秋の終わり、晴れた日が多いが、、今日は急に気温が下がり、13.4℃。7階の我家の室温は、21℃と冷え込んだ。一日中小雨が降り、庭の草花に水をやる作業は免れるも、あまりの寒さに、綿入れの羽織や、ベツトに毛布を出した。秋冷の季節となる。「ひややかに人住める地の起伏あり 飯田蛇忽」「紫陽花に秋冷いたる信濃かな 杉田久女」「秀麗やわが影塀につきあたる 木下子龍」「佇めば身にしむ水のひかりかな 久保田万太郎」「肌寒と言葉交わせばこと足りぬ 星野立子」「秋深し隣はなにをする人ぞ 芭 焦」(突然に寒気きたりて秋おわり ケイスケ}
つるし柿が下がる農家、道端のお地蔵さんに、かじりかけの柿がそっと置いてあった。映画『男はつらいよ 寅次郎恋歌』の終盤にこの場面がある。いかにも日本の晩秋である。◆柿は学名にも「Kaki」が使われ、日本には!000を超す品種があったとされる。昔は古くから、わが町、わが村の柿が育てられ、生活に溶け込んでいた。◆娘が嫁ぐときに柿を持たせ、亡くなるとその木で火葬にしたと、地方にはそんな伝承があつた。今ででは庭に柿の木がある家も減り,秋色は様変わり、収穫に感謝して枝に一っ残す「木守り柿」が植えられていた。こんな風習などがあった事すら忘れられたか、知らなかったのか?自分自身も忘れている。◆そういえば、私の実家(世田谷)の勝手口には柿の木が一本植えられていた。今はないだろう。最近柿の消費も伸び悩む産地のJAグループ和歌山が「ハローウィン」商戦にオレンジ色のお化けカボチャの装飾を柿で作ってもらおうという趣向で提案したという。人気が高まる外国生まれの行事「ハロ―ウィン」の行事が柿にまつわる文化の再生の機会に代わる事を期待しているとの事である。今朝TVのニュースでは、東京渋谷駅付近のハローワーウィンの賑わいを放送していた。「木守り柿」の運命は如何に?ハロ―ウィンの行事を2ケ月位続けないと「木守り柿」も駄目かもしれない?
アマゾンリリー(ヒガンバナ科)花言葉は、気品、清らかな心。アマリリスは南米原産の多数の原種を交配して作られた園芸品種群の総称である。球根が大きく、径6~10㎝。春に花壇や鉢に植えると、幅広の葉と太い花茎を出し、その先端にユリに似た百合に似た大きな六弁花を2~4個咲かせる。花色は赤、桃、橙、白など華やか。開花は5~7月、切り花は冬~春を中心に出回る。近頃は開花処理された球根が秋~冬に出回り、早春の室内用鉢花としても鑑賞される。●花はゆったりとした濃厚な雰囲気をもつ。「アマリゝス裸足の童女のはだしの音 橋本多佳子」「原爆の地に直立のアマリリス 横山白紅」「太陽に鳥が棲めリアマリリス 福田蓼汀」「アマリリス廃炉明るく穢なし 殿村菟絲子」「地球儀が小さく見えてアマリリス 山田弘子」「アマリリス燭の名残の蝋匂ふ 鍵和田柚子」「アマリリス男の伏目たのしめり 正木ゆう子」「アマリリス芯の奥より夜のきて 井越芳子」「新しき靴はく朝のアマリリス 倉田しをり」「アマゾンリリー背中合わせに過ぎる時 ケイスケ)
サクラタデ(タデ科)花言葉は、愛くるしい。一年草の総称。種類が多く、冬以外の各季に花を開いているものが見られる。秋にに咲くのは犬蓼.花蓼.大犬蓼.櫻蓼.大毛蓼.柳蓼.櫻蓼.ぽんとく蓼など。大方は高さ60~90㎝だが、大毛蓼は1.8~2.2mに達する。花蓼は茎が直立し花がまばら、櫻蓼は淡紅色の花が愛らしい。「蓼食う虫も好き好き」のことわざの蓼で種類が多い。「柳蓼とその変種の「紫蓼」「藍蓼」「細葉蓼」「あざぶ蓼」「糸蓼」などでる。若い葉を摘んで、香辛料とし刺身のつまや吸い物などに利用する。独特の香をりとピリッとした辛味があり「青蓼」の葉をすりつぶして酢とだしで伸ばした「蓼鮓」は鮎の塩焼きには欠かせない。「本蓼」「真蓼」は「柳蓼」の別名。