風のたより

電子計算機とは一極集中の現象が大であるが、その合間を縫って風の一頁を

八月(1)枕.序 国家 民族 

2021-08-15 18:37:27 | 世評
オリンピックが終わったと。無事にと言おうか、無事にとは何事もなく、平穏にではなく始めあれば、いずれは何時かは終焉するであろうな。形あるものはいずれは砕ける。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たける者も遂にほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ

平家物語の冒頭である。何時聞いてもいいな。昔の物語は声に出して、その声を自分で聞く。響きが良いので耳に残るんだな

しかし、海外から選手や役員、関係者たちはよく東京2020オリンピックに来たな。今回のオリンピックは色々な疑問符がついていた。曰く、誘致をめぐるJOC竹田恒和前会長の汚職疑惑から始まり、佐野研二郎のエンブレム盗作疑惑、森喜朗前組織委員会長の性差別発言、開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏の渡辺直美の容姿を侮辱する演出案、いずれも責任を取って辞職した。あるいは詰め腹を切らされた。とどめは開会式のショーディレクター小林賢太郎の過去の言動、ユダヤ人の大量虐殺、ホロコーストをコントの笑いのネタにしたとか。この一件だけは組織員会が解任した。また菅義偉首相も言語道断だと。普段、菅義偉は後手後手に回っていたが、この件だけは、このホロコーストはオリンピックだけでなく、人権問題であろうな。下手をすると外交問題になりかねない恐れがあった

古来からこの国は海に囲まれていた。ヤマト民族が流入したが、北にアイヌ民族、南に琉球民族がいた。しかし、島国故単一民族と勘違いしてしまう。屋久島は南の孤島、あそこも外からの移住者が多いと、しかも移住者を受け入れ易いと。しかし、元々の住民と移住者は外から見ても顔が違うんだな。顔だけでなく喋り方も違うな。しかしお互い違う人種たちが共存している姿はいいんだな

このコロナ禍のさ中、小林賢太郎の解任は開会式直前、しかし開会式では何事もなかったように儀式は進行していった。そして参加した選手、参加できた選手だけで競技を行い、閉会式にこぎつけた。

報道によると、誘致をめぐるJOC竹田恒和前会長の汚職疑惑裁判で2億円も使って、まだ進行中であると。裁判費用はJOCが負担していると。竹田個人で無くJOCの組織としての行動であったな。この疑惑を晴らすためにもからバッハ商人も、政府当局も開会せざるを得なかったな

このオリンピックで感じたこととして、2,3点述べる

8月3日の朝日新聞朝刊記事から、セルビア旗に愛を 祖国に「金」を、の記事があった
テニス男子シングルスの世界ランキング1位、今季の四大大会無敗のノバク・ジョコビッチだ。
プロテニスプレーヤーにとって最大の勲章は四大大会の優勝だ。名誉に加え、数億円の賞金が懐に入る。一方、五輪に賞金はなく、世界ランキングに反映されるポイントももらえない。
それでも、彼は五輪に挑み続けてきた。
五輪の魅力とは何なのか。直接聞いたことがある。返ってきた言葉はシンプルながら、力強かった。
「五輪は独特な祭典だ。アスリートとして、祖国を代表して戦うことは、とてつもない名誉だ」
1990年代の旧ユーゴスラビア紛争で祖国セルビアは「悪役」のレッテルを貼られ、首都ベオグラードは北大西洋条約機構(NATO)軍の空襲を受けた。偏見を抱かれがちな国で生まれ育ち、愛国心が深まったと話したことがある。と

今一つは、ベラルーシ代表のクリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手の亡命である。無事隣国ポーランドへ亡命できた。と。亡命とは命を喪うことである。祖国から逃げる
マッチ擦る つかのま海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや  寺山修司

東欧には色んな民族が生存している。民族と国家は一致していないが、国家の要である民は単一の民族の方がうまくいくのであろうな。東欧では国家が生まれては消えていく。国境も陸続きであるので紛争も起きやすい。清教徒が集まったアメリカなぞは多民族国家であるが上手くいっている。正式にはアメリカ合衆国である。50州からなる連邦共和制国家である。人種のるつぼであり、民族のるつぼである。るつぼとは種々のものが混じり合っている状態や場所であると。通常は異分子が混ざると摩擦を起こすが、それを防いでいるのは独裁者の台頭を大統領の任期を定めていることであろうな。任期は4年で3選は禁じている。このことは合衆国の知恵であろうな

