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ふみの耽美な毎日

声・耽美。タカムラー。一次創作。J庭46か14a

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高村薫二次→冬コミ12/28東京ビッグサイト南ユ15a オリジナル→J庭

レディ・ジョーカー読了

2010年03月29日 | 高村薫
下巻を読み放心。

書きたいことは山ほどありますが。加納…なんて人なんだ貴方は。
胸がつまってしばらく書けそうもありません。

ただこの作品に出会えて、そして13年ぶりに生まれ変わったこの作品に30代で出会えてよかった…
ただただよかった

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レディ・ジョーカー文庫中巻の感想 悶絶の加筆 合田⇔加納の感情のラインが変わった

2010年03月28日 | 高村薫
さてレディ中を読んでおります。
さてさて・・・。筋はそのとおり進んでいっております。若干の形容詞等が変わっているのみ。
ところが、合田と加納のやりとりに限って大幅に変わっているのはどうしてなんでしょうか。
いや、つじつまは合うのですよ。つじつまは。
私としてはハードバージョンの会話と文庫バージョンの会話どっちも合わせてひとつ、とか思ってしまうのですが。ばっさり切られた台詞の代わりに別の会話が長めに書かれてあります。
合田が加納に電話するシーン。
加納がフォルクスワーゲンのゴルフを選んだ理由がかなり詳しく書かれておりますね。しか~し一緒に見に行ったってのがバッサリ(笑
そしてなんといっても・・・天ぷらがあああ。天ぷら…とほほ。
合田に接触しにきた平瀬が合田のアパートに灯りがついていると言うシーン。
ここは大幅改稿ですな。
かなり笑ってしまいました。平瀬が加納がいるであろう合田のアパートのドアを蹴飛ばすあたり。
そして加納のゴルフの失敗記録がちょっとだけかわいくなってたり(笑
流石に1ダースはまずいと思ったのかな。
そうとう間抜けだったハードよりはちょっと加納は切れ者な設定になっているような気がしますね。
天ぷらがばっさりのところでも思ったのですが、合田かなり加納につっけんどんです。
そして加納はハードよりも秩序だてて(?)合田の世話を焼いているような。
ハードでは、照柿でやらかして落ち込んでる合田を、どこかそっとしてやろうといった感じで過ごしているのかなあ加納は、と思っていたけども。文庫ではそっとしてやろうというよりは「言うことは言うぞ俺は」、と言ったスタンスなのかもしれぬ。そして合田はそんな加納に若干うんざりしているような。つきはなそうにもつきはなせない困惑といった感じがします。
多摩川ワイン・チーズのシーン。ここはあまり変わってなかった。
他人目線のバージョンはあまり変わらないのかもしれない。ただ根来⇒加納はかなり切れ者だという印象を強くしました。
一番びっくりしたのは加納の性格について根来が考察しているシーンで「他人を所有」という文字があったこと。そうか・・・。他人を庇護のみならず他人を所有したいという男の本能。そんなものが加納に見えたとすればすごいな。根来さんの考察はアタリなのかもしれない。
ともあれ合田から見た加納、加納からみた合田が女王の中で変わったのかなと思いました。
まだ中巻途中ですが、やっぱりLJはすごい作品だなあと緊迫感を持って読みすすめています。
なんとも言えない虚しさが漂っていて(結末を知っているだけに)そのあたりの書き込み具合に舌をまいています。微妙だった言い回しはすべて端的にしっかりと書かれておりますね。

続き。
さけびましたさけびましたいやもう城山の合田の描写が凄すぎて。
そしてなんといっても日の出を首になった合田のところを加納がたずねてくるシーン。
ここは相当加筆です。
もう悶絶の加筆です。
加納の性格設定や感情のラインについて女王はこの13年で相当考え直したに違いないと思います。ただの優しいひとじゃ検事なんてやってられませんもんね。
ハードでは淡々とジャガイモと卵を食べてるだけだったのですが。酒を手土産にもっていくなんて甘いことは文庫では言わないのですね加納は。
しかし城山からの電話を加納からかと勘違いするあたりがまた悶絶。(たった数文字なのですが)
そして。ついに深夜やってきた加納が黒い!やっぱり加納の見方が女王は大幅に変わったに違いない。
「脅す」すごい台詞を吐く加納は、太陽を曳く馬のときに「黒すぎるよこの人」と思ったときと同じ印象でまさに生身の人間としての加納です。
こういう検事っぽい口のきき方をしてくれないと確かにあの42歳のブラック加納はでてこないのかもしれません。
とにかく加納が私としては惚れ惚れするほど黒い、頭の良い検事。
おとなしいだけはない頭の良い、そしてやっぱり誰よりも合田のことを考えている検事なのです…。
合田→加納の目を見て思ったセリフ。どこかで見たな。
あれは神の火か。目玉ひとつ。そんな台詞を日野が言ってたわね。
愛すると食べたくなるのか。目玉を。
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レディ・ジョーカー上巻の感想。 13年ぶりに30代の合田と加納に再び出会う。

