川崎フューチャー・ネットワーク(特定非営利活動法人)

みんなの力で、川崎を “環境都市” に!

公害の根絶を求めて、40年

2015-06-06 | 環境コラム
2015年6月3日~4日、
第40回全国公害被害者総行動に参加させていただきました。

【6月3日レポート】

あいにくの雨の中でしたが、日本各地から日比谷公園に集合し、
大臣交渉、テーマに分かれて、各省、東電などとの交渉、
総決起集会などを行いました。

 

私は環境省 水・大気局との交渉に参加させていただきました。
PM2.5やNO2などの対策をはじめ、
温暖化対策、高速道路の整備にまつわる汚染の拡大問題など、
事前に提出した意見に対して環境省から返答がされ、
約1時間、数々の意見交換が行われました。

各省庁などへ分かれて行った交渉が終わると、
夕刻、日比谷公会堂に再集結しての総決起集会です。

 

「ミナマタは終わっていない」
「フクシマをくり返すな」
今年のアピールの言葉です。

 

水俣病の公式発見から59年。
総行動も今回で40回とのこと。
政府と交渉をしたり、裁判を行ったり、
公害被害者の方たちは、さまざまな闘いを繰り返してきました。
集会の中で、40年間、一度も休むことなく、
この総行動の交渉に参加してこられた方が挨拶をされましたが、
次々に発生する新たな環境問題をすくいあげながら、
ここまで継続することは並大抵のことではなかったろうと思います。
本当に頭が下がります。

声をあげなければ、何も変わらない。
今ある環境基準や規制などは、
こういった闘いや交渉の結果なのだと思い知りました。
やり方や伝え方は課題があると思いますが、
継続していかねばならないだろうと、あらためて思いました。

 

明日は文部科学省との交渉に同席させていただきます。
(もともと個人的には、こちらがメイン)
子どもたちの健康を守るための疫学調査(SORAプロジェクト)についてや、
次世代の子どもたちへの公害の学びを伝えること、ESDとの関わり方など、
課題はいろいろですが、勉強させていただきます。


  ミナマタ(水俣、新潟)をはじめ、各地の大気汚染公害患者会、
  高尾山の圏央道問題、有明海水門訴訟、そして福島、沖縄基地問題など、
  さまざまな課題が一堂に。


 
  会場に来られない方々からのキャラバンによる寄せ書き。

【6月4日レポート】

翌日、文部科学省との交渉では、
まず福島の小・中学校の先生方が生徒たちの現状、陥っている課題を、
切々と語ってくれました。

 

落ち着いて勉強できる体制がないために学力が低下していること、
放射能の影響から外に出ることを恐れて、体力も落ちてしまっていること。
(それぞれ、学力テストや体力測定で明らかに数値として表れている)
教師だけではどうにもならない、
民間だけではどうにもならないから力を貸してください、という必死の訴えに、
正直、対する役人の方々の反応は鈍かったと思います。
残念です。
もしかすると、個別に話をすると違うのかもしれませんが、
この壁を越えるのは難しいことを、あらためて感じました。

かつて、大気汚染が一番激しかった時代、
川崎から地方へ「青空学級」という名前で疎開の制度がありました。
福島の子どもたちにも同様の対応がとれないのか、
この交渉の場でも提案されましたが、明確な答えはありませんでした。

待ったなしの課題が置き去りにされることで、
防げた被害が防げず、被害が拡大してしまったことは、
それこそ「公害」の問題で学んだはずではなかったのでしょうか。

また、だからこそ、そういった学びが、
公害発生地域で、きちんと次世代に伝えられているかについて問うと、
担当者は「指導要領に書いています」との返答。
その他、具体的な教師の公害に関して学ぶための研修についての提案にも、
「周知・指導はしている」との返事。

それで不足なく充分であると、本気で考えているとは信じたくありませんが、
あらためて、文部科学省の限界を感じました。
残念であると同時に、もっと具体的に動いてもらうためにも、
市民が粘り強く声を上げ続けていかねばならないと強く感じる交渉でした。

 

その後、環境省前にて、最後のアピールが行われました。
2日間にわたる各所での交渉が報告され、今後の課題が話されました。
課題は多く、大きいものの、
その解決に向けては、市民だけではなく行政との協働が不可欠です。
正直、緊急の課題に対して鈍い反応に歯がゆい思いはありますが、
それでも、こうして各地のテーマを拾い上げ
地元や当事者の声を届け、理解を深めていくしかありません。
また、そのためにも、各地の行動が連携していく必要も強く感じました。

国との交渉を経て、
川崎で、現在、行われていること、KF-netとして行おうとしていることなど、
方向性に間違いがないことを感じつつ、
もっと広く、多くの方に理解していただく道を模索していくことについて、
これまで以上に重要度と必要性を実感しました。

だからこそ、その伝え方、交渉の仕方、運動については、
自分たちの活動も含め、
これからの未来をつくっていくために、
本当に手を携えて未来をつくっていくためには、
もっと違うアプローチも検討していく必要があるとも、強く感じました。

かつて、裁判をするしかなかった。
それ以外に、患者・被害者の声を届ける方法がなかった。
でも、そんな方法ではなく、
本当は、企業の中にも「人」がいる。
省庁の中にも「人」がいるはず。
なんとか、そういう人たちと「対話」することはできないのか。
裁判という敵味方に分かれた場ではなく、
(裁判なんて、結局は勝つか負けるかの戦争と同じだ)
同じ「人同士」の場として、話ができないのか。
工場の労働者たちだって、研究者たちだって、
本当は人を殺すような毒を作りたくなんかなかったはず。
そんな毒を垂れ流したくなどなかったはず。
(原因企業にだって被害者はいたが、名乗り出られなかった)
それが止められなかったのは、
声を上げることができなかったのは、
時代の大きな経済重視の流れや、生活への不安や、
「孤立」だったはず。
それを支える市民の手があれば、
もしかしたら、もっと早く止められたのではなかったか。

どうして、市民と企業、市民と行政は、
こんなにも対立しなければならないのだろう。
(それは、利益や経費が絡んでくるからだ)
裁判を経て、30年以上が経っても、
市民と企業は、市民と国は、ぎくしゃくと対立したままだ。
薄ら笑い、愛想笑いを浮かべるだけで、本音を語らない。
対話の場にも出てきてくれない。

昨年、川崎フューチャー・ネットワーク(KF-net)では、
念願の川崎公害のドキュメンタリー映画の上映会を連続開催し、
市民の方々に、当時の現状について知っていただき、
また、現在、継続している課題についても、
一緒に考えていただく機会の場とさせていただきました。

「初めて知った」との声も多く、
やって良かったとの思いとともに、さらなる開催の必要性も感じられました。
 >報告:川崎公害映画上映会「かつて川崎に公害があった!?」

おかげさまで、今年も継続して開催します。
公害を繰り返さないために、何をすれば良いのか、
もっと、もっと、多くの方々とお話ができればと思っています。

☆2015年の上映スケジュールなどは、下記リンクをご参照ください。
 夏休み公害映画上映会2015 「かつて川崎に公害があった!?」

            <川崎フューチャー・ネットワーク 三枝信子>

 
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