風のたより

電子計算機とは一極集中の現象が大であるが、その合間を縫って風の一頁を

わきまえちゃった菅義偉

2021-09-10 17:09:29 | 世評
菅義偉が3日午前の自民党臨時役員会で今回の総裁選には出馬しないと。二階俊博幹事長と加藤勝信官房長官ら関係者に伝えたのは3日の朝だったと

8月末から9月始めにかけての菅義偉総理の動きを見ると、8月22日横浜市長選挙で自らが支持した小此木八郎が負けた。
二階俊博幹事長が8月24日の記者会見で前回同様先陣を切って菅義偉の再選を支持
26日任期満了に伴う自民党総裁選を9月17日告示・同29日開票の日程を決定した。それを受けて、岸田文雄が26日に出馬会見し一期1年、連続3期までとすると表明した
29日菅義偉は宿舎で終日過ごした。丸1日の休みを取ったのは3月28日以来154日ぶりだと
8月30日午前下村博文政調会長は出馬する意欲があったが、菅義偉と官邸で会談して、出馬断念か政調会長辞任を迫られ、出馬断念したと。8月30日午前、森山国会対策委員長と加藤勝信官房長官とが国会内で協議して臨時国会見送りを決めたと。また首相官邸で二階俊博幹事長と会談し、二階氏を交代させる意向を伝達。二階氏も「自分に遠慮なく人事をやってほしい」と応じたと
8月31日菅義偉は自民党役員人事と内閣改造を来週行い、9月中に衆院解散に踏み切る意向だと、また総裁選の先延ばしも考慮していると
9月1日午前、菅義偉は衆院解散について「今の状況は衆院解散できる状態ではない」と。また「総裁選の先送りは考えていない」と、首相官邸で記者団の質問に答えたと
9月2日菅義偉は二階俊博幹事長と出馬を再確認したと
9月3日の党役員会で不出馬を宣言した。
9日に緊急事態宣言の延長決定の記者会見時に、総裁選に立候補をしない件についても語っていた

自民党総裁で事実上無派閥から選出されたのは菅義偉が初めてだった。安倍晋三から引き継いで総理大臣になった。総理大臣になった当初は世論調査では驚異的な支持率であった。無派閥で二代目で無い、地盤なし、看板なし、カバンなしの三バンが無かった。加えて雪深い田舎出、成り上がり者、いや、叩き上げ、苦労人と大衆からの支持率は上がったな

菅義偉は酒を飲めないと。酒でなく、昼間懇意の報道関係者を集めてパンケーキ会見もやったことも支持率上昇に貢献した。中国では無派閥の苦労人が一国の権力者になるのは異様であると報じられた。中国だけでなく、この国でも異色な権力者であろうな。菅直人が市民派から総理に上り詰めたが、菅義偉はどうだろうな

それは安倍晋三、麻生太郎に先駆けて、二階俊博幹事長が流れを作ったことにも寄るが、経歴は異色であった。朝起きて散歩も時間通り、趣味は新聞の人生相談だとか。電話の話も短いし、官房長官時代から民間人とは頻繁に会ってると。会って何を話しているのか分からない。仕事がいや人事が、人を動かすのが趣味のような男であった

人事と言えば、城山三郎の「官僚たちの夏」の主人公・風越信吾も冒頭、人事を考えていたが、風越信吾の人事は当時の通産省の個別でなく全体を考えていた。菅義偉の人事は何だな
総務省やNHKの一部の人事だな。総務大臣でも一部の部署を考えていた。株式会社は社長と副社長では月とスッポンだな。それは社長は人事権を持っているからだと。それ故任命権者の人事は難しい。本来なら人事とは任命権者が任命するが自らに振り返ってくる。人事で選んだ者が失敗したら、それは任命権者の責任とも言える