2010年03月28日 | 高村薫
レディ・ジョーカーを昨日文庫で買いました。
地方は配送がだいたい1日2日遅れるので、だめもとで近所の本屋にいったところやはり月曜日だと言われ。
でもあきらめきれず中心街に出て本屋をかけずりまわったところ、ちょうど段ボールを搬入しているオネエサンを発見!あわててお願いして段ボールから出してもらいました(馬鹿だな私・・・)
そして昨日とりあえず上を読みましたよ。
恐る恐る。。。、
高村薫女王は改訂という名の別物を文庫で作りだしてしまう人なので、特に前作の照柿はなんじゃこりゃああってくらいいろいろ変っていて脱力した記憶があります。
読み比べるのも面白いのですが、なにせ好きな場面とかがバッサリやられたりするからですねえ。
LJは13年の時を経て特に読み始めるのが怖かった。。。特に最後変えられたらどうしようと。

しか~し、これは凄い。読ませるテンポというか、感情ラインが重厚になっていて(バッサリカットされたところもありますが)いや~犯行側の視点に特に入り込んでしまいました。
どうして彼らが犯行に至ろうと思ったのか、そこが圧倒的に納得させられました。
物井に感情移入したのはもちろん、半田にもそうか・・・と妙に納得している自分がすごいなあと思いましたよ。
やっぱり高村女史が死というものに直面されてきたんだろうなあ・・・ってこの13年の経過を思いました。読む側の私の方もそうなので一層そうおものうかもしれないけど。
で、合田と加納の話は。
久しぶりに会った30代の合田。(太陽を曳く馬では42歳のどうしようもない狂った中間管理職だったので)
う~んなんかさわやかだ。そして現場で捜査している合田はやっぱり生き生きしている。
ちょこちょこ表現が変わっていますが、上巻では基本ラインはまだ変わらず。

一番笑ったのが合田と半田の再会シーン。
基本変わってないのですが。しかしここは笑ったよ。銭湯か・・・銭湯なのか・・・合田。。。お風呂セットか・・・。
そしてヴァイオリンを弾くシーンが非常に鮮やかに描かれていて(いや、合田ヴァイオリンを弾いているときは幸せそうに見えます←半田目線)個人的には合田をのぞき見る半田にかなり入れ込んで読めました。
そして教会でいるはずのあの人がバッサリやられておる!!あははは~。
確かにこの人の登場は非常に難しいテーマを含んでいると昔から思ってはいましたが。
ということはラストシーンはどうなるのか??
加納さんについては上巻ではちょろっとしか(しかもまだ電話)まだ出てきませんが、せりふはほぼ変わっていないものの、根来目線からの描写がちょろっと変わっているかな。
根来にあの時点でため息を聞かせるのはおかしいと思ったのかな。ため息をつくシーン好きだったんですが、まあこれもありかな、と思いました。
描写が柔らかい感じ(超越したかんじ)になっております。そして加納が根来に語る合田への言葉も微妙に言い回しが変わっています。確かにこの改訂は納得かなという気がします。あくまでも他者へ語る言葉なのでこのくらいが普通なのかもしれませんね。根来からみた加納についてはあっけらかんとしていて上品な感じに(形容詞がちょろっとずつ変わっているだけなので非常に微妙なところですが)印象が変わった感じがしますね。弱みをみせていないですね加納。


では中・下を読みます。
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太陽を曳く馬 読書 その3 (ネタばれ)昔サイトに置いておいたものを緊急避難

2010年03月26日 | 高村薫
昔読みながら書いていたメモです。サイトに昔アップしていたのですが、とりあえず改装中なので最初の方だけこっちに置いておきます。ネタばれなので。
サイトを綺麗にできたらこのメモの続きもやりたいですが。いつ終わることやら