「灯を置いて飯食ふ蓼の豪雨かな 西嶋麦南」「捨水の波うちゆく蓼の溝 山口青邨」「大蓼や遠見に見ゆる牛の市 三好達治」「食べてゐる牛の口より蓼の花 高野素十」「蓼の花溝が見えぬに音きこゆ 柴田白葉女」「ニ三日なまけごころや蓼の花 鈴木真砂女」「空あおく魚に旬あり蓼の花 八田木枯」「蓼の花揺れゐて海の夕明り 沢村昭代」「下駄履いて人呼びに出る蓼の花 吉田汀史」「蓼咲いて余呉の舟津は杭一つ 三村純也」「伏流は岩に現れさくら蓼 岡部六弥太」「日ねもすの埃のままの赤のまま 高浜虚子」「長雨のふるだけ降るや赤のまゝ 中村汀女」「赤のまま記憶の道もここらまで 下村ひろし」「さゞ波のここまでよする赤のまゝ 池上不二子」「晩年の景色に雨の赤のまま 今井杏太郎」「犬蓼にちりちりと陽が谷底まで 川崎展宏」「花蓼の繚乱として暮れんとす 佐藤春夫」。
十一月のはじめの時の移ろいは 蔓草の葉の黄金色の楯を ふいに 一滴の血しぶきのように 濃い朱色に染めて 散らす 妖精が花をあしらい 小人が織りなす 苔のしとねに ものみな慈しめと (R.ブラウニング)。今宵 黄昏の光の中に この年は暮れてゆき 詩人は 秋深い森で 想いに沈み 枯葉のもらす もの悲しい 吐息に 耳傾ける だが 年の守護の天使は 精霊の昇天のように 旅立ち 春は緑 夏は輝かしい 青だった 時の衣を 脱ぎすてる いまは地上の使命をすべて果たし 幾千の谷を 珠玉の実りで満たし 果樹園には 薔薇色の果実 また いたる所に花をふりまき しばし西の方に 天使は歩みをとどめ やさしい別れの微笑で 沈みゆく日の 五彩の光となって すべての者に送り いま 神のもとへ帰ってゆく(ドイツの詩より)。おお はげしい西風 秋の精の息ぶきよ 姿の見えぬきみの登場に 枯葉は震えて 妖術者に追われた亡霊のように 散り果てる 黄ばみ やがて黒ずみ 蒼ざめ また熱病に赤く 悪疫に冒された者の群れ それをしり目に 暗い冬の臥床へと きみの戦馬は駆り立てる 翼のある種子は そこを墓として 冷たい屍のように 臥して待つ いつの日か きみの青空の姉妹 春の風は吹き起こり 花の馬車を駆って 夢見る大地を訪れ (大気で養った 羊の群れのように 芳わしい新芽を伴い) あざやかな色と香りで 平野を 丘陵を満たす日を待つ 荒ぶる精霊よ いたる所に働く者よ 破壊しまた 守護する者よ 聞け おお聞け 私を きみの竪琴として弾け たとえあの森のように あまねく 私の葉が枯れ落ちてもかまわない 響きわたる きみの雄壮な音楽は 秋の調べの 沈む想いをとき放ち また 悲しみの甘美な響を奪うのだ 猛々しい精よ 私の精霊となれ 激情の精よ この宇宙から 私の重い魂を追いはらえ 枯葉のように 新しい誕生を促すために そして この詩の呪文によってふりまけ まだ火の消えぬがより 灰と 火花を散らすように 私の言葉を 全人類に向って 私の唇を借り 予言の辣叺を 吹きならすのだ おお 風よ 冬来たりなば 春遠からじ と ”西風の詩” (シェㇼー)
オケラ(キク科)花言葉は、親しみやすい。日当たりのよい山地でよく見かける。茎は直立し、高さ30~100㎝。葉は革質で,倒卵形である。白色で、径約2㎝。頭花の周囲の苞葉が目立つ。若芽は山菜。根茎を干したものを「蒼求」といい、古くから薬用にする。「花うけらも乾燥花かも知れず 後藤比奈夫」「野を越え来うけらが花を胸に点じ 成瀬櫻桃子」「旧道の尽きたるあたりうけら咲く 棚山波朗」。白求火京都の八坂神社で行われる白朮祭に参詣すると、神事のあと、白朮を加えて篝火を焚き、参詣の人々はその火を吉兆縄に移して持ち帰り、元旦の雑煮を煮る風習がいまでも継続されている。江戸時代は白朮祭に参詣して、きりだした火が流れる方向でその年の近江の国と丹波の国の豊凶を占ったといわれる。白朮は京都人の生活に馴染のある花であった。「花うけらかも乾燥花かも知れず 後藤比奈夫」「野を越え来うけがらが花を点じ 成瀬櫻桃子」「旧道の尽きたるあたりうけら咲く 棚山波朗」。(宵月を蒼朮の花で夢を指し ケイスケ)
