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陶磁器“価値”

2010-03-08 10:52:16 | 過去のBlog記事

川崎和男がデザインしたものは高いと世間でよく言われますが、
僕は、手がけたメガネにしても、10万円以上のものは作ってません。
理由は単純明快。そこまでのモノではないからです。
10万円する陶器を見た時に、僕のメガネは勝てていないんです。
例えば、50万円の軽自動車があるとします。
その横に50万円の腕時計があるとします。50万の腕時計というと、結構な時計ですね。
これらを見比べた時、僕は圧倒的に軽自動車が負けていると思います。
50万円の腕時計をしてる人間と、50万円の軽自動車に乗っている人間とでは、
とても単純な言い方ですが、どっちがセンスがいいかに見えると思いますか?
ヨーロッパの高級レストランでは、カメラでパチパチ撮影するのは禁止されていますよね。
例えちょっとした記念撮影でも。
ただし、ライカのカメラで撮影するのはOKなんですよ。キャノンやニコンはまだダメなんですよ。
この事実を日本人はあまり知らない。
そして、日本のカメラメーカーも知らなさ過ぎる。
だから、僕は「カメラのデザインをやらせてくれ」って言ってるんですけどね。
ひとつも話が来ないですね(笑)。



陶器でも50万円するものは、
それだけ素晴らしいからその値段がついているわけです。
でも、日本には悪しき慣習がまかり通っていて、
デパートが日展などの名のある作品展を通った作家を囲い込んで、先生呼ばわりしてしまう。
そして、一気に値段を吊り上げる。
このブランド化のビジネスの方程式はダメですね。
人間国宝でも、あの作品はダメとか、あの作品は素晴らしいとか、
ちゃんと見る目を養わないといけない。
見えてる人は見えてるのに。
僕は陶磁器で300万と言われても買えませんから、
陶磁器だったら、10万くらいが限度かな。
別にあの世に持っていけるものでもありませんしね
というか、比べてしまうんですよ、工業製品と。一応、工業製品を作ってますから(笑)。
僕が手がけた壁掛けの時計の「HOLA」が5000円くらいで販売されています。
iPhoneのアプリでは115円!
僕の出身大学の後輩の鋳物作家が作った鋳物時計は10万くらいする。
ユニットは同じものを使っていて、時計という同じものなのに、
値段にとんでもない開きがあります。
なんだか複雑です。
モノの価値観とは実に不思議な世界ですね。



今回、陶磁器について、たくさん話を書いてきました。
このブログを通して、普段使っている茶碗やお皿の見る目が変わり、
次の器を選ぶ時、これまでとは違った選び方をしてくれると、僕はうれしく思います。



ところで、日本の細川元首相が、
今じゃすっかり陶芸家になったのをみなさんは知っていましたか?
そして、米国の日本大使館に入ると最初に飾ってあるのが、九谷焼で
金沢美大先輩の作品です。
徳田八十吉(正彦)氏の作品です。




kz-aritaARITAの世界的ブランディング戦略。川崎和男デザインディレクションによって
有田の地場産業の再活性化をめざしていきます。






ka_arita_label優れた伝統技術とデザインを融合させることで
商品価値の再設計・再構築を具体化していきます。
(こちらはパッケージのラベルデザインです。)






3_kzarita_iconkz-aritaの取扱説明書では、ステッキの使用についてアイコンを設計。
文字だけでは無く、図解でわかりやすい説明をしています。





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陶磁器“絵柄”

2010-02-10 14:21:26 | 過去のBlog記事

デザイン界の大御所に、森正洋さんという方がおられます。
有田焼でモダンなデザインを突き詰めた方でした。
僕の先生である柳宗理先生は、日本で初めて真っ白いコーヒーカップを作った方なんですが、
当時、その白いカップをデパートに持っていったら、
「絵が入ってない。こんなもの売れるか」とボロクソに言われたそうなんです。
宗理先生のものは、磁器の作品は真っ白のものが多いし、絵柄が入ってません。
絵柄を入れるか入れないかというのは、デザインにとってはスゴく大きな問題で、
絵柄の入れ方次第では、意図していたモノとはまったく別モノが完成することもありますからね。