太陽を曳く馬 第三章 TOKYO POP 2006年12月346~364頁

★第三章感想★
さて,1998/6/3に逮捕された秋道の取り調べの回想シーンが続いております。臨場感があふれているので、こちらも一緒に聴取をしているような気持ちに陥ること請け合い。つい本編はすでに公判に持ち込まれている2001年だということを忘れそうになってしまいます。
さて1998年6月3日、なんとか秋道を送致までこぎつけようとしている武蔵野署の48時間(送致は48時間以内にしないと違法になってしまいます)です。夜、そこに52歳の寺の副住職をやっている秋道の父、彰之がやってきて合田と1987年以来の対面です。
彰之と言えば、当然春子や新リア王の登場人物。もう一度読み返さないとだめですね。

さて、秋道関連で現れる人がみ~んなアートな人ばっかりで,取り調べしつつ完全に当惑している合田。ぶっとびまくっている供述に呆然としている合田が非常に非常におもしろいです。
それにしても荒井久美子の供述というか演説(?)の長さとぶっ飛び具合といったら!!よくこれだけ合田みたいな刑事の前でつらつらと芸術論ができるわね~。合田の目,まったくもって点になってそうです。
荒井には「公務員にする話じゃない」と言われ,坂東には「警部さんに言っても無理か」などと言われ,20歳の牧野には「おじさん」と言われ。散々な合田雄一郎。昔だったら一発で血が上ってぶんなぐっていたでしょうに。このあたりは余裕の42歳?

合田は今回殺された「大野」という秋道の同棲相手ががどんな女性だったのかについて聴取しているわけですが,吉田戦車に出てくるマチ子さんの一発芸(?)をやるようなぶっとび娘だといういことは分かっていても,人間としての大野の姿が明確に浮かび上がってこないみたいで,合田はまた苦悩中です。
そういえば,男の坂東に「カッコイイ」と言わしめる合田雄一郎。ふふ,42にして精かんなマスクは衰えず,ですか。よかったよかった。
そういや若いころの合田の低血圧どうなったんでしょうか?バイオリンは?ウィスキーは?う~んまだまだナゾだらけ。

二章もそうだったんですが,バーミリオンという色が出てきたり,絵がテーマになっているだけあって,色が沢山出てきますね。照柿のときもそうだったけど,この作品もどこか赤っぽいイメージがあります。
単行本になったときの表紙が楽しみ。
そして秋道の描いた太陽を曳く馬がキイワードとなってちらちら見え隠れ。
さて,次は秋道の送検後の話かな。
う~ん,秋道の供述の危うさに,その精神について疑問を抱きつつも,容赦のない情状意見を書いて無理矢理送検してしまう合田雄一郎。やっぱりどっか壊れてるな。



●以下ネタばれメモ

●346頁:1998年6月3日に逮捕された秋道事件回想の続き。秋道の父、福澤彰之が武蔵野署に現れ、合田と対面。

●347頁:同上→合田、3階の取り調べ室で秋道の成育歴につき聴取。
秋道曰く、初江が76年春に秋道をみごもったことを知るが、金を渡して事をすませた。→出家したあと、83年初めに初江が寺を訪ねてきて、秋之が教護院にいることや初江が夫が行方不明であることを知り、中学生の秋道の写真を見て初江を青森に連れてゆき、ともに暮らす。→その後85年2月に初江の夫の所在が分かったものの、秋道が教護院で強盗障害を起こし、保護処分に。→86年、初江が行方不明になり、彰之、16歳の秋道と初めて対面し、秋道を引き取る。
・すでに52歳となって…1998年現在、彰之は52歳。
・くっきりとした白眼と黒眼のある二つの穴が…合田による彰之の目の描写。やっぱりアナ。

●348頁:合田、秋道につき引き続き聴取。彰之、秋道につき引き続き話す16歳の秋道と対面→87年1月から定時制高校に編入→注意力散漫→精神的にどこかおかしい状態であったが、精神科には見せなかった。
小屋の壁にペンキやクレパスで絵を描くことに夢中。シンナー、暴力的。
●349頁:引き続き聴取。彰之、90年夏に秋道に最後に会ったときのことを話す。90年春に上京して通っていた専門学校から授業に出ていないとの連絡を受け、西新宿のアパートを訪ねると、秋道はひとりで絵を描いていた。
・息子としての意識は持てなかったが(略)仏家であっても人間であるほかない私の半身を私を飼っていたいたのだ。
・「自味得度先度他」と私どもは申します…自分が助かりたいと思うからこそ、まず人を先に渡したいと思う心。(正法眼蔵)
・87年12月に筒木坂で私の父の福澤榮が急死したとき…このあたりの話は、新リア王を参照。秋道に絵を描かせろと遺言。