菅義偉は経歴も異色であったが、総理在任中も異色と言える。いや人物が異色であるかも知れない。官房長官時代に安倍晋三が総理在任が最長になった時に、毎日新聞社の記者だったかな。菅義偉に聞いたと。「最長とは重しかな、いや快楽かな」そして「ふふふ」と答えたと。官房長官の仕事は楽しいですかと聞くと、「こんな楽しいことはない。やりたいことが出来るから」と答えたと。この記者はすぐさま記事にせず、大分経ってからポツリと喋ったと

日本学術会議の会員の任命では、NHKテレビでの出演では司会者から聞かれ、「話せる理由と話せない理由もある」と。それも総理になって日が浅かった時である。この男は朴訥のせいか本音がポロリと出る。その点では麻生太郎と似ている

沖縄を訪問した時、知事だったか戦争中の沖縄のことを話していた際に、菅義偉は「私は戦後生まれであるから、戦争中のことは知らない」と話したとか。参っちゃうな。同じ神奈川県を選挙区に持つ小泉純一郎がいた。この男も話は簡潔だったな。変態と言われた割には大衆からの支持率は高かった。その小泉純一郎は憲法改正について歩きながら話していた

口とは重宝なもの。多弁でも口が足りなくても、総理には向いていない。菅義偉は口が足りなかったが、寡黙なのは総理に不適格ではない。ただ菅義偉の場合には人を食ったところがあった。だから説明、説得力が無かった。原稿の棒読みに始まり、記者会見でも再度の質問を受け付けず、下手をすると記者からの質問を事前に提出させていた

総理とは口が多すぎるのも困る。口数が多いと、口が軽くなる。訂正が多くなる。考えて喋る、あるいは喋りながら考えることは必要である。なんせ国家の指導者であるからな

菅義偉は次の総理に意欲満々であった。それが夜が明けたらコロリと変わった。何せ異色の成り上がり者、いや叩き上げである。最後は血迷ったか自己の延命だけを考えた。二階俊博の幹事長を交代すると。良く二階俊博が了解したが、すんなり決まったか。多分安倍・麻生連合に気を遣ったのだろうが、総裁選の前に人事の変更とは考えられない行為だな。総裁が変われば、任命した者はそれまでだな。いわゆる毒まんじゅうだな。誰も受けないな。長年自民党に在籍していれば、いやどの組織でもそうだな。新しい総裁に人事権があるな

解散はともかく、どうして人事に手を付けたか分からない。後で「総裁選で現職の総理・総裁がボロボロになる結果に終わってしまったら、総理が一年間で成し遂げた実績すら光が当たらなくなってしまう」と、「ボロボロになっても総裁選に突っ込むべきだと主戦論もありましたが、退くことが今後の菅総理に対する正当な評価につながるという考えでした」と小泉進次郎が連日会った際の進言であったと

連日小泉進次郎は菅義偉に会っていたと。援軍なら人事権の停止は進言しなかったのだろうか。菅義偉はどうせ無派閥で異色の自民党員であり、総理であった。いっそのこと、ボロボロになろうが、総裁選に突き進んでもらいたかった。それとも総理の快楽が無くなったから降りたか。サラブレッドならいざ知らず、成り上がり者、いや叩き上げなんだな。戦闘中に降りるとは異色の人物では無い

それなら、国会議員も辞めるだろうな。もう権力者の快楽は無くなったのだから、一介の衆議院議員では満足しないだろうな。戦い済んだら、いや最後まで戦ってもらいたかったが。それでこそ成り上がり者、いや叩き上げの真髄だろうな。戦い済んだら、後は抜け殻。総理は後釜が決まらないのでしょうがないが、次回の衆議院議員の立候補は止めれるだろう。安倍晋三は自民党議員の中枢にいる。親分とは経歴が違う。せめて菅義偉らしさは、親分に従うでなく、議員の立候補を止めることだな。歴代の総理は、総理を辞めても、議員を継続している。成り上がり者でなく、叩き上げなら違う道もあるだろう
コメント (9)
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