WBC決勝戦を終えたロサンゼルス。
シャンパンファイトが行われる会場の控え室には、原監督とイチローが残っていた。
原監督
「イチローくん、ありがとう。君たちは本当に素晴らしい侍戦士だ。最高の結果を残せたこと、本当に感謝しているよ。」
イチロー
「ありがとうございます。本当に最高の気分ですね。」
原監督
「大会前に私に話してくれた、スランプを演じるという君のアイデアも功を奏したんじゃないか?選手全員が素晴らしい闘志を持って戦ってくれた。」
イチロー
「はい…。そうなんですが…。」
原監督
「ん?どうした?」
イチロー
「いや、それが、監督には黙っていたんですが、その演技するっていう作戦、やっぱ止めちゃったんですよ、実は。」
原監督
「なんだって?」
イチロー
「いや、だって他の選手が全力でプレーしている中で、自分だけわざと手を抜くっていうのはマズいじゃないですか。」
原監督
「な…、それじゃ演技は無かったと?」
イチロー
「はい。初戦から全力でプレーしていました。」
原監督
「なんと…。ファウルフライを落としたり、バントをミスしたりしたのは、てっきり君の演技だと思っていたんだが、違ったというのかい?」
イチロー
「いやぁ、やっぱりこの時期にプレーのピークを持ってくるのは難しいですね。なかなか身体が思うように動かなかったですよ。」
原監督
「そんな…、それじゃ本当に調子が悪かったということか…。それじゃ今日の4安打はどうなんだ?」
イチロー
「さすがに同じ相手と5回もやれば、球すじもわかりますしね。ようやく捕らえられました。
でも、最後の打席は正直自信無かったなぁ。この大会、チャンスで全然ダメだったじゃないですか、僕。」
原監督
「・・・。」
イチロー
「やっぱ、僕、なんか持ってるんですね、きっと。はは。」
原監督
「それにしても、どうして作戦を止めたことを話してくれなかったんだ。こっちはハラハラしながら…」
イチロー
「ぷっ…。ハラ監督が、ハラハラ、ですか。。。」
原監督
「いや、今のはダジャレじゃないぞ。君の演技が過ぎると心配するところもあったんだぞ。」
イチロー
「すみません。なんか言いそびれちゃいまして。」
原監督
「言いそびれたって…そんな…。」
イチロー
「本当にすみませんでした。なんだか監督をだますようなことになってしまって。まぁ、勝ったんだから水に流すということで。」
原監督
「イチローくん、君って男は、どこまで底がしれないんだ…。」
イチロー
「さっ、監督。話はこれくらいにしましょうよ。みんな待ってますよ!早く会場に行きましょう!」
------------------------------------
あの瞬間、野球の神様が舞い降りたのか、それとも、彼自身が神になったのか――。
確かに、この大会の主役はイチローだけではない。
原監督を含め、勝利のために全力を注いだ全選手が、皆、主役である。
そして、日本の勝利を願い続けたファンの想いも。
ただ、やはり、強い気持ちを持っているだけでは、得点は入らない。
祈るだけでは、勝つことは出来ない。
10回のオモテ、
あの打席でヒットを打たなければ、勝利をその手には出来ないのだ。
もし、本来の調子のままであれば、あの打席、内野安打の可能性が高いイチローを敬遠することもあったはず。
そういうことも含めて――
あの場面で打席が回り、
あの状況で勝負となり、
あの瞬間にヒットが打てる。
出来ることなら、最後に、イチローに聞いてみたい。
数えきれないくらい、ヒットを打ってきた彼に。
その数、3,000本を超える、彼に。
その内の、たった1本、わずか1本のヒット。
その味は、一体どうだったのかと――。
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シャンパンファイトが行われる会場の控え室には、原監督とイチローが残っていた。
原監督
「イチローくん、ありがとう。君たちは本当に素晴らしい侍戦士だ。最高の結果を残せたこと、本当に感謝しているよ。」