どこの国でも権力者は、たとえ選挙で選出されたとしても長くいたいんだな。権力者とはそういうものだな。小生は権力者にはなったことはないが、人とはそういうものだな。曰くロシア連邦でのプーチン大統領、中華人民共和国での習近平国家主席、北朝鮮の金一族、ベラルーシ共和国のルカシェンコ大統領、ドイツのメルケル首相も長かった。本来なら民が国家を形成するのだが、逆だな。国家が民を統治している

世界を眺めても独裁者は減るどころか増加しているようだな。わが国でも安倍晋三首相は長かった。なぜ長かったかと言うと選挙に強かったと。結果に於いて選挙に強いと手下は追随してくる

日刊SPA!/2021年8月4日 前衆議院議員の福島信亨が記載した「赤木ファイル、公文書改ざんは万死に値する」というを拝見した
赤木ファイルは、赤木さんが改ざんの作業過程を記した「備忘記録」であると。

そして2017年(平成29年)2月17日の衆議院予算委員会で
○福島信亨委員 あえて言いますけれども、この小学校の名誉校長とされているのが安倍昭恵先生という方で、右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いております。この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきましたと。この事実、総理は御存じでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。
ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。

○安倍内閣総理大臣 いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、なぜそれが当初の値段より安くなっているかということは、これは理財局に聞いて、もう少し詳細に詰めていただきたいと思いますし、認可においては、大阪府ですか、小学校、中学校ですから大阪市になるのかな。(福島委員「府です」と呼ぶ)ああ、府ですか、に確かめていただければいいことであって、私に聞かれてもこれは全くわからないわけでありますし、繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思いますし、そもそも、何かそういうことが動いているかのようなことを前提にお話をされると、この小学校に通う子供たちもいるんですから、こういうことはやはり慎重にちゃんとやっていただきたい、このように思います。

この安倍晋三総理の突然の「私や妻が関係していれば、総理大臣も国会議員も辞める」と繰り返し強弁したことにより大問題となったと。そこから決裁文書の改ざんが決定されたと。少なくても明恵夫人が関わっていたことは写真もあったし明白であろうと。赤木俊夫さんが土地取引の現場にはいなかったので値引きの交渉過程は分からないにしても、改竄過程だけは赤木ファイルで明らかになるであろうと

そして予算編成の時期だったので、当時身体を張ってでも、予算成立を担保にして「資料を出さなければ、期限までに予算を通さない」と交渉するしかなかったと。公文書は国家の歴史そのものだと。公文書は官僚や政府のものでなく国民の財産になると。「吏道」を廃れさせた、それが安倍政権の最も重い罪だと

惜しむらくは現役の時に声を大にして発言してもらいたかった。テレビ朝日はオリンピックの視聴率が高かったと。そのため閉会式後に打ち上げと称し、10人で飲み会を開き社員1人が誤って店外に転落したと。11日羽鳥慎一モーニングショーで社員の玉川徹が謝罪したと。玉川徹は単なるテレビ朝日の社員であり、この番組のディレクターではない筈である。責任者でなく、一社員、一出演者に謝罪させるとは解せない。羽鳥慎一モーニングショーでの玉川徹の発言はテレビ朝日の見解では無く、一社員の発言であろうと思うがな

どうもテレビ局とは番組によって、局の見解でなく、番組によって見解が分かれるようである。テレビだけでなく、新聞も社の統一見解があるのか疑問符がつく。朝日新聞は社説ではオリンピック開催を中止見解であったが、オリンピック報道はやってるんだな。もう一つ8月13日の社説ではふるさと納税とは官製通販であると真っ向から反対していた。ふるさと納税は創設されてだいぶ日が立っている。それとも目に余る、度が過ぎることであろうか。昨今は目に余ることが多いようだな

