昔、中国の陶磁器がヨーロッパに多く輸出されるのを受けて、
陶磁器は「チャイナ」と呼ばれるようになりました。
漆器は、同じく日本からの輸出の影響で「ジャパン」と呼ばれています。
ところが最近は、漆器を見せてもですね、
ほとんど「ラッカーウェア」と言われちゃうんです。「ジャパン」とは呼ばれない。
でも「チャイナ」っていう呼び名は、今でもイギリス系の英語圏で残っています。
アメリカ圏だと、「セラミックス」になっちゃってますが。
これは、時代の変化と言えばそれまでですが、
陶磁器を焼いていく技術進化が背景にあると思うんですよ。
昔だったら、薪をくべて、人が付きっきりで、面倒を見てたんですが、
電気窯が登場してからは、技術革新ということで、人の手があまり加わらなくなった。
温度が自動でグングン上げられるとか、器が破裂をしないように焼き上げるとか。
そういう科学的な技術が入ってきたものですから、
いつしか陶磁器がセラミックスにまとめられてしまった。
今のセラミックス技術を使えば、人工宝石まで造れるようになっちゃってますからね。
陶磁器が「チャイナ」と呼ばれる話を書きましたが、
実は「ボーンチャイナ」という呼称もあるんです。
これは、器は器でも白い器が必要だという意識が芽生えたことに端を発します。
どうやったら、真っ白い器が焼けるか、みんながいろいろ試すんですよ。
粘度系の石を粉にして水で粘度状にして焼いても、真っ白い器が焼けない。
そこで、動物の骨を入れることを思いついた。
骨を砕いて原料として使う。
骨って焼けば白くなるじゃないですか?
その「ボーンチャイナ」が出きてから、釉薬も様々な工夫が凝らされるんですね。
で、日本でも真っ白いものを焼こうと頑張るんですよ。
「ボーンチャイナ」の話をするといつも思うことあります。
僕の父親が亡くなった時、僕は「骨を持って帰って、これで壺でも焼こうかな」って思ったんですよ。
こういうところが、自分では発想が柔軟だと思います。
不謹慎と言う方もいると思いますが(笑)。
僕が死んだ時は、僕の骨で一輪挿しでも作って、置いてもらってもいいと思いますが。
でも、気持ち悪いし、もう会いたくもないと思われて、誰もやりたがらないでしょうね(笑)。
ある陶芸家の話ですが、
その陶芸家が自分の愛する奥さんを亡くしてしまった。
彼は本当に奥さんを愛していたので、
亡くなった奥さんの骨を粉にして「ボーンチャイナ」としてキレイな花瓶を焼くんですよ。
ところが、その陶芸家が浮気をしてしまった。
そしてある日、花瓶を見ると、そこから血がにじんでいたんです。
やっぱり骨ですから、様々な話が逸話として残っているですよ。
昔は本当にマシなモノを焼こうと思ったら、人間の骨を入れて焼いていたんです。
今は、たぶん動物の骨を入れているとか、あるいは、カルシウムを含ませているか。
とにかく“化け学”的な技術が導入されているはずです。
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