◆デハニ53(一畑口→伊野灘) 2008年8月撮影

デハニ50形は、映画「RAILWAYS」の主役にもなっている車両。写真の撮影場所は一畑口駅を出てすぐのところ。
この写真を撮った2008年当時からすでに映画が企画されていることは知っていたが(当時は「ばたでん」という仮タイトルだった)、私の目当ては元京王5000系の追っかけなので、関東からわざわざ島根にまで出かけているにもかかわらずデハニの運行予定を把握していない。
だから、デハニはいつもひょっこり現れる。この写真もあわてて後追いで撮ったものだ。
車内を写した別の写真にもあるように、当時はお座敷に改造されイベント電車として運行されていたため、窓に網戸がはまっている。冷房はついていないから、夏の夜にビール列車で窓を全開で走っても虫が入って来ないようにとの配慮だ。
窓と言えば、最近みんな電車の窓を開けなくなった。
最新の車両は除湿機能はおろか空気清浄機まで備えているものもあるのでわざわざ開ける必要がないこともあるが、10年くらい前だと春や秋にはこんな車内放送が入ることもときどきあった。
「ただ今ヒーターからクーラーへの電源切り替え期間中で、どちらも使用できません。車内蒸し暑いところなどございましたら、窓開けにご協力をお願いいたします」
ひどいのになると(これは実際に聞いたことがある)「この電車のエアコンは全自動になっております。車内お暑いところがありましたら、窓をお開けください。また、車内冷え過ぎのところがありましたら、窓をお開けください」要は調節できねーってことだろ。
最近は機械の性能が上がってこんなことはなくなった。とくに2010年の4月は気温が乱高下したこともあり、昨日までヒーターが入っていたかと思えば今日はクーラーになっている。
エアコン漬けだ。
終着駅に着けば、外は大して暑くも寒くもないのにエアコンをつけっぱなしで4つのドアが全開である。
モーターの省エネ性能を高めたのでCO2がこれだけ削減されました、電車は環境に優しい乗り物ですなどとよく広告されているのだが、このエアコンはどうなのだろう。
デハニのような古い電車にそんなものはついていない。だから乗っていて不快なのかと言えばそんなこともないだろう。暑ければ窓を開ければよいのである。
関東でも郊外を走る少し古いタイプの車両だと除湿機能がついておらず、これからの梅雨の季節はクーラーを入れるまでの温度にもならない。だから、通勤時間帯には車内が蒸れることがよくある。
みんな下を向いて黙っている。
蒸し暑い、それでも誰も窓を開けない。窓を開けたことで周りからひんしゅくを買わないかどうか心配なのだ。周りと関わることがめんどくさい。
そんなとき、「窓をお開けください」の車内放送が入るとありがたいと思うのは私だけだろうか。
「暑いですね~、窓開けましょうか?」
などと一言隣の人に断って。
そんな車内では逆に「マナー向上にみなさまのご協力をお願いします」などという放送が不要になるのではないか。
…だから電車のエアコンはずせなどとは言わないけれど、技術が進歩する一方で、やはり失われる何かはあるのではないかと私は思う。
車両の詳細は一畑電車WebSt@tion→上部メニューの「車両紹介」へ。2010年7月上旬まで、出雲大社前駅に留め置かれて車内が公開されている。
一畑電車(島根県)は映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(2010年5月29日公開)の舞台にもなっています。