修行山行~ツクモグサ狙いの八ヶ岳縦走~
久しぶりに、「ツクモグサ」に逢いに八ヶ岳縦走を計画した。
もちろん、好天が条件だ。当初は、週末15日<日曜日>の方が、安定し狙い目だと決めていた。
12日までの予報では、14日は曇り空あり。15日の方が、晴れベースの見込みであった。
だが、梅雨時の天気図は微妙。ガラっと変わることもある。いつもながら、慎重でいた。
ところが、13日(金)の夕方、各予報とも14日に晴れ!を出してきた。
15日は午後には雲が広がり次第に下り坂に・・・・。西にある低気圧、北上するであろう前線。
そして、ここしばらくの週末は結果的に予想より崩れない好天が続いていることもあり、
自身の天気読みが揺らいだ。自分の分析としては、この気圧配置で14日の晴れは怪しいと
天気図的には、微妙であったが、気持ちが揺らいだ。
14日に良い方向に天気がシフトするなら、15日はもう少し標高の低い某所で「お祭り」があるから、
崩れたとしても影響は小さいし、両方楽しめると欲張ったのがいけなかった。
もし、八ヶ岳が初めての山だったら、もっと慎重になっただろうが、何度も通って油断があったのかも。
「八ヶ岳ツクモフェア」もしばらく間が空いているので、早く逢いたいという思いもあった。
久しぶりに、天気読みを外したカモシカなのでした。
天気が良くないと 山はつまらないです。<きっぱり> まして、ツクモグサ狙いでは。
ツクモグサは、繊細な花で、開花の状態であっても雨や、霧の中では花を閉じてしまいます。
晴れていても気温が低いと開いてくれません。
晴れていれば、おそらく満開の状態であったツクモグサですが、花は閉じているし、
雪山の体感より寒いし(視界も良くなり、そこそこ展望も得られ始め、暖かくなったと感じた
午後の硫黄岳山頂でちょうど0℃だったので、午前中の赤岳・横岳は氷点下の気温であったと
思われます)、稜線は、強風で視界なし。
時折、台風並みの超強風も吹き 体がもっていかれそうになるし・・・・。
この時期としては、強い寒気が予想以上に抜けるのが遅かったことが原因です。
行者小屋通過時点で、今日はダメだ。帰ろうか。。。とも思いましたが、行ける所までと。。。
案の定、稜線の前半は「修行」でした。
自己の山への適応力を試すには、いいかもしれないが、決して楽しい山行とはなりません。
写真中央、県警山岳救助ヘリ。ブルーの機体「新型やまびこ2号」に注目!
硫黄岳に向かう途中、赤岳~横岳間に救助ヘリが何回もアタックしているのを目撃しました。
遭難者をピックアップしようと苦戦しているのですが、風が強くて近づけない模様。
横岳での山岳事故に因る救助活動でした。
帰宅後、調べるとツクモグサを撮影しようとして、誤って横岳のルンゼに転落とのこと。
修行山行のレポです。
毎度のコースなので、南沢経由<ホテイランは、開花♪見頃でした♪>行者小屋までは
大幅に省略。
行者小屋から文三郎新道を登る。 かろうじて階段が見えているだけ。
いつもなら、右手に阿弥陀岳と中岳。左に、赤岳~横岳~硫黄岳の稜線が望めるのだが・・・・。
振り返り見れば、行者小屋が小さく見え八ヶ岳の稜線の彼方に北アルプスずらりの展望があるはずだ。
中岳・阿弥陀と赤岳への分岐のある稜線へ出ると 一段と風が強まる。寒いと感じる。
キレット小屋・権現岳への分岐。
いつもなら、権現岳の後方に北岳・甲斐駒・仙丈ヶ岳が望めるのだが・・・。
赤岳山頂直下。
赤岳山頂 強風と寒さ。 岩の×マークの後ろにいつも見える阿弥陀岳も見えず。
赤岳山頂から頂上小屋を望む。
いくらか明るくなった瞬間の写真だが、上記解説がなければ、何の写真だかわかりませんね。
逆に、頂上小屋前から赤岳山頂を望む。 視界なし、強風吹き荒れる天候です。
中央の頂上小屋の吹流しに注目! ピンと突っ立ったまま!
完全に雲の中にいます。雨ではなく、霧ですが、台風と同じです。しかも、寒い!
