またしても陰惨な事件である。
今度は人口の坩堝、ムンバイにて。
……このブログ、社会派ネタも扱うんですよ。一応。
ゲーム・漫画専門ブログじゃございませんので悪しからず。
ちうか、通常営業に戻ったんです。はい。……強弁。
ムンバイ=ボンベイは海沿いの街で、イギリス東インド会社の貿易拠点として発展した街でもある。
最近では証券取引所もあるため、金融業界なんかがにぎやか。
海に面した南部は所謂昔ながらの街並みで、町はどんどん北部に向かって伸長している。
10億人を擁し新たな経済圏として成長しているインド、というフレーズはもはや目新しいものではなくなった。
ムンバイ市街地から一山超えた北側は新興住宅街として開け始めており、日本のタワーマンションもびっくりするような超高級住宅街もある。
そのすぐ横に、路上にトタン屋根のテントを張り生活するしかない人々も居る。
このブログでも以前書いたが、昨年機会があってムンバイに行った。
仕事だったもので、市内の移動は全てタクシーを利用。
タクシーといってもインド名物・三輪車タクシー「リクシャー」ではなく、ヒュンダイだかオペルだかの車だった。
何故かサイドミラーがないのが気がかりだったけれども。
タクシーで空港からホテルまでたっぷり30分乗って、かかった料金は140ルピー=400円程度。抵抗感なく使ってしまう。
初め鉄道で行こうかと思っていたのだが、仕事相手のインド人曰く「生活に余裕がある人は鉄道には乗らない」。
理由その1)インド国鉄は時間通り走らない。事故が多い。
その2)非常に混雑する。だからスリや強盗の被害に遭いやすい。
その3)行きたい所に向かって走っていない。
その3はともかく、その1とその2の理由によってタクシーに乗りまくった。
だが実際のところ、自動車交通だってものすごく混んでいて、事故も極めて多い。
鉄道を避けて選ぶ選択肢としてはちょっと貧弱だ。
一方で、鉄道にさえ乗らずに一生を終えてしまう人々というのも一定数居る。
ムンバイの河口沿い、町外れ、山沿い、いたるところにスラム街がある。現地の人の感覚としては、ムンバイ人口の3割はスラムなのだという。
彼らはここで生まれた人々が多数、そして田舎から出てきた人、失業した人。体が不自由な人もよく目にした。
自動車に乗っていれば赤信号のたびに窓を叩かれる。町を歩いているだけで寄ってくる。
ただただ戸惑って、厭わしく振り払うことも、金を落としていくこともできなかったわけだが。
彼らがよく売っていたのは一束10ルピーのすずらんに似た花の飾り。それが1つでも売れれば1日生活できるのだという。一日20円くらいで生活できるちうことだ。
車の中から何度か鉄道が走っているのを見た。
確かに溢れんばかりの人が乗っており、車内も薄暗い。しかも女性がほとんど見当たらない。通勤時間帯だったからだろうか。
爆弾が仕掛けられたのはいずれも一等車両だったらしい。
この、世界の資本主義構造をぎゅっと集めて絞ったような町において、一等客車に乗るのは果たして裕福な人々なのか、それとも富に見放された人々なのか。
一様に断じることができないのが、この国の魅力でもあり難しいところでもある。
政府は宗教的な対立軸のテロ組織が犯人であると目しているようだ。
交通網は破壊されて大量の死者も出た。
だが被害をこうむったのは、彼らが打撃を与えたかったものだったのだろうか。