●350頁:彰之、90年夏以降の秋道の動向につき供述。91年に大野から、秋道と同居しているというはがきをもらう。

●351頁:合田、秋道の幼少からの暴力性と大野殺人事件についての関連性につき彰之に聴取。彰之、秋道の犯行を想像はできなかったと返答。
(このあたり、なかなか切れ味が鋭い合田の聴取が散見されます)
彰之、合田に秋道の絵を見たいといい、合田、写真を彰之に見せる。
彰之、けむりのように去る。

●352頁:合田、女優、荒木久美子を聴取。
ここから数ページに渡り、ひたすらアートの話を繰り広げる荒木。

●353頁:荒木、秋道とのことを話す。91年春に原宿駅の横の神宮橋の
上で白いチョークで幾重もの同心円を描いていた秋道と会う。

●354頁:落書きをしていた秋道、交番につれていかれたが、荒木が引き取った。
・私たちの隣で、世界が一ミリずつずれていくような感じ…この表現はどこかで見た。→要検証。
・刑事さんも、たとえば草間彌生の抽象画でもご覧になって…http://www.yayoi-kusama.jp/

●355頁:荒木、秋道を阿佐ヶ谷の自分のビルの六階を貸してやる。荒木は、秋道の成育歴についてはなにも知らなかった。

●356頁
・「こんな話、公務員の皆さんには関係なかったわね。でも、だから何?」…合田警部、馬鹿にされております。

●357頁:合田、荒木に、殺された大野のことを聴取。
・「吉田戦車のキャラクターの火星田マチ子という火星人の演歌歌手のパロディをやってみせたの」…ただただ原作を読むべし。
これを喜んだ坂東という演劇の仲間が、大野を面白がって採用した。
牧野という造形作家が、大野を着せ替え人形にしたインスタレーションを二年ぐらいやっていた。

●358頁:合田、荒木に殺された大野と秋道の関係について聴取。

●合田、翌日(1998年6月4日)坂東青次を聴取。








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太陽を曳く馬 読書 その2 (ネタばれ)昔サイトに置いておいたものを緊急避難

2010年03月26日 | 高村薫
昔読みながら書いていたメモです。サイトに昔アップしていたのですが、とりあえず改装中なので最初の方だけこっちに置いておきます。ネタばれなので。
サイトを綺麗にできたらこのメモの続きもやりたいですが。いつ終わることやら

太陽を曳く馬 第2章ダダ 新潮2006年11月号350~365頁

★第2章感想★
合田警部の捜査中の姿が久しぶりに見られて嬉しい!と思いきや,いきなりカエル…カエルって…。相変わらず忙しそうだけどどこか陰鬱な合田雄一郎42歳。お偉方の名前が結構でてくるのはやっぱり合田が中間管理職になったという証拠ですな。書類に埋もれる生活みたいですな。どこか暴発しそうになりながらも思考停止をしてなんとか切り抜けている大人な雄一郎。いつか爆発しないか,結構危ういですな。
部下の吉岡巡査部長は31歳。マークスのときの合田とはえらい違いです。光ディスクのような頭脳を持っているこの吉岡を合田はどこか不思議そうに見てるけど,それでも使えるやつだとは思っているようです。吉岡に気負いなく話し掛けられて当惑している合田がなんとなく可愛らしい。
 
で98年の秋道事件についての回想に入るわけですが。
なんといってもオッたまげた吉田戦車!!ゆうびーん。とか斉藤さんとか,そういう言葉が高村薫の本に出てくるなんて。そして吉田戦車とツァラの取り合わせが理解できない合田の当惑っぷりがおかしくておかしくて。冷や汗まで流していますぜ。しかもその後加納と会ったときにしっかり話して聞かせているし。相当衝撃だったのだな。
加納については少しずつ記述が増えてきましたが,いまいち任官時期が分からないんですよね。98年秋に合田と話をしたときは,まだ検事だったようだし。それから半年くらいで裁判官に任官しているみたいですが,検事を辞めたのは98年内のようで,少しブランクが発生します。その間,加納は何をしていたんだろう?とか。おいおい出てくるのかしら。