下界は、29~30℃ですが、この日の赤岳山頂はマイナス気温です。
風も強かったので、体感的には雪山山行より寒いと感じました。
天望荘付近まで下ってくるといくらか明るくはなりますが、、、、。
いつもなら、県界尾根分岐から振り返ると赤岳の雄姿が望めるのですが、雲の中です。
地蔵尾根分岐にて。
お地蔵様の位置から赤岳を望むが、何も見えず。
同じく、お地蔵様の位置から横岳を望むが、何も見えず。かろうじて,二十三夜峯。
お目当てのツクモグサです。 産毛に包まれて、チャーミングです♪
花数は、多かったです。
しかし、この天気と寒さで 花を閉じてしまっています。
この繊細さが、いとをかし。
開花している中に、いくつかこのような状態の花があると絵になるのですが、
このバージョンばかりでは、やはり寂しい。
横岳稜線で対向する登山者とすれ違う。
こんな場所に健気に咲くツクモグサは、愛おしく思える花である♪
親鳥の運ぶ餌を待つヒナの嘴ような半開きの状態が 魅力的だと評する方も多い。
角度を変えてみると オキナグサの仲間であることが、一目瞭然ですね。
ツクモグサの撮影に夢中な登山者の後ろ姿を捉える。
こんな中での撮影(しかもコンデジ)だったので、ツクモグサのいい写真が撮れず、
少々、不完全燃焼のカモシカでした。
横岳(本院)へ向かう。しかし、ガスの中だ。
下界の野辺山高原のレタス畑に日が射すのが確認できた。
ほんの一瞬、横岳とその先の稜線が姿を現す。
横岳山頂にて 何も見えないので、横になる岳<だけ>。笑
赤岳方面も見えず。
硫黄岳方面も見えず。
かろうじて、大同心。
横岳を後に硫黄岳に向かう。
硫黄岳山荘が見えているが、硫黄岳山頂は雲の中だ。
硫黄岳山荘を通過し、硫黄岳に向かう途中で辿ってきた縦走路を振り返る。
午前中と比べれば、明るくなったが、赤岳~横岳の山頂はまだ雲の中だ。
硫黄岳山頂にたどり着く。
赤岳、横岳は、相変わらず雲の中だ。
いくらかガスが取れた瞬間、爆裂火口を撮影。
ようやく硫黄岳山頂で、展望が得られた。
急速に天気回復! 本来なら、午前中の内にこんなふうになる予想であったが、、、。
自然が相手だけに、思うようにはいかないものだ。
横岳を立ち去る間際に やっと各ピークが望めるまでに回復。
赤岩尾根の頭まで下ってくると青空が広がった!
あとは、下るだけなのに皮肉なものだ。
横岳~赤岳
赤岳~中岳~阿弥陀岳
最後の最後で なんとか八ヶ岳核心部の展望を拝むことができた。
この回復速度で行けば、明日は文句無しの快晴、絶好の登山日和となるに違いない。
明日15日に 入山した人は、ラッキーだったはずだ。<15日は快晴でした!>
修行山行、下山間際に天候回復。こんなことも時にはあるさ。
今回は、撮影条件が悪くほんの僅かですが、撮影できた花々です。
オヤマノエンドウ、ミネズオウ、コイワカガミ、イワウメ、ヤツガタケキスミレ、
キバナシャクナゲ、シロバナヘビイチゴ、ホテイラン。
その他、ツバメオモト、エンレイソウ、コメバツガザクラ、コミヤマカタバミ、チシマアマナ、
キバナノコマノツメ、イワヒゲetc.
ウルップソウとイワベンケイは、まだ堅い花芽のみでした。
ツクモグサ<豆知識> 学名:nipponica
キンポウゲ科オキナグサ属の多年草。学名にnipponica とあるように日本の固有種である。
全体は薄いクリーム色でその中心が黄緑色の花弁状の愕片。黄色のおしべとめしべ。
緑よりも黄緑色に近い切れ込みの多い小さな葉。高さ10~15センチ、
花径4~5センチの花。葉が出てくるのと同時に花が顔を出す。花弁にも葉にもたくさんの毛をまとっている。
本州では北海道を除いては、白馬岳、雪倉岳、八ヶ岳に咲く貴重な花。
雪解け後に最初に咲く花の一つで、5月下旬から6月上旬が見ごろ。
高山植物の中でも咲く時期、気品と清楚さ、分布の稀少価値もあり、山ノボラーなら
是非、一度は愛でておきたい花である。
✩過去記事 「八ヶ岳ツクモグサフェア」 ・・・・今回の記事と比較参照
晴天で、開花しているツクモグサもやはり見たかったなぁ~~。