僕がこのブログとは別に書いている「資本主義から逃走」というブログで、
「ロシア・アバンギャルド」という、ロシアの芸術革命について少し述べています。
その「ロシア・アバァンギャルド」がスタートした1905年頃に、
一般の人が使えるような絵柄の入ったコーヒーカップも登場しているんです。
その絵柄は、正方形や三角形などといった実に抽象的絵柄ばかり。
それはなぜかと言うと、
昔は貴族社会で、自分だけの個性的な絵柄などを入れたりしていたんですが、
「ロシア・アバァンギャルド」がスタートした初期の頃は、
本当にモダンなデザインで、
それこそ21世紀となった今でも使えるようなものが多く発表されてました。
正方形や四角形、1本の直線といった絵柄が主流。
後にその革命が成功すればするほど、
今度はイヤらしく、「教育を受けよ」とか、妙なスローガンが描かれるんですよ。
だから、陶芸でどんな絵柄を入れるかというのは、非常に大きな問題ですね。
「教育を受けよ」なんて言葉が入った器を今使うのは、どうなんでしょう。



陶芸作家で人間国宝と呼ばれる方の作品には、絵柄が入りません。
釉薬(上薬)で、特に自然油という薬をかけて、焼き温度を利用し、
窯変というある種の自然現象的な工程を経て仕上がった器が美しいとされているのです。
千利休がそういうことを言い出したんですけどね。
美濃焼きなんかは、窯変で「美濃鼠」というねずみ色がどんな風合いに出るかが、
いい作品の基準として判断されるんです。



これだけ陶芸について話してきて言うのもなんですが、
僕は、以前まで陶芸作家の方々があまり好きではなかったんです。
けれど、NHKの番組で僕がインタビュアーとしてある陶芸作家さんと
対談をしたことがありまして、その対談をきっかけに好きになりました。
その先生は、もともとは普通の窯屋さんの丁稚奉公から入って、作家になった方。
古い美濃焼を見事に再現された方なんです。
「こんな焼き物はどうやったって焼けないよね」という声が上がる中で、
それをものともせずに成し得てしまった。
瀬戸焼だと、加藤唐九郎さんも偉大な方。
30代で日本の陶磁器辞典を10何巻も書いてしまうんです。
そこで「日本の陶磁器文化が狂っている」と書いて、
日本の陶芸界からしばらく放り出されることになってしまって。とにかく過激な人でした。
僕はその方の生き方か思想に憧れを持っていて、どうもケンカっ早い性格なのは、
もしかしたら、唐九郎さんのマネなのかもしれない(笑)。
唐九郎さんは国内で有名になり、その後海外にも進出されます。
海外に出る時は、いつでも鍬を持って行ったそうですよ。
なぜかと言うと、どこの国のどの場所の土が一番いいかって掘り出すんです。
地球上で一番いい土が欲しくて欲しくて仕方がないっていう人だったんですね。
日本の陶磁器文化を大いに盛り上げた偉人です。
日本では陶磁器を瀬戸物って言いますね。これはやはり彼の存在と功績によるところが大きい。
こういった文化の背景について、みんな知らないんですよね。
非常にもったいないことだと思います。




kawasaki第5回陶磁器'絵柄3'

kz_aritaの陶磁器部分の絵柄です。
天の四方の方角を司る霊獣をシリーズ化しました。
その第1弾。青海波を背景に、西方を守護する神獣の白虎です。





kawasaki第5回陶磁器'絵柄1

kz-aritaトーラスのグラフィックイメージ図
グリップの上部には西方を守護する白虎の頭部が
描かれています。





kawasaki第5回陶磁器'絵柄'_カラー

伝統的な美しさとファッション性、高級感のある
商品群へのデザインエレメントとしての
グラデーションカラーの展開




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陶磁器“千利休とユダヤ人”

