北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その3

2021-12-27 09:56:46 | 日記



平凡社ライブラリー  林達夫+久野収

『思想のドラマトゥルギー』(1974 年)







その巻末、池澤夏樹さんの解説『陽気な哲学者』(1993 年)にこうあります、、、。



   (前略)


  例を挙げよう。この本(註:『思想のドラマトゥルギー』)の308ページあたりに

 喜劇論がある。この話題の展開ぶりを見てみる。始まりは柳田国男の笑い論は上品

 な笑いだけを対象としていて、俗の笑いが脱落しているという、林がかつて書いた

 批判の文章。柳田が性の問題を無視したことによってせっかく開いた民俗学の視野を

 狭めたことは今では常識と言ってよい (柳田のこの点に対する最も雄弁でしかも

 具体的な批判が、宮本常一の 『土佐源氏』である)。


   (中略)
 

 ぼくは何度か林さんに会うという幸運に恵まれ、その優しくて、しなやかで、しかも

 おそるべき博学に裏打ちされた談話の楽しさを身をもって味わっている。この世に生ま

 れて幸運は少なくなかったが、これは別格。そして、もしも今も林さんがご存命で、

 たまたまこの久野さんと林さんの対談の場に陪席できたとしたら、そして林さんが前と

 同じように五十歳も年下のぼくなどの言うことも聞いてくれたとしたら、ここでは

 ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』という長い小説のことを口にしたと思う。なんと

 言ってもこの小説は中世の修道院を舞台にしており、カトリックの教養や、異端審問や、

 修道院の日常生活や、珍しい殺人の方法を語る果てに、アリストテレスの失われた喜劇論

 という、あまりにも林達夫的なテーマを中心に据えているのだ。そう、すべての基礎には

 笑いがある。あるべきなのだ。



   (後略)




ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)さんの 小説

『薔薇の名前(Il nome della rosa)』(1980年)









映画版の予告編。主役は ショーン・コネリー( Sean Connery)さん。








サクラ・ディ・サン・ミケーレ( Sacra di San Michele )修道院は、小説

『薔薇の名前(Il nome della rosa)』に出てくる修道院のモデルなのです。












                    Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その4につづく




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2 コメント

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偶然! (どさんこじーじ)
2021-12-28 10:48:55
偶然ですが、じーじも『思想のドラマトゥルギー』を先日、久しぶりに読みました。
西洋思想史が原書でザクザク語られて、とても心地よい刺激を受けました。
小山です。 (Unknown)
2021-12-28 13:18:14
赤坂正人さま
コメントありがとうございます。
『林達夫著作集』と『思想のドラマトゥルギー』は、僕にとって水先案内人のような本です。若い頃に知
る事が出来たのは幸運でした。

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