最近の万年筆の筆ペン(左)で毛筆で手紙を書くのに重宝している。ボールペンは、ニューヨーク近代美術館に永久収蔵(右)と、契約書サイン用としてのブルガリのボールペン(中央)。ある企業のプ レミアムで私が選別して大好評だった。
美術学校に入ると、絵の具の色、鉛筆の硬さを指先を通して覚えることを学びます。「色にはそれぞれ温度がある」 と教えられました。
もちろん、そんなことは最初は分からないですよ。でも次第に 「黒ってこうだろう」 「白ってこんな温度か」 と分かるようになる。鉛筆のデッサンでも、濃い2B、HB、と硬さを覚えさせられたりします。そうするうちに、自分にはどういう鉛筆が相応しいのか、相性のようなものも分かってきます。
僕の場合はステッドラー社製の鉛筆を使っています。実際は三菱の鉛筆の方が性能的には良いと思います。でも 「味」 というか、個性がやや平均的かな。日本は良い鉛筆を開発しながら、個性の面では外国製のものを越えられていないな、と思うことがあります。車とかオーディオとかに似ていますね。
パソコンが普及し始めた頃は、企業はデザイナーに対して、パソコンをデザインの道具にすることを強く要求していましたが、現在はなるべく手描きを特に若いデザイナーには要求しています。カーデザイナーでも、最初のスケッチはほとんど手描きですね。家電などもそうです。パソコンが普及してしまって、逆戻りしたようです。
僕は普段はMacユーザーなのですが、重要な人には手書きで文書を書いています。同じ文章でも、ワープロ打ちのものにサインだけ手書きでしたもの、文章そのものを万年筆で書いたもの、筆で書いたもの、では全く相手にとっても、その価値が違うと感じるからです。
鉛筆から始まって、ボールペン、筆があり、万年筆があり、そして今度はそれぞれ紙との関係がある。
うちのスタッフにはいつも、「海外から来た手紙は、透かして見てみろ」 と言っています。海外の大企業のトップが送ってくる手紙には凝った透かしが入っていることも多いので、それを覚えろ、と。文字を見ても、この万年筆だったら、○○製のインクだな、ということも分かるようになる。
筆記用具を通して、1枚の手紙から面白いくらいに様々な事が読み取れるのです。
【スケッチペン】
スケッチ専用の筆記具、ほとんど市販されているモノは収集した。その中で日常的に使用している使いやすいモノ。
私の収集品の一部で、限定品や定番である万年筆。私が書き味を認めているモノ。柔らかいペン先から硬めまで。