2010-01-27 19:09:38 | 過去のBlog記事

陶磁器文化と結びつきが強い日本の文化と言えば?
賢明な人はすぐ分かると思います。
答えは、茶道ですね。
そして、茶道と言えば、千利休。
僕は千利休という人物は、偉大なるアートディレクター、文化的な戦略家だったと思うんですね。
彼は秀吉にぴったりとくっついて、彼が統治する世のある種の文化的ディレクター役を務めた。
秀吉は、日本を統治します。でも日本は狭くて領土が限られてるから、
アッという間に制覇する土地がなくなってしまった。
そして、秀吉は朝鮮への出兵を計ります。
戦国の世は、殊勲を上げた武将に、土地を報酬として渡していました。
狭い日本だと、武将に渡す土地がすぐに底を尽いてしまうので、
どこか他の地に目を向けないといけなかったわけですね。
ところが、この出兵に対して千利休は「止めた方がいい」と忠告していたんですよ。
で、何を思いついたかというと、朝鮮人が使っていた茶碗に目をつけた。
日常使っていた茶碗です。それで、国の替わりに茶碗を贈呈するんですよ。
「そなたは良い働きをしたな。だから、この茶碗を授けよう」と。
だから、土地と同等のものとして、茶碗にスゴい値段が付いてしまったんです。
茶碗をもらった武将が、別の武将に茶碗を見せる。
すると見せられた方は、その茶碗がどれほどの土地の価値を持つのか気にしてしまう。
それで、モノを見ると「いかほどのものか?」と思考が働くようになってしまった。
だから、モノを見て、すぐに「これいくら?」と金額を聞いて判断を下すという、
日本人特有の気質が芽生えたのは、この茶碗と土地の話が背景にあったからと僕は思います。
海外の美術館の館長がよくおっしゃるんですが、
やはり日本人は、絵画を見たら「これはいくら?」と尋ねることが多いそうです。
日本の美術商の人も、すぐにアートをお金に換算する。
これだから、日本の現代美術は伸び悩んでいるんですよ。



なんでもかんでも「これいくら?」と価格を気にする日本人。
モノの価値を価格で捉えてしまう習性が、しっかり染み付いてしまってますが、
ユダヤ人にとって、価値が一番高いモノは、
目に見える物質的なモノではなく、知識(ナレッジメント)だと言います。
だから、教育をスゴく大事にしているし、賢い。頭の中のものは盗まれませんね。
ノーベル賞受賞者はユダヤ系の人が圧倒的ですよね。
少数民族なのに、驚くべきことですよ。
ちなみにユダヤ人は、これまでまったく価値のなかったものに価値を付けた。
それは美術作品や、ダイヤモンドなどの宝飾品ですね。これらの世界市場は、彼らが牛耳ってますね。
知識に長けているので、誰もが見向きをしなかった分野に進出し、
ひとつの文化を作り上げてしまう。
日本や中国などには、いい美術作品がなかったように見られていたんですが、
ユダヤ人は南画や北画とかの絵画の世界に憧れを持ってくれた。それと陶磁器。
そして、日本刺繍や織物、漆塗りにも興味を持ったようです。




Art0041

「kz-arita」伝統技術と先端的な医用工学的デザインを融合させた、
グリップ性の高い、人間工学に基づいたデザイン。





Art0042

グリップの前方は楕円、後方は円のかたちに垂直にカット、
手が滑り落ちない構造・構成。
使用者の手の中心と、シャフトの中心が重なる体重中心設計を採用。





Art0043

グリップ中央の膨らみは、手のひらのカーブと合致。
グリップの下の陶磁器はプラチナ加飾。




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陶磁器“ボーンチャイナ”

2010-01-12 11:13:04 | 過去のBlog記事

昔、中国の陶磁器がヨーロッパに多く輸出されるのを受けて、
陶磁器は「チャイナ」と呼ばれるようになりました。
漆器は、同じく日本からの輸出の影響で「ジャパン」と呼ばれています。
ところが最近は、漆器を見せてもですね、
ほとんど「ラッカーウェア」と言われちゃうんです。「ジャパン」とは呼ばれない。
でも「チャイナ」っていう呼び名は、今でもイギリス系の英語圏で残っています。
アメリカ圏だと、「セラミックス」になっちゃってますが。
これは、時代の変化と言えばそれまでですが、
陶磁器を焼いていく技術進化が背景にあると思うんですよ。
昔だったら、薪をくべて、人が付きっきりで、面倒を見てたんですが、
電気窯が登場してからは、技術革新ということで、人の手があまり加わらなくなった。
温度が自動でグングン上げられるとか、器が破裂をしないように焼き上げるとか。
そういう科学的な技術が入ってきたものですから、
いつしか陶磁器がセラミックスにまとめられてしまった。
今のセラミックス技術を使えば、人工宝石まで造れるようになっちゃってますからね。



