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お餅の市場動向

2021-01-01 17:11:00 | 分析・観察
あけましておめでとうございます。
正月らしいビジネスの分析をしようと思うので、今回はお餅の話を。

お餅は現代では自らついて食べる人は少ないと思われ、上場企業であるサトウ食品など様々な企業から、包装餅がスーパーやAmazonなどで売り出されている。
そしてその市場規模については、サトウ食品の包装餅製品の売上高(2019年5月〜2020年4月末)が213億円超であるなどかなりの規模にのぼっている。(2020年4月期の決算資料より)

サトウの切り餅は1kgで700円ちょっと。
一億人の日本人が平均で1kg買って食べるとしても700億円の市場になり、業界トップのサトウ食品の売上が213億円であったことからしても大体このくらいの規模なのではないかと推測がつく。

それでは、包装餅のビジネスは今後どうなってゆくのだろうか。
影響の大きい外部環境をみると下記の通りである。
(社会)
・日本の人口減少
・コロナでの外食の減少
・海外の食材が多く手に入るなど食文化の多様化
・スマホ普及で増えたインスタなどSNSでの話題性を求めるデジタルな行動様式
・味の評価コメントの広がりの加速
(テクノロジー)
・自動化可能な領域の広がり
などが挙げられる。

つまり、これまでと同じお餅を同じように売っていくと人口減少と食文化の多様化で次第に市場は細ってゆく確率が高い。
お餅は文化と根強く結びついた商品(お正月に食べる)なのでお正月文化が残る限り急に需要が減ることは考えづらいが、例えば10年後などを考えれば市場は縮小するだろう。
これに対して企業が取り得る手段としては①〜④のどれかもしくは合わせ技である。

①あきらめて他事業に予算や人を移行していく
②国内で1人あたりの消費量を増やすべく、a.地道に美味しく改善していく
b.何かしら「スマホでコメントしたくなる凄さを感じさせるような」美味しい食べ方を打ちだす。例えば飲食店運営に進出して美味しいお餅料理を見せて普及させていくか、SNSでお餅ブームを仕掛けていく等
③現地ごとの食文化に合わせた売り方を検討して海外進出
④自動化領域の拡大でコスト削減

このうち何が起こるかは、各社の経営判断なのでまだ分からない。
ちなみにサトウ食品は今のところ①で米飯事業に移行しているようにみえるが、今後どう動くかは分からない。
②b.に本格的に進むことで、例えば丸餅を入れたハンバーガーをモスバーガーあたりと組んで大ヒットさせ、モチバーガーを通年メニューとして定着させればお餅市場の規模は変わってくるだろう。
この年末年始、メーカーは見ていないが家族が買って出してくれたお餅がやけに柔らかくて美味しかった。僕はまだまだお餅を食べる正月を続けそうだ。お餅業界の今後の工夫は楽しみである。

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