加納が合田から吉田戦車の話を聞いたときの切り替えしっぷりが,今までになく凄みがあって,私冷や汗でした。ノーパンしゃぶしゃぶとかの取り調べをやってたらしい加納,相当検察に嫌気がさしてたみたいですな。LJのときも嫌がってたけど,そのときは合田は無理矢理接待ゴルフに行かせたんだっけ。しかし,この加納のセリフを聞いたとき,合田はどう思ったんだろう。本当の世界を見せてやろうか―。なんだか恐いです,加納祐介。昔は加納のセリフってもっと高尚だった気がするんですが。こんなセリフを言わしめた検察の世界って一体…。しかし裁判官になったとしてもそう世界は変わらないしなあ。どろどろとした捜査から一歩距離を置いて,学術的に考えられるという点では加納に向いているのかしらん。相当精神的に参っちゃったのかなあ。

今まではどちらかというとこの世界に絶望し,自分にも絶望していたのは合田のほうだったような気がするんですが,太陽を曳く馬では加納のほうが厭世的。合田にも黙ったまま裁判官になってしまう加納祐介。さぞ合田には晴天の霹靂だったに違いない。
 加納が検察の情報をまわりくどくリーク→合田がネタを追う→合田自暴自棄→加納助け船…的な構図が崩れてしまったわけです。なんだかんだいっても検察に加納がいることは合田にとっては心強いものがあったと思うし。今後はこういうつながりもなくなってしまうと。
暴走しまくりだった合田もようやく少し落ち着いたことだし,18年間忍耐してようやく心も通い合った(のか?)し,俺は40前にそろそろこころ穏やかになりてえよ…。てな具合の加納だったのかしら。
おや?ちょっと余裕?
合田はしょんぼりしてそうだけど。
だけど,義兄…一歩踏み出したのはいいけど,9.11…。
ここまで絆が切れてしまって,大丈夫??義兄……。
なんとか繋がっていてほしい。
それにしても弁護士にならずに,裁判官を選ぶあたり加納だよな。私としては裁判官10年くらいやったら大学教授とかになってほしいけどな。

さて合田はすでに警部ということで,調書調書の生活。それにしても相当ペーパーの世界には嫌気がさしているようです。やっぱり実際に足を動かして本人に会ってというのが合田の性に合っているようです。
管理官やら一課長やら昔は権力者として描かれていた人物達と合田が会議をする立場になって,意見を求められているのは不思議な感じ。それでも官僚やお偉方の考え方にはどうしてもついていけないと思っている中間管理職,合田雄一郎警部。






以下ネタバレ読書メモ
●350頁:2001年,11/12夜,小岩井署特捜本部会議室にて仕事中。専門学校生とその友人の無職の青年に対する殺人と死体遺棄事件について。
合田夕刻小岩署→南小岩のアパートと公園を検証→再び小岩署で会議室に入って4時間。