陶磁器が「チャイナ」と呼ばれる話を書きましたが、
実は「ボーンチャイナ」という呼称もあるんです。
これは、器は器でも白い器が必要だという意識が芽生えたことに端を発します。
どうやったら、真っ白い器が焼けるか、みんながいろいろ試すんですよ。
粘度系の石を粉にして水で粘度状にして焼いても、真っ白い器が焼けない。
そこで、動物の骨を入れることを思いついた。
骨を砕いて原料として使う。
骨って焼けば白くなるじゃないですか?
その「ボーンチャイナ」が出きてから、釉薬も様々な工夫が凝らされるんですね。
で、日本でも真っ白いものを焼こうと頑張るんですよ。
「ボーンチャイナ」の話をするといつも思うことあります。
僕の父親が亡くなった時、僕は「骨を持って帰って、これで壺でも焼こうかな」って思ったんですよ。
こういうところが、自分では発想が柔軟だと思います。
不謹慎と言う方もいると思いますが(笑)。
僕が死んだ時は、僕の骨で一輪挿しでも作って、置いてもらってもいいと思いますが。
でも、気持ち悪いし、もう会いたくもないと思われて、誰もやりたがらないでしょうね(笑)。
ある陶芸家の話ですが、
その陶芸家が自分の愛する奥さんを亡くしてしまった。
彼は本当に奥さんを愛していたので、
亡くなった奥さんの骨を粉にして「ボーンチャイナ」としてキレイな花瓶を焼くんですよ。
ところが、その陶芸家が浮気をしてしまった。
そしてある日、花瓶を見ると、そこから血がにじんでいたんです。
やっぱり骨ですから、様々な話が逸話として残っているですよ。
昔は本当にマシなモノを焼こうと思ったら、人間の骨を入れて焼いていたんです。
今は、たぶん動物の骨を入れているとか、あるいは、カルシウムを含ませているか。
とにかく“化け学”的な技術が導入されているはずです。




kawasaki_2010012_01

バイオメカニズム応用によって、
確実な身体保持性能を可能にした体重中心設計を実現。
体重は必ずしも、身体の「重心」ではない。
だからこそ、運動+身体性=バイオメカニズム体系と
ヒューマン・ファクターエンジニアリングが必要。





kawasaki_2010012_02

トポロジー空間論を応用したトーラス形グリップデザイン。
グリップの中央にはデザインポイントとなる有田焼を配置。
やがて、この中央に「触覚センシング」機構や、「?」などを
実装したあらたなステッキ開発につないでいきたい。





kawasaki_2010012_03

木材と有田の磁器サンプル。
ステッキに使用される木材は、
すでに「国外持ち出し禁止」という種類も出てきている。
希少価値性と一般性を考慮した杖部材を選び、
その加工はすでに、国内でも限られた工房とタイアップした
プロジェクトとなった。




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陶磁器“日本のメーカー”

2009-12-22 18:58:22 | 過去のBlog記事

陶磁器と聞いて、僕がまず頭の中に思い浮かべるものと言えば、九谷焼なんです。
北陸出身ですからね。
僕は、九谷焼が子どもの頃から日常に転がっている環境で育ちました。
九谷焼って絵柄は最近では装飾過期でスゴくうるさい柄と思われています。
今は、どっちかと言うと、飾り皿として扱われてて、
あまり食器としての九谷のイメージは強くありません。
明治時代には、九谷と言えば、日本で一番の輸出品だったんです。
特にロンドン万博が開催されたあたりでは、
当時の日本の輸出品第一位というと、瀬戸物。九谷焼ですね。
九谷は西洋でもステイタスが高い製品だったんですよ。
その後、ノリタケなども頑張って、凌ぎを削りましたが。
九谷焼っていうのは、古九谷という、幻のものがあって、
それについて僕は大学時代に先生に教わったりしましたが
「あれは、幻であり、九谷焼を持ち上げるための話だ」との意見を聞きました。
小説家の立原正秋氏には、この考え方を表現した小説があります。




