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かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

591 恵方巻きの関税分類

2009-02-03 | 関税率表分類・HS
 子供の頃は、節分の豆が翌年の大掃除の時にたんすを動かすと出てきたりしていましたが、今は豆まきの行事も形式化されているようです。

 昨年は、曜日に恵まれ京都・壬生寺の狂言「節分」を拝見する機会がありましたが、今年はテレビで豆まきの風景を見るぐらいです。
明日は立春、通勤道ではプランターの水仙が咲いています。


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 大阪に育ったものには、太巻きの寿司は珍しくありませんが、大阪・船場での風習に由来する恵方巻きが、戦後廃れたが海苔の販促行事等を契機に復活し近年全国的に普及してきたことには驚きです。日本版バレンタインデーでしょうか。

 さて本日は、身近なところから関税法を学ぶという立場から、恵方巻はHS分類ではどこに入るのかを見てみます。
恵方巻きは、色んなものがあるでしょうが、基本は、炊いた米(ごはん)とともに、乾燥させたのりを表に、中に高野豆腐や、かんぴょうや、色んな食品が巻いてある、ご飯が中心になっている食品です。

 米は、HSでは第10類の穀物で、10.06に「米」があります。その6桁の細分では、「もみ」、「玄米」、「精米」、「砕米」と分かれています。第10類の注には「この類の各項の物品は、穀粒があるものに限るとあり、ご飯は粒があるといえそうですが、HSの10.06の解説では、「穀粒の構成組織がかなり変化するような処理がされた米はこの項には含まれない・・」とされています。
 どうやらご飯は、この項の穀類というよりHS第4部の調整食料品にいきそうです。 

第4部の調整食料品は、魚の調製品(16類)、17類(砂糖菓子)、18類(ココア)、19類(穀物の調製品)、20類(野菜の調製品)のように、モノ別になっていますが、色んな食材を使って一つの食品になっているのは、いたるところにあります。一つの食材でしか出来ていないというのがむしろ例外かもしれません。
ではこのモノ別は素材がいろいろなものをどういう基準で所属を判断するのでしょう。

 このような、素材や機能が幾つもあって、分類候補が複数ある場合のルールとしては、HSの通則は、① 特殊限定記載が優先  次いで② 重要な特性を与えているもの に分類という原則を規定しています。
半導体という分類と、DVDレコーダーの部分品という分類なら、半導体がより限定された記載ということは分かりますね。

 次に重要な特性で分類するというのは、HS分類のルールとしてとても広く使われますが、HSでは、数値基準による分類も随所に見られます。

 第4部(調整食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たばこ代用品)の第16類魚・・・の調製品に関する注の規定を見ると「・・・・・・の一以上を含有する調整食料品で、これら物品の含有量の合計が全重量の20%を超えるものはこの類に属する。」と、数値で線引きをしています。

 脱線しますが、冷凍の握りすしの輸入では、ネタのマグロや、たこなどの重量が20%超かどうかで魚の調製品か、米の調製品かに変わります。

 本題に戻って、恵方巻きです。
 
第19類(穀物・・の調製品)の規定を見ると、肉や魚を含有する調製品でこれらのものが20%を超えるものはそちらに分類すると書いていますが、恵方巻きは肉でも魚でもありません。また、野菜の調製品(20類)の規定には、肉や魚に有ったような重量の20%ルールが無いようです。
そうすると、恵方巻きの重要な特性は、その具になっている高野豆腐やかんぴょうではなく、米を水煮してご飯化したものに有ると認められますので、HS19.048穀物調整食品に分類されることが適当です。

・ ・・・・・
 本日は、節分の日の恵方巻きを取上げて、HS分類の初歩を見てみました。全ての分類を、数値で線引きできれば単純明快ですが、実際には重要な特性は何か?など悩むことが多いのが分類です。

 さて、皆さんは、作法どおり(恵方の方角(今年は東北東やや右)、切らずに、無言で)に頂きましたか?






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