・雄一郎はカエルのように息をする…カエル,カエルですか。カエル………。
・手は受話器とボールペンと書類でふさがっており…書類にまみれる合田警部。
・雄一郎は「窓を開けろ」…煙草の煙が未だ我慢できない合田。そういえば合田は煙草吸わないよな。結構奇跡的。
●351頁:署長と刑事課長がやってくる。
・肺の中のフットボールが窓ガラスを砕く…トリスタン・ツァラ Tristan Tzara (1986-1963)の詩。ダダイズムの創始者。
・ダダイズム:1920年代にヨーロッパやアメリカで吹き荒れた現代美術運動
・検事が明後日の送致の予定を聞いてきていた―とにかく送致は11月14日夕方ということで。…今日はどうやら11月12日。
・若者4人が自首―緊急逮捕。
・南小岩の女友達のアパートで脅し,暴行の末死亡させ,平井運動公園の護岸から遺棄・「容疑は殺人だ,傷害致死にするな」という一課長の指示を繰り返し,頭を停止させる…考えるのを放棄してなんとか自分を保っている合田雄一郎・・・。
●352頁:合田調書作成など。
・「おかげさまで順調です」こちらも明るい声をつくり…悠長な本庁からの電話に一瞬むかつきながら,明るい声を作る合田雄一郎。ああ中間管理職。
・空間の次元は柔軟で愛は四メートルだ…ダダの詩より
・吉岡という巡査部長の,一息ついたという声が―(略)だからどうだという意図も何もなく,上司相手に軽やかに言葉を繰り出せる世代。…吉岡は巡査部長。
・「君,たしか七〇年生まれだったな」…吉岡は2001年31歳。合田のマークス登場時とはえらい違いだなあ(笑)。あのころの合田ってやっぱり切れ者だったのか。森に至っては……暗くてよくできる男だったな。そして吉岡に「君」と呼びかける合田。
・そうだ,欲しいのはこのべたりとした光ディスクのような頭脳だ…合田の目には吉岡がこう見えるらしい。光ディスクのような頭脳。なるほど。それでも馬鹿にはしてない合田。
・液体と固体の間のような生き物。そういえば,解剖台の水死体の…若い女を見た合田の感想。水死体っておい。
・吉岡は私物の携帯電話で私用のメールだ。…公用じゃなくて普通に携帯をいじっている吉岡。
●353頁:秋道事件回想1998,6/3。弱い雨,昼間,肌寒い。
・福澤秋道を吉祥寺東町一丁目十六番で発見。同居人の女性大野恵美二十五歳と嬰児の死体,川嶋大輝19歳の死体発見。合田は現場には午後一時半に到着し(新宿署→吉祥寺)―部下と玄関の死体を検分。
・雄一郎は当時,第四強行班捜査九係におり…98年当時の合田の職場。
●354頁:合田現場捜査中。
・バーミリオンという色だった―…銀朱。朱肉みたいな色。
・そこには新石器時代の岩絵らしい何かの生きものの姿があり,赤い顔料で着色された太鼓の荒々しい線が,これも突然,眼の中で音を立てて…太陽を曳く馬?キィワード。
●355頁:合田,吉田戦車とツァラの詩集を見つける。
・コミックの一冊を拾うなり「吉田戦車か」(略)―ゆうびーん。―レコード買ってくださいな―いまならおナスもついて…あははは。「伝染るんです」ですか?!どひゃあ。
・『トリスタン=ツァラの仕事Ⅱ/詩編」…『トリスタン・ツァラの仕事Ⅱ―詩篇』大平具彦・塚原史訳思潮社???これか??
・心臓に冷や汗が滲んでくるような感じがし―あるいは意味という意味が崩壊した世界の静けさ―…吉田戦車とツァラを目の前にした合田の感想。茫然自失ですな。
●合田,その年の秋に加納祐介に会って秋道事件の話をしたことを回想。
・祐介は言ったのだった。吉田戦車?ダダ?―(略)廃品でできた夢の島の凄みを俺は感じるが,それはまだ見入ることのできる無意味という意味が,そこにはあるからだ。それに比べて,パンツをはいていない女性の股を覗きながら,しゃぶしゃぶを食って―(略)そんなことを俺は少し前まで毎日,壊れた穴のような顔に向かって尋ねていたのだ。なんなら,ほんとうに壊れている世界というのを見せてやろうか――…祐介に合田が話をしたときの加納の感想。というか凄んでいる義兄。相当検察が嫌だったのね。
・そのころ祐介は,前年から相次いだ中央省庁の低劣な不祥事の捜査…ノーパンしゃぶしゃぶ。
・近々検察を辞めるつもりでいることを隠したまま…加納は合田に相談していなかった。
・いや,君の眼にはまだこの廃品回収場のような世界に立ち会う強度があるということなのだろう。俺にはもうそんなものはない。…投げやりな加納。本当に嫌だったか。検事がそんなに……。
・やがて公報の地裁判事任官の欄に元義兄の名前を見つけて仰天することになる,ほんの半年前の話だ…98年の秋に合田は加納と会い上記会話,そのときはまだ「近々辞める」ことを秘していた。加納の任官はこの会話をした98年秋から半年くらい後。異動時期としては99年春が妥当?2001年9/11のとき「3年前に突然地検を辞め」という記述があるから98年の秋のこの会話以降に地検を辞めて任官まで少しだけ空白期間があることになるが???←この辺要検証。
●356頁:1998年6月3日。
合田吉祥寺→機捜ともに聞き込み捜査→午後3時,武蔵野署で,緊急逮捕された秋道の供述調書に眼をとおす。
●357頁:秋道の供述調書読解中。
●359頁:秋道の弁解録取書読んだあと,本人の取り調べに入る。
●360頁:合田,秋道取調中。
・雄一郎は何かが<違う>という直感の声を―…久しぶりに登場,合田の刑事のカン。
●361頁:合田,聴取をベテランに任せ,逮捕状請求書を書く。川島大輝の遺族の参考人供述調書を読む。
・捜査書類の活字に置き換えられた言葉は常に事実でなく―(略)捜査責任者としてそれに眼を通すのは,いったい世界を再構築しているのか,夢の島を掘り返しているのか…管理職の仕事に疑問を感じつつあるのかな?
●362頁:一課長からの電話。理事官からの電話。所長室へ→大野恵美の父と会う→管理官と会う。
・皇居の周りに集結した権力と権威の空気が電話線を通して…一課長の電話の感想。
・屋内型レタス栽培工場の照明灯のような官僚の声…理事官の電話の感想。
●363頁:管理官,合田に秋道の供述について問う。合田,大野恵美に関する参考人調書を読む。
●364頁:秋道の少年簿を読む。午後6時,特捜本部が立ち,合田,最後に捜査方針を読み上げる。
●365頁:課長,管理官とともに嬰児の取り扱いにつ協議,午後9時半すぎ,荒井久美子から電話。

