しれっと月曜を過ぎましたが見苦しい言い訳はすっ飛ばして本編を始めます☺
さて前回の続きです。
型紙の産地鈴鹿市白子では
自分時間で気楽な一人暮らしを続ける熟練の型彫師 生田さん。
そして
お隣岐阜県では
伊勢型紙に心をつかまれ、やってみたくてしょうがないのに、修業のスタートが切れないでいる那須さん。(当時28歳 無職)
教えてくれる人も場も見つからない。
そんなにやりたいならとお教室などを紹介されても趣味じゃなくて仕事にしたいからと頑なに耳を貸さず。(頑固!)
型紙のイベントなどに通い、職人さんに話を聞けば、小刀を研ぐだけで1年はかかるでなぁ...と苦笑いされるだけ。
あーーーそうですか。
そーーーーきますか。
そっちがそのつもりならこっちにも考えがあるわな。
勝手に一人で小刀研ぎを始めてやる!!
止めたって無駄だからな!(???)
どうなったって知らんからな!(知らんがなw)
これは一体誰に対して喧嘩腰なのか😅
あえて言うなら型紙の神様か。
無職の焦りも相まって、常にエンジンかかりっぱなしの那須さんはついに実力行使に踏み切ったのです。
そこへまさかの 待った
をかけてくれる方が現れました。
前回のブログに書いたように、大杉の社長さんは初めて鈴鹿に行った以来、那須さんがしつこく型紙への熱意をお伝えしてきた相手。
小刀を研ぐ為には、まず大杉さん(型紙の道具材料店)で道具を購入しないといけません。
私、小刀研ぎたいんで砥石と小刀の刃を買いにお邪魔します、と社長さんにご連絡。
すると
少し慌てたような様子で
適当に買っちゃうのはよくない。
そういうのは職人さんに相談して選んだ方がいい。
一緒に相談に行こう。
と「完全一人修業スタート計画」に待ったをかけてくださいました。
そこで突如予想もしないイベント
「職人さんに道具選びを相談する」
が発生したのです。
職人さん に 相談。
フラグが立ったと思いませんか?
そう、
何を隠そうこの相談先の職人さん
というのが今の親方「生田さん」だったのです。
前回のブログに書いた生田さんがお世話になっている仕事相手の社長さんが
→つまり大杉の社長さんであり
那須の話を親身に聞いてくれたのも
→同じ大杉の社長さん
ここでついに3人が揃って顔を合わせる日がやって来ました。
2010年 9月?某日
生田さん
「お世話になってる社長が趣味で型彫りしたい若い子がいるって言うから教えてあげてって事なんだろうなぁ。机は用意してみたけど、こんな作業場の雰囲気でやれそうだと思うだろうか?」
那須さん
「わざわざ道具を選ぶだけで職人さんに相談させてもらって申し訳ないなあ。
そんな事よりさっさと小刀研ぎをはじめたい。」←そんな事!コラ
社長さん
「相談できる職人がいて良かった。
生田さんはいつもお世話になってるから相談くらいのお願いは聞いてくれるはず。」
それぞれ三者の思いが交錯しつつ、ついにこの日を迎えました。
三者は伊勢型紙おおすぎのお店にほど近い生田さんの工房に顔を揃えました。
その日の事は一生忘れないと思います。
小刀と砥石を買う相談に行っただけのつもりの那須さんが目にしたのは、
真新しい照明付きの明らかに追加で設置された作業台(アテバ)
那須「えっ?????(言葉を失う)」
社長さん「ん???」
生田さん「えっ?って、、、え??やりたいんでしょ?(1年くらい趣味で)」
パアアアアアアア!!😃😃😃(表情)
まさに
パアアアアアアア😃😃😃 です。
那須
はい!!!
やりたいです!!(一生)
お願いします!!!
さすがに社長さんもこれにはびっくりしていたようで、
そうか!
生田くん教えてやってくれるか!
そんなに考えてくれてたとは驚いたなぁ。
と恵比寿顔で喜んでくださいました。
話すうちに、何かしらお互いの意図に違和感はあったものの...
那須の胸の内は
(そんなのどうだっていい。後で説得すれば押し通せるかも)
(この人の気が変わらないうちにここに潜り込まねば!!!)
と、急いで引っ越しの準備を進め、1ヶ月内の10月の1日に鈴鹿に越してきました。
生田さんからすれば、
週末に通って来るぐらいだったら受け入れられるだろう。
1年ぐらい我慢すれば終わるだろう。
という見立てで始めたにも関わらず、
鈴鹿に引っ越してくるわ
毎日通って来るわ
朝から晩までいるわ......
こうして
2010年10月1日を境に
型彫師 生田嘉範さんの静かな生活は
完全に終わりを告げました。
▷yahoo!ニュース
【悲報!生田氏の静かなる生活が終了】
--------------- THE END -----------------
それからはふたりで色々と悶着はありました。
しかし結果的に那須が親方生田さんを半ば強引に説き伏せ、現在も工房内独立の形でアテバを並べ作業させて頂いています。
忙しいときにはお互いの仕事を手伝ったり😄
分からない事を親方に相談したり😄
親方の仕事に いちゃもんつけたり、
親方の食生活に いちゃもんつけたり、
親方を車の送迎役にこき使ったり、
親方のコロッケを勝手に食べたり