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Unknown (ちわき)
2021-08-16 11:57:02
風の盆さん、お早うございます。
早いもので八月も半ば…オリンピックであっと言う間でした。
日本人の活躍で最多のメダル数…いろいろ紆余曲折ありましたが、何はともあれウレシイ限り!
だからといって何もかもがうやむやになんて…とにかく栄光の影に隠れてなし崩しに責任逃れや臭い物に蓋というのは…イヤですね。
これ日本人の気質でしょうか。
〝長いものには巻かれよ〟や〝地獄の沙汰も金次第〟など昔から諺で言っていますもの。
オリンピックのメダルなどは全て個人、チームなどの血の滲むような努力から生まれたものでしょう。それも今回はコロナで一年延期という中で…並大抵のことではなかったと思います。
だから、それはそれ…メダルを取った人も取れなかった人もみんなに心からの拍手を贈りたいです。
そういう純粋なスポーツマンシップに邪心が入るとは、私には思えないのですが、国を背負っているという立場、国からの支援で、その借りを返さなくては…などということがあるのかもと考えると、現実には国がらみの違反行為も起こりうるんですよね。
そういう世界に関わったことがなく、外から観覧するだけでは分からない事というのは当然無数にあるとは思うのですが…
判定や審判なども公平とは思っています。でも、人間のすること、ミスもあるでしょう。
今回のオリンピックではビデオ判定が導入されて微妙なところが少し解決されたように思いました。
特に柔道やレスリングなど?と思うことが今まであったような気がしましたから。
ところで、沖縄出身の人が随分活躍していましたよね。
名前や貌ですぐに分かります。やはり民族が違うから?
でもそんなこと考えたことはないです。北海道でもアイヌの人は大体分かりますし。
でもそれはそれぞれの特徴だと…混血の人が日本人として活躍するのを応援するのも同じようなものでしょう。
しかし、子供の頃はいじめられたり差別されたりしたと、殆どの人が回顧していますものね。子どもの世界って残酷なところがあるから…
しかし、才能は当然でしょうが、そういう逆境を撥ねのけて強くなったという部分もきっとあると思います。
昔の封建時代の差別や偏見の時代から考えれば随分グローバルになっていますが、やはり日本は遅れていますもの。
女性蔑視などは未だにですから。
また話が逸れました。ゴメンナサ~イ!
赤木ファイルの件…詳しく書いてありましたので良く分かりました。
「私の雇い主は国民。国民のために仕事ができることを誇りに思っています」と、口癖のように語っていた赤木俊夫さんだそうです。財務省の決裁文書の改ざんに関わったことへの「責任」を考え抜いた末に自ら命を絶って3年以上が経ちましたが、今誰かがその責任を問われているのでしょうか。特にその一番の中枢であったトップ陣の責任というものには…
当事者であればどんなに悔しいか、私にもよく解りますが、何故こうも無力なんでしょう。証拠もあるというのに…
これぞまさに〝るつぼ〟なんでは?
世の中の批判なんてああいう人たちには、あって無きがごときものなのでしょうか。要するに厚顔無恥?
でも生まれたときからではないでしょうから、徐々に面の皮が厚くなって不感症になっていったということかも。
だから政治家は嫌いです…といったって誰かがしなくてはどうにもならない…そこが問題ですよね。
アメリカの大統領の任期が4年で2選まで…これいいですね。是非日本もそうして欲しい!
ところで、このエッセイは〝八月(1)枕、序…〟、ということは今から本論に入るのですか?もしかしたら枕、序の(2)(3)…と、最後までいって終るとか…(^0^)
八月 (風の盆)
2021-08-16 18:29:04
八月とは特別な月だな
おまけに今年は、コロナ禍とオリンピックかな

>子どもの世界って残酷なところがあるから…
どうもそういう点はあるようだな。大人から見た場合だが、
それともまだ残酷が分からないかも知れない
味に対しても好きだか嫌いがどうして出てくるのか
多分、習慣、習性によるのだろうな

>このエッセイは〝八月(1)枕、序…〟、ということは今から本論に入るのですか?

ほんのさわり
何せ、八月だから
暑い暑い八月だから
もっとも長い日があった八月だから

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