さて,秋道を検察官送致できるのか?









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高村プチオンリーですと?!!!

2009年11月29日 | 高村薫
なんと大ファンの衛星ALONEさんのページにすごいものを発見。

いや~ん♪すごいすごい。絶対参加します。本を買いまくります。
サークル参加は・・・・創作ばっかやってるんで、今現在高村同人誌一冊もないんですが。
とりあえずやりかけて放置してい太陽を弾く馬の読解の続きをやって本にしちまおうかとか・・・。やるならやっぱり馬本だよな~馬本!!
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高村作品のドラマ化

2009年02月20日 | 高村薫
高村日参ブログさんで発見。
なんともテレビ東京で去りゆく日にをドラマ化と。地を這う虫っていう短編集の中の1作品。
(ちなみに文春文庫版には入ってませんので注意・・・)←こういうのが高村チック。
この短編集っておじさまの悲愛のようなものが詰まったものでして。
高村作品は長くて難しいとよく言われるけれど、ぜひこの短編集は読んで欲しい。
彼女のつづる文章のすごさを皆さんに知ってほしいのです・・・。ホントに。
この去りゆく日にはとある刑事さんの定年間際の最後の事件をつづったもの。
ネンジさんの配役いいじゃありませんか。
地を這う虫、もう一度読んでみよう。
高村先生。
またこういうのも書いてほしい・・・・。ダメですか?
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高村薫をめぐる@大阪

2008年11月08日 | 高村薫
大阪に入ってやりたかったこと。それは高村薫めぐり。
ホテルを出た後、まだペーパーを作っていなかったので、あわててホテルでうち、出力をしようとキンコーズを探しに。
地図をもっていかなかったことを激しく後悔しつつ梅田をうろうろ。
ようやく見つけたキンコーズで出力をしようとするけど、やっぱりoffice2007ってレイアウトが崩れちゃう。う~ん・・・。お気に入りのフォントを使ってもなんか普通のフォントでしか印字されないし。てことで不本意ながら微妙にずれた?ペーパーが刷り上りました。
東急インのロビーでお茶をして、梅田の地下街へ。
まずは曽根崎署へ。

合田が大阪で立ち寄った警察署です。暗闇のなか写真をとる娘っこ、かなり変だったに違いない。職質されなくってよかったよかった。
その後阪急で十三へ。うひゃ~~ごみごみとしている商店街。
いかがわしい店もたくさんあってどきどきしながらうろつきました。
そして発見。十三サウナ。
日野たちがうろついた商店街を抜け、バスで姫里カトリック教会へ。
このバス乗り場がまたどこにあるのかさっぱりわからずぐるぐると廻っては時間が・・・。
ようやくバスを降りたはいいけど、さてどこに教会があるのかさっぱりわからない。1999年に改装され、尖塔やリオウの櫻はなくなってしまったと聞いていたけれど、本当に普通の建物でした。一彰の守山工場の隣。様子は変わっていたけどライトアップされたイエスの像は神秘的。写真をとりたかったけど深夜にイエス像を写すのはさすがに遠慮。

姫里駅から梅田に戻り淀屋橋へ。
黄金~の強奪のモデル三井住友銀行を見て錦橋へ。


錦橋を通りぬけ肥後橋へ。神の火の島田のぷらとん書房のモデルの洋館を発見。

オーガニックカフェになっているようです。
それにしても夜にうろろしてしまったので、迷うは怪しい人はたくさんだわ、結構どきどきでした。
で…ヒルトンのカフェで夜景を眺めながらお茶

地図も持たずに相当迷ってしまったけどなかなか楽しいものです。
天王寺高校(合田の母校)にも行きたかったが時間が切れまた今度。

ってそういえば加納検事ならぬ加納判事(!)は今大阪地裁だった。しまった大阪地裁にもいくんだったよ・・・
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太陽を曳く馬に手を出してしまった。誰か語りましょう。