久谷の「唐三彩」

久谷の「唐三彩」。
故・徳田八十吉氏(正彦時代あり)の作品
「一輪挿し」の久谷形式をモダンデザインとしている。





2

「磁器と釉薬との融合さ」は国際的な評価であり、
この手法の作品。徳田八十吉氏の作品は、
米国・日本大使館の玄関でもっとも日本を語っている。
「デザイン」と「デコレーション」は調和されることで、「デザイン」の
手法と伝統を学べる。





有田焼き

有田焼き
有田のモダンデザインは森正洋氏によって「現代化」された。
私が彼の作品の中で、最も愛用し、この釉薬と磁器による「硯」は
「磁器製品アイテム」の発明だと思っている。





ここのところ、ウェッジウッドだとか、ヨーロッパの大きな陶磁器ブランドがつぶれてますよね。
なぜ大手が倒れていくかというと、伝統を破壊してこようとしなかったからですよ。
特にウエッジウッドというのは、めちゃくちゃ素晴らしい企業体だったんです。
ウエッジウッドは、コーポーレートアイデンティフィケーションの作り方が実にうまい会社で、
その中で、特に従業員の勤務態制だとか、人種差別をなくしたことなどが注目されます。
とにかく素晴らしい会社だったけど、
あまりにもブランドの価値が高くなってしまったものだから、
従来の装飾に閉じ込もって伝統を守るだけで創造する力を見失っていました。
これがつぶれた最大の原因だと思います。
それに比べると、日本の陶磁器メーカーは、みんな細々とやってますよね。
ただノリタケなんかは、相変わらずヨーロッパの高級ホテルのレストランでは
採用されるほどブランド力は強力です。
必ず僕はレストランに足を運ぶとお皿をじっくり見るんです。
日本のホテルのレストランは、海外のブランド皿を使っている。
そのレストランに通って、シェフと仲良くなったら、
僕は「ノリタケに替えてほしい」と言うんです。ノリタケの技術はスゴいんですよ。
最近、茶碗やコーヒーカップなどにおいて、
日本のデザイナーたちは完璧に作り方を間違っているってことを実感しているんですが、
ノリタケは違うなと思いますからね。




2008年の8月に、洞爺湖でG8のサミットがありました。
そこに来場した各国のお偉いさんに配られたものがあります。
日本のマスコミは、ちっとも報道してくれませんが、実は素晴らしいものを配っていたんですよ。
それは何かと言うと、万年筆。




香蘭社の万年筆

香蘭社の万年筆・洞爺湖サミットで公式採用




日本の万年筆の技術というのは、世界でも最高峰。
パイロットにしろ、セーラーにしろ、素晴らしい。時計にしてもそうですよ。
セイコー、シチズン、いずれも素晴らしい。
ただし、これらは、ブランド的には完璧に負けてます。
その万年筆ですが、有田焼の名窯に香蘭社という企業があります。
洞爺湖サミットの記念品として、
その香蘭社の「有田焼万年筆 古伊万里蘭菊」が贈呈されたんですよ。
僕も迷って、思わず買おうとしました。で、躊躇しました。
結局、買わなかったんです。それは絵柄がよくなかったからです。
ちょっと、がっくりする絵柄でした。
かつての香蘭社のモノはめちゃくちゃいいですよ。最近は・・・。
まぁ、焼き物を万年筆にするってことは、技術的にはかなり難しいんでしょうね。
なぜならば、焼き物は伸び縮みするからです。
だから、きっちりとした精度で焼き上げるのは至難の業でしょう。
でも、香蘭社あたりだと上げられる。ところが、絵柄でコケてしまったと私は評価しています。
万年筆は全部で3種類ありましたが、
どの絵柄も完璧なら、香蘭社が世界にもっともっとブランド力を発信できたと思います。
こういうところで、世界に通用するブランド力の経験値を伝統工芸の多くの産地が稼げないんですよ。




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kz-aritaは現在グリップは二種。
シャフトは、「紅木」。最も高価となる。
理由は、すでに失われていく南洋材として輸入ができないから。





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グリップのトーラスは、ステッキグリップとして「発明」した形態。
生体工学的に、体重とグリップのバランス性の最適設計をめざした。





7

有田の「磁器と釉薬=絵付け」には「白虎」を採用。
「加飾性」にデザインとデコレーションをステッキの存在性に
融合性を意図している。




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