「京都 出会い旅 15」クリックで戻る
「京都 出会い旅 最終話」<16>
☆最後を飾る出会いはこれだ☆
太夫ですよ、太夫!
和の文化だ、歴史だというと、なんだか堅苦しい。
でも、折角の京都なんだから
人との出会いの中で日本の文化や和の心にも触れてみたい。
そんな思いで、とある所へ「お宅訪問」と相成りました。
島原大門-1
日本最初の幕府公認の花街・島原の入口。
島原大門ー2
かつての空気を伝える数少ない遺構である。
島原大門ー3
島原は江戸時代以来、公許の花街(かがい)として発展してきた。
寛永18年(1641)官命によって、島原の前身である六条三筋町から
現在の朱雀野の地に移された。
その移転騒動が、九州で起きた「島原の乱」を思わせたところから、
一般に「島原」と呼ばれてきたが、正式名は「西新屋敷」という。
この島原は、単に遊宴を事とするに留まらず、和歌・俳諧等の文芸も盛んで、
殊に江戸中期には島原諧壇が形成されるほど活況を呈した。
しかし、明治以降の島原は次第に寂れていき、
現在では揚屋(現在の料亭にあたる店)の「角屋」、
置屋(太夫や芸妓を派遣する店)の「輪違屋」、
入口の「島原大門」の三箇所が僅かに往時の名残を留めるものとなっている。
「輪違屋」
島原のでぐちのやなぎをみて
なつかしきやなぎのまゆの春風に なびくほかげやさとの夕ぐれ 蓮月尼
格子がいかにも京都らしい島原界隈の旅館
なにやら置物が! (京都の町家にはよく見かけます)
鍾馗さん(しょうきさん)です
瓦で作られた魔除けの置物。ちょうど玄関の上で一階の屋根、虫籠窓の前に置かれていることが多い。中国の唐の時代、玄宗皇帝の夢の中で鍾馗が小鬼を追い払ったという伝承にもとづいている。また江戸時代では、通 りをへだてた向かい側の家にある鬼瓦の払った邪気が、こちらにくることを防ぐためともいわれる。
「角屋」と千晴
当時の揚屋の佇まいを残す「角屋」。
現在は、<角屋もてなしの文化美術館>として公開中。
しかし、この日は「休館日」であった。 しまった、月曜日だった!
「角屋」の見学もしたかったのだが・・・・。
気を取り直して、島原の路地裏を探訪。前々から、気になっていたお宅訪問!
「おいでやす」と物腰柔らかに迎えてくれたのは、
元こったいさんのひとり、「高砂太夫」。 (本名、櫛田一栄さん。)
地元で生まれ育った稀少な太夫である。
「こったい」とは、太夫さんのこと。
茶の湯に華道、舞踊などを身につけた彼女たちは、
十万石の大名にも匹敵する地位にあった。
現役時代の高砂太夫。 20代で屋形(置屋)『菊春楼』の太夫となる。
常照寺で毎年4月第三日曜に行われる吉野太夫花供養などの行事に参加。
高砂さんのお部屋にて。
太夫道中の衣装や七つ道具。これはほんの一部。
写真の他、絢爛な打ち掛けや高下駄もある。総重量27キロを身に纏うのだ。
お部屋の中には高砂さんの思い出の写真が飾られている。
島原大門を往く高砂さん。
「わたしの家は代々島原の太夫さんの髪結いどした。
母で七代目で、ちいさい頃から こったいさんたちの髪を結う母のそばで、
綺麗なこったいさんたちの姿に憧れてました。
みんなにに可愛がってもろてるうちにかむろさんになり、
こったいさんになったんどす。 ...」
「島原に師走の華やぎを・・・」
スポンサーなしの自腹で“餅つき”を復活させた高砂さん。
お写真では笑顔で写っていますが、準備で張り切って石臼を持ち上げたら、
腰を痛めて 新聞取材の日はかなり辛かったとのこと。
でも、皆さんに喜んでもらえたからよかった、嬉しかったとおっしゃってました。
*「年末の太夫の餅つき」*
太夫の餅つきは、三百年も島原で続いた行事です。
「揚屋さんがお花代を出して、自分とこの男衆さんにお餅つきをしてもらい、芸妓や太夫がお餅を丸めてお客さんに食べてもらうんです。今年もありがとうございました、来年もよろしくお願いします、という意味を込めて、お客さんを招待したはったんどすね。」
島原が寂れてからこの行事は縮小され、平成元年からは途絶えていました。
百万ドルの笑顔です! この笑顔に出会えてよかった!