2008年06月09日 | 高村薫
ついにやってしまいました。。
高村薫女史の連載に手を出してしまった…。
単行本になってから読もうと心に決めて1年半。
ついに我慢できませんでした!!
新潮にて連載中の「太陽を曳く馬」とうとう読み始めてしまいました。
新潮2008年6月号を購入し,久しぶりの合田雄一郎に,悶えました。。
もういてもたってもいられず,図書館まで行き,司書のおねいちゃんに2006年10月から2008年5月まで新潮を出してもらいました。
「え?これ結構な量ありますけど」というお姉ちゃん。
「いや,全部お願いします」
と言い,出してもらった分,全部コピーしました……とほほほ。
19冊。
(1冊連載が休刊していました)。
で,早速飛び込んだ喫茶店に分厚いコピーを持ち込み読んでいたのですが。
もうなんというか手や心の震えが止まらず興奮状態です。

雄一郎が,加納祐介が,ちゃんと生きていました。
そしてリア王の彰之がそこにいました。
もうなんなの…と本当に震えながら家に帰り,ああ一気に読み過ぎて,もう20章まで読んでしまった。
私は高村薫の妄信的ファンなので,この日を何年待ったことか。
この「太陽を曳く馬」は何かしら賞をとると思います。
そのくらいの大作です。
緻密な取材。
深い思考。
人間の愛憎。
犯罪とは何か。
宗教とは何か。
生きるとは?死ぬとは?
凄い。凄いとしか言いようがない。
自分の語彙のなさに嫌気がさします。
もう誰にもマネできない高村薫ワールド。
絶対に読んでソンはないので,是非皆様読んで下さい。
そして私と悶えましょう。
可愛い合田雄一郎に悶えましょう。
合田シリーズじゃなくとも高村ワールドなら全て読んでいます。
宣伝しまくりですが,本当にいいんだから仕方ない…しばらく熱は冷めそうにない。
っていうか高校時代から冷めたことがないんですがね。
誰か,誰かあたしと徹夜で語りましょう。
お願いします。(と言ってみる)。
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新リア王

2005年10月12日 | 高村薫
予約受付始まりました。
くびをながーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーくして待っていた女王さまの本。(あ、女王というのは高村薫女王。。)
新リア王です。
早くよみたいーーーーーーーー。
彼女の本はほんとうに出るのが遅い(というか売れ続けてるからなかなかぶんこにもならないしかも加筆がものすごいじかんかけておられるので。。。)ので本当に楽しみであります。

あーしかし合田シリーズ、もうやらないのかなあ。。。
やってほしいなあ。
クリスマスの後が知りたいです^^;
つーか高村様ほど耽美な小説家っていないんじゃないでしょうか??
だってそのにおいがしないのってないですよね。
デビュー作の黄金を抱いて飛べは、主人公と春樹、主人公とモモはもろだし。
マークスの山ではいきなりそういうシーンがでてくる。。。
照柿では組長は怪しすぎるし。。。
そして極めつけのレディジョーカー!!
もう合田シリーズ全般ではもう加納がイタイタしくて・・・なんちゅう忍耐のひとやーとおもっておりやす(笑)←さすがに映画には絶対でてきませんね。
あれをサンデー毎日とかでやってたっていうんだから、すごいよなー。


リオウもそうだし。。。
リヴィエラなんてもうてんこもりですなー。
みんな美形でもうやばいっす。
シンクレア、と男爵はもちろん、シンクレアとジャックもそうだし。
手島も誰もかもやばいにおいがぷんぷんします。
女王・・・・何処へ・・・・
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合田か加納か

2005年09月07日 | 高村薫
私は女王のファンである。女王といっても本物の女王様ではない。高村薫女王様だ。最初読んだときほんま男がかいたと思ったね。そのくらい緻密でがっちりした文章をかく人。 それでもって、なんかエロい。エロいのだ。ネット上でも同人活動が大いにされているように、皆がそのエロさに気付いている。即物的表現は全くない。。。(あ、あるのもあるけど)それなのにエロい。不思議だ・・・。 あたしゃ合田のファンでやんす。友人は加納がいいというけれど。誰がなんと言おうと合田がすきさー♪ 続編でないんだろうなー。だってああなっちゃったら続きどうなるのよって感じ。。。
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