【おむらいす亭:中島 叶恵・富田 穂樽・大塚 瀬名・村川 梨花】
「あー、美味しかった」
「叶恵さん。ご馳走様です」
満足げに言葉を漏らした富田 穂樽の後に、大塚 瀬名がお礼の言葉を述べた。ここはイオンモール熊本のレストラン街にある『おむらいす亭』。平日の午後14時ということもあり、そこまで混雑はしていない。本日中島 叶恵がイオンモール熊本で買い物をする予定だったので、高校を卒業して暇している富田と大塚、村川 梨花を誘って一緒に来たのである。もちろん移動は中島の車だし、食事も中島の奢りである。年が1つ上というのもあるが、中島は冒険者なのでお金には不自由していないのである。それに比べて高校卒業したばかりでバイトもしていない3人はあまりお金を持っているはずもない。
「いつも叶恵さんには出してもらってばっかりで申し訳ないです」
「全然いいのよ。お金は持ってるからね」
済まなそうな表情を浮かべている村川見つめながら、中島は笑顔で答えた。正直冒険者としての収入はこの3人が想像している以上のものがあるのだ。
「私たちも冒険者になってお金ができたら、必ずお返しします」
「冒険者になれるかなー」
ミルクティーを口に含んだ後で、富田が言葉を口にし、それに大塚が突っ込みを入れた。正直冒険者になれるかどうかは、その時の受験者のレベルにも寄るので、難易度は一概には言えないのである。ただ、富田も大塚も村川も両親ともに冒険者か元冒険者なので、自分達もなりたいという気持ちは人一倍もっているのだ。
「穂樽ちゃんありがとう。でも、返してくれなくてもいいよ。穂樽ちゃん達にお金ができたら正継くんとか陽菜ちゃんとか学くんに使って上げてほしい。今と同じ状況になってるはずだから」
そう言って中島はレモンティーを口にする。3人はこの言葉を聞いて、中島の優しさに感動し、一段と好きになってしまったのを身にしみて感じた。
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