餅つき復活の話を交えて、島原の街の移り変わりをお話していただいた。
そして、扇子を飛ばして的に当てるお座敷遊びの「投扇興」を初体験!
投扇興は扇を飛ばして、桐の箱の上にのせた飾りに当てる遊び。
正しい扇の持ち方を教えて頂く。親指の使い方が大事なポイントだ。
高砂さんの飛ばす扇は、軽やかに、くるっとトンボ返りをして飾りを落とす。
扇と的の倒れ方のバリエーション。 これが点数表だ。
緊張して扇を構えるカモシカ。
扇は「バサッ」っと重そうな音をたてて、畳に落ちる。もちろん飾りはそのままだ。
簡単そうに見えて、なかなか難しい。
夢中になって、何回もチャレンジする。
理想的な扇の滑空!
的をヒット!
高砂さんとサシで「投扇興」! 大いに盛り上がった。
高砂さんが飼っていた2匹の猫。 猫好き同士、話が盛り上がります。
千晴を見て、「ほんま、かわいい子やなぁ~」
千晴ファンクラブ京都会員:元高砂太夫 柔らかな笑顔がすてきです!
太夫道中で使う傘を開いて見せてくれた。
お茶目な高砂さん。
カモシカも傘を開いて持ってみる。 見た目より重~~~い!
年代物の提灯。
オリジナルTシャツ
和紙の絵葉書セット
一階に降りてきて、お茶を頂く。
笑顔のチャーミングな高砂さんはとてもおしゃべり上手なので、
瞬く間に時間が過ぎてしまいました。
玄関をフライデー。
2007年秋TBS系にて放映のテレビドラマ「輪違屋糸里」に「太夫指導」で参加。
何気ない一軒家なのです。
目印は入口に貼られたこれだけ。 マッチ箱の大きさです。
島原の風景がいくら様変わりしても「歴史と格式は変わりません」と
凛とおっしゃる高砂さん。
小さな所ですが、島原の空気をここで気軽に味わってほしいという。
時代と共に失われがちな京都の趣を、後世に伝える高砂さんとの出会いが、
京都散策の旅に想い出深く刻み込まれた。
夕暮れが迫り、肌寒かったが、高砂さんは表に出ていつまでも私を見送ってくれた。
私も何回も振り返り 振り返り 手を振った。
高砂さんの姿が、黄昏の中に小さくなっていった・・・・・。
「2009年春 京都 出会い旅」 完
私も一度でいいから、あの投扇興をやってみたいですぅ。
京都の出会い旅、本当に楽しませて頂きました。。
いつまでも京都ならではの伝統を、守っていかれて欲しいですね。
高砂さんの笑顔は最高です。優しいお人柄がにじみ出ています。
>私も一度でいいから、あの投扇興をやってみたいですぅ。
私も念願適っての本物の投扇興でした。
単純な遊びですが、なかなか難しく奥が深いです。機会があれば、シャインさんも是非!かなり夢中になりますよ!
>京都の出会い旅、本当に楽しませて頂きました。。
3月からの長い連載、どうもありがとうございました。
単なる観光じゃなくて、こんな出会いの中から見つめる京都もいいでしょ。
京都ならではの伝統や文化をみんなで守っていきたいですね。
>京都の人情と風情を存分に楽しませていただいたレポです
ありがとうございます。3月末からの長々レポもようやくピリオドです。
今回は「出会い旅」をテーマにまとめてみましたが、本当に素晴らしく、想い出深い出会いばかりでした。
人との出会いを通して、京都の再発見もたくさんできた収穫のある「小さな旅」でした。
いま初めて「京都出会い旅・最終章」を拝見し、懐かしく当時を思い出しています。