【熊大第7迷宮529階:黒髪てへトリオ部隊】
「今日のボスは大した事なかったですね」
「まあ俺たちが強くなりすぎたかな」
中島 一州に回復を行ってもらいながら原田 公司が発した言葉に、前田 法重が返す。ここは熊大第7迷宮529階。本日も準備→探索→ボス戦を行い、案外簡単にボスを倒せたので、少し緊張感がほぐれた様子のボス戦後の状況となっている。大塚 仁がレア物質を回収した後、いつものようにカード差し込み口にカードを差し込み、数秒後にカードが吐き出される。これで次回は530階の探索になるはずである。
「原田くん。回復終わり。次中尾くん」
そういって中島が中尾 智史の回復を行う。いつものことであるが、この時間戦士は回復を受けてもらったり、ボス戦の動きについての分析などを行い、罠解除士は物質の回収や、カードの管理、僧侶は回復と、それぞれやる事があり、それなりに忙しいが、暇そうな人が1名存在している。
「まだっすか。早く帰りましょう」
「もうちょっと待って。回復も終わってないし、大塚くんも戻ってないよ」
退屈で退屈でたまらない本田 仁は毎回のように帰るのを催促する。だが結局やることが終わらないと帰れないので、いつも軽くあしらわれているのだ。
「何かする事ないですか。原田さん」
仕方なく、する事を探すために原田に声をかけるが、原田は手首を外に向ける感じで両手を上にあげ、軽く左右に振る。おそらく無いということを表しているのであろう。
「やれやれだぜ」
そのような捨て台詞を吐いて、本田は壁に体を預けて目を瞑った。
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