多摩川サイクリングロードの車窓から

1kg軽量化したら富士ヒルで何秒速くなるのか?

 ヒルクライムは重量との闘い、速くなりたければ軽量化を意識せざるを得ません。

 カーボンのフレームやホイールにはじまり、サドルやハンドルにボトルケージ、挙句の果てにはバーテープを外しフロントシングル化するなどグラム単位で軽量化している人も稀によく見かけますが、そこまですればさぞかし軽くなりそうです。主にお財布が。
 あるいはダイエットで自分の体を軽量化する方法もあります。お金はさほどかからないかもしれませんが、食事制限をして運動をして、とこっちはこっちで苦難の道です。

 そこまでして達成した軽量化、でもそれでどれくらい速くなるのだろうか?
 これを数式で出してしまおうというのが今回の企画です。高校物理のレベルですので、ああこんなの習ったな、と思い出しながらお付き合いください。



 軽量化すればそれを持ち上げるのが楽になるのは自明のこと。これを説明できるのが位置エネルギーで、この数式で求めることができます。



 そして、エネルギーと時間の関係はこの数式であらわされます。



 よって、



 仕事率というのは、自転車的に言えば「パワー」です。パワーメーターで100ワットとかでてくるアレです。
 よって、この数式が成り立ちます。



 実にシンプルな数式ですが、ここまではわかりやすさを重視して単位を無視してきました。そこを整理していきます。



 とします。

 位置エネルギーのという単位はジュール[J]という単位に置き換えることができます。
 そして1ジュールとは1ワットのパワーで1秒間の仕事をするエネルギーのことなので、以下の関係が成り立ちます



 したがって、位置エネルギーはこうなります。



 これを先ほどの数式にあてはめると、



 よって、



 通常、重力加速度は9.8なので、



 この式で、何秒縮まるかが求められます。

 それでは、1kg軽量化したら富士ヒルで何秒短縮できるのかを計算してみます。富士ヒルの獲得標高を1200mとすると、こうなります。

 パワー150Wの場合:78.4秒
 パワー200Wの場合:58.8秒
 パワー250Wの場合:47.0秒
 パワー300Wの場合:39.2秒


 さすがに1㎏も軽くなれば明確な差が出るものです。これが10gの軽量化だったら短縮幅も1/100になりますから1秒足らず、グラム単位で突き詰めていくのはあまり意味が無さそうです。そういうのは他にできることを全てやった人が最後に手を出す領域であって、俺みたいなサンデーライダーがやるこっちゃないのでしょう。



 今回は位置エネルギーの減少を元に短縮タイムを求めたわけですが、軽量化による効果は他にもあります。

①転がり抵抗の軽減
②速度が上がったことによる空気抵抗の増加
③軽くなったことでダンシングがやりやすくなる
④軽量化を突き詰めたことによるメンタル効果

 といったところでしょうか。③と④はどう考えても数値化できませんし、②も計算で求めるのはちょっと無理です。もっとも、速度が上がるといっても時速15.0kmが時速15.3kmになるくらいなので、その程度の空気抵抗の差は無視して問題なさそうではあります。

 ①の転がり抵抗は計算できるはずなので気が向いたらやってみようと思いますが、今日の所はこの辺で。

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