イチロー
「ありがとうございます。本当に最高の気分ですね。」
原監督
「大会前に私に話してくれた、スランプを演じるという君のアイデアも功を奏したんじゃないか?選手全員が素晴らしい闘志を持って戦ってくれた。」
イチロー
「はい…。そうなんですが…。」
原監督
「ん?どうした?」
イチロー
「いや、それが、監督には黙っていたんですが、その演技するっていう作戦、やっぱ止めちゃったんですよ、実は。」
原監督
「なんだって?」
イチロー
「いや、だって他の選手が全力でプレーしている中で、自分だけわざと手を抜くっていうのはマズいじゃないですか。」
原監督
「な…、それじゃ演技は無かったと?」
イチロー
「はい。初戦から全力でプレーしていました。」
原監督
「なんと…。ファウルフライを落としたり、バントをミスしたりしたのは、てっきり君の演技だと思っていたんだが、違ったというのかい?」
イチロー
「いやぁ、やっぱりこの時期にプレーのピークを持ってくるのは難しいですね。なかなか身体が思うように動かなかったですよ。」
原監督
「そんな…、それじゃ本当に調子が悪かったということか…。それじゃ今日の4安打はどうなんだ?」
イチロー
「さすがに同じ相手と5回もやれば、球すじもわかりますしね。ようやく捕らえられました。
でも、最後の打席は正直自信無かったなぁ。この大会、チャンスで全然ダメだったじゃないですか、僕。」
原監督
「・・・。」
イチロー
「やっぱ、僕、なんか持ってるんですね、きっと。はは。」
原監督
「それにしても、どうして作戦を止めたことを話してくれなかったんだ。こっちはハラハラしながら…」
イチロー
「ぷっ…。ハラ監督が、ハラハラ、ですか。。。」
原監督
「いや、今のはダジャレじゃないぞ。君の演技が過ぎると心配するところもあったんだぞ。」
イチロー
「すみません。なんか言いそびれちゃいまして。」
原監督
「言いそびれたって…そんな…。」
イチロー
「本当にすみませんでした。なんだか監督をだますようなことになってしまって。まぁ、勝ったんだから水に流すということで。」
原監督
「イチローくん、君って男は、どこまで底がしれないんだ…。」
イチロー
「さっ、監督。話はこれくらいにしましょうよ。みんな待ってますよ!早く会場に行きましょう!」
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あの瞬間、野球の神様が舞い降りたのか、それとも、彼自身が神になったのか――。
確かに、この大会の主役はイチローだけではない。
原監督を含め、勝利のために全力を注いだ全選手が、皆、主役である。
そして、日本の勝利を願い続けたファンの想いも。
ただ、やはり、強い気持ちを持っているだけでは、得点は入らない。
祈るだけでは、勝つことは出来ない。
10回のオモテ、
あの打席でヒットを打たなければ、勝利をその手には出来ないのだ。
もし、本来の調子のままであれば、あの打席、内野安打の可能性が高いイチローを敬遠することもあったはず。
そういうことも含めて――
あの場面で打席が回り、
あの状況で勝負となり、
あの瞬間にヒットが打てる。
出来ることなら、最後に、イチローに聞いてみたい。
数えきれないくらい、ヒットを打ってきた彼に。
その数、3,000本を超える、彼に。
その内の、たった1本、わずか1本のヒット。
その味は、一体どうだったのかと――。
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あの試合、最後にイチローが打った時、
真っ先に思い出したのが、kerokeroさんのブログ記事!
「やっぱ演技だったのか!」って(笑)
それくらいすごかったですね。
いい試合でした。
漫画でもないような出来すぎた結末でしたね。凄いという言葉しか出てきません。
北京の惨敗があったからこそ引き立つ今回の優勝。選手たちも疲れているでしょうけど、また国内でそれぞれ活躍してほしいですね!