ナギナタコウジュ(シソ科;ナギナタコウジュ属)花言葉は、匂い立つみりょく。全体に強い匂いがある30~60㎝の一年草。葉は対生し長卵形枝先に長さ5~10㎝のナギナタ状の花穂を出し、淡紫色の花を多数つける。花期は8~10月、生育地は山地。分布地は日本全土。この花の句は詠まれていない。(匂いたつ魅力を持ちて立つ ナギナタコウウジュの詩歌の哭きぞ悲しき ケイスケ)
梅擬(モチノキ科)花言葉は、明朗。落葉低木で高さ2,3m。葉の形やおおきさを梅に擬えてこの名がある。5,6月ごろ薄紫色の花を群生するが、晩秋から初冬にかけて小球形の赤い果実を結ぶ。その美しさを賞でて庭木.盆栽.生け花によく使われ木である。落葉後、寒さが深まるといよいよ冴て美しいところから、漢名を落霜紅という。雌雄異株なので雌株だけ植えても結実しない。また、変種に白い実の実の白梅擬がある。同じ秋の季語で蔓梅擬というのがあるが、これはニシキギ科の蔓性落葉低木。果実は球形で淡黄色に熟し、三裂して黄赤色の種子を現わすすこぶる美しい木である。「いしぶみに大梅擬わだかまる 片岡奈王」「洞然のいたるところに梅もどき 飯田蛇忽」「鎌倉のいたるところに梅もどき 中川宋淵」「酸素足ればわ掌も赤し梅擬 石田波郷」「残る葉も残らず散れや梅もどき 凡 進」「澄むものは空のみならず梅擬 森 澄雄」「立山に雪の来てゐるうめもどき 大嶽青児」「まなじりに雨の一粒うめもどき 小島千架子」「無頼派の誰彼優逝て落霜紅 七田谷まりうす」。「蔓とし生まれたるつりゅめもどき 後藤夜半」「墓原のつるもどきとて折りて来ぬ 山口青邨」「栄もなく林寠るゝつるもどき 篠田悌二郎」「寺町にけふの足る日の蔓もどき 藤村克明」。(裏畑に朱を打って熟る実梅擬 ケイスケ)
センブリ(リンドウ科、センブリ属) 花言葉は、はつらつとした美しさ。日当たりの良い山野に生える2年草。根は黄色を帯びる。葉は直立して枝分かれし10~30㎝になる。葉は対生し線形。枝の先や葉の脇に円錐状に花をつける。はな冠は白色で5深裂し黄色のすじがある。萼片は5個、線形でとがる。古くから胃腸薬としてよく知られている。全草を乾燥し煎じて服用するが苦味が強く、千回振りだしてもまだ苦いことから出た名である。花期8~11月生育地は北街道、本州、四国、九州。「赤土の陽に跔みせんぶり摘み憩ふ 藤井青咲」。(千振は 幼き日の 苦い思い出 今は薬品 進歩の表れなる ケイスケ)
嫁菜(キク属)花言葉は、隠れた美しさ。山野に自生している菊に似た花を総称していう。その中にはキク属.コンギク.ヨメナ属などの植物が含まれる。特に野菊という品種があるわけではないから野菊は白だ黄色だと決めかねる。紺色のものに嫁菜、野紺菊.紫苑、ユウガキク.ハマベノギク.アレチノギクなどがあり、黄色いものにはアブラキク、ハマカンギク、シマカンギク、アワコガネキクなどがある。品種を詠みこむと音数をとられるので、野菊と詠んでで、想像させるように歌う。「頂上や殊に野菊の吹かれをり 原石 鼎」「はればれとたとへば野菊の濃い如く 富安風生」「ぶつかつてくる風のあり野菊晴 大野林火」「送水管野菊を摘めば手にひびく 林 樟嗘子」「野菊摘む古へ人のごとくにも 山田瑞枝」「咲初めし野菊に溢れ水急ぐ 岩城のり子」「足元に日のおちかかる野菊かな 一 茶」「玉川の石の河原の野菊かな 岡本癖三酔」「頂上や殊に野菊の吹かれ居り 原 石鼎」(花びらのうすしと思ふ野菊かな けいすけ)