」と説明してあった。ということで、冒頭の問の解答はd)である。
トム・アデアの書いたこの曲の歌詞はこうだ。
どうやら、充分恋をしてきてもう疲れてしまったので止めよう、というニュアンスだろうか、「最後の夜」という感じなのだろうか。
大事なことはただ「今していることを止めよう」ということではなくて、“because you are tired”、すなわち“疲れてしまったから”という、していることを止めようとする背景まで分かるように書いてあるのが“LONGMAN”の良いところではないかと思う。興味のある方は“LONGMAN”の辞書を入手されることをお勧めしておく。
なお、この歌、御大シナトラは3回ほどレコーディングしているようだが、57年のアルバム“WHERE ARE YOU?”に収録したヴァージョンは、当時最愛のエヴァ・ガードナーと離別の時期にあたり、そういう二人のエピソードを知ったうえで聴くと、シナトラの歌には特別な感傷が込められているような気がしてくる。シナトラは泣いている(こちら)。
「(問)“The night we called it a day”というのはいったいどんな夜のことでしょうか。正しいと思うものを選びなさい。」
a)長い一日が終わった夜
b)僕たちが徹夜をした夜
c)僕たちが昼間のことを話し合った夜
d)僕たちが終わりにした夜
e)僕たちが一日と呼んだ夜
“The night we called it a day”というのは、ソングライターで弾き語りの名手でもあったマット・デニス(1914~2002)が1941年に作ったスタンダードナンバーのタイトルである。作詞したのは、デニスの楽曲にたくさん歌詞を提供したトム・アデア。蚤助がこの曲を最初に聴いたのは、おそらくヴォーカルではなく、ミルト・ジャクソン(vib)とジョン・コルトレーン(ts)との共演盤“BAGS & TRANE”(1959)(こちら)におけるバラード演奏であったと思う。ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、コニー・ケイ(ds)というメンバーも粒ぞろいで、ずいぶんと聴き込んだものだったが、この曲のタイトルの意味するところが長いことわからなかったのである。生来の怠け者で、敢えて調べようとする気にならなかったのだ。
その後、“PLAYS AND SINGS MATT DENNIS”(1953)で作者マット自身による弾き語りのライヴ録音(こちら)や、クリス・コナーの“CHRIS CRAFT”(1958)における歌唱(こちら)、最近ではダイアナ・クラールの“THE LOOK OF LOVE”(2001)における歌唱(こちら)などを耳にするにつけ、次第に意味を知りたいという欲求が強くなってきた。
蚤助の場合、辞書を引き引き歌詞の意味について思いを巡らせていくわけだが、いくつかの辞書にあたる中で恰好の辞書を見つけた。現在は、家庭を持って家を出た息子が、家に置いていった“LONGMAN”の英英辞典である。この辞書は、どうやら特に非英語圏の学習者のために編纂された辞書のようで、すべての単語を原則として2千語以内で説明してある。それも説明が易しいというユニークな特徴を持っているのだ。
そこで、このマット・デニスの佳曲“The day we called it a day”である。時を表す関係副詞“when”が省略されていて、本来は“The night when we called it a day”であるが、“night”と“day”が対として使われていてなかなか気の利いたタイトルである。だが、直訳すると「僕たちが一日と呼んだ夜」となって何のことか全くわからない。しょうがないのでいくつか手元にある英和辞書で引いてみると、辞書によっては“call it a day”というのが出ていないものがある。そこでかの“LONGMAN”を引いてみるとちゃんと“call”の項に出ているのだ。“call it a day”は“(informal)to stop working, usually because you are tired”と説明されている。“(口語)通常、疲れたために働くことを止めること”という意味だ。念のためお馴染み研究社の辞書を調べてみると“call”ではなく“day”の項に出ていて、“call it a ~”として「(口)(その日の)仕事をお仕舞いにする」と説明してあった。ということで、冒頭の問の解答はd)である。
トム・アデアの書いたこの曲の歌詞はこうだ。
There was a moon out in space
But a cloud drifted over its face
You kissed me and went on your way
The night we called it a day
I heard the song of spheres
Like a minor lament in my ears
I hadn't the heart left to pray
The night we called it a day…
But a cloud drifted over its face
You kissed me and went on your way
The night we called it a day
I heard the song of spheres
Like a minor lament in my ears
I hadn't the heart left to pray
The night we called it a day…
どうやら、充分恋をしてきてもう疲れてしまったので止めよう、というニュアンスだろうか、「最後の夜」という感じなのだろうか。
月が出ていた でも雲が漂ってその顔を隠してしまった
君は僕に口づけをすると行ってしまった 僕たちが終わりにした夜
天体の歌が聴こえた かすかな哀歌のようだった
もう祈る気力もなかった 僕たちが別れた夜
暗闇を通して優しく 空にフクロウが啼く
悲しい歌だが 僕ほどブルーじゃない
月が沈み 星も消えてしまった
でも夜明けが来ても 陽は昇らなかった
言うべきことはもう何もなかった 僕たちの最後の夜…
君は僕に口づけをすると行ってしまった 僕たちが終わりにした夜
天体の歌が聴こえた かすかな哀歌のようだった
もう祈る気力もなかった 僕たちが別れた夜
暗闇を通して優しく 空にフクロウが啼く
悲しい歌だが 僕ほどブルーじゃない
月が沈み 星も消えてしまった
でも夜明けが来ても 陽は昇らなかった
言うべきことはもう何もなかった 僕たちの最後の夜…
大事なことはただ「今していることを止めよう」ということではなくて、“because you are tired”、すなわち“疲れてしまったから”という、していることを止めようとする背景まで分かるように書いてあるのが“LONGMAN”の良いところではないかと思う。興味のある方は“LONGMAN”の辞書を入手されることをお勧めしておく。
なお、この歌、御大シナトラは3回ほどレコーディングしているようだが、57年のアルバム“WHERE ARE YOU?”に収録したヴァージョンは、当時最愛のエヴァ・ガードナーと離別の時期にあたり、そういう二人のエピソードを知ったうえで聴くと、シナトラの歌には特別な感傷が込められているような気がしてくる。シナトラは泣いている(こちら)。
履くとすぐ割れたガラスの靴と恋 蚤助
勉強になります、お師匠様。
5時起きでサッカーW杯見たあとで、
正直おつむの回転は停止しておりますが・・・^^;
ダニエル・クラークは
最近人気があるようですが、
お顔に似会わず野太い声が実は苦手。
シナトラバージョンは甘くてうっとりです。
でもエバ・ガードナーとフランク・シナトラ
どうもなんかピンとこないのは私だけでしょうか。
蚤助も、今朝はブラジルvsクロアチア戦をライヴで観ていました。日中、やはり眠くて…。しばらくはこういう状況が続きそうです。
けいこさんも早起きで眠そうなだけあって、ダイアナ・クラール女史がすっかり男性化(ダニエル・クラーク)してしまったようですね(笑)。彼女がその容姿に似合わず野太い声だというのは異論ありませんが、逆に、エラおばさんにしたって、あの体格で可愛らしいチャーミングな声ですもん、驚きです(笑)。
シナトラとガードナーは、大スキャンダルとなった末に、51年に結婚、57年に別れるまで、結局足かけ7年間、夫婦生活を送ったわけです。ピンとこないといっても男女の関係は不可解なものなのです…と知ったかぶりです(笑)。
寛大に笑いに昇華していただき
アリガトウゴザイマス。
ああまたもや4時からも
見逃せない好カードが待っています。
呑助さんも絶対ご覧になりますよね^^
はいエラおばさん
エレガントで洗練されていて
チャーミングです、声が。
エバ・ガードナー、子供のころ
日曜洋画劇場で見た、「北京の55日」
が印象に残っています。
でも当時の女優さんって、12・3歳の私には
皆スゲー老けてるって感じでした。
取り乱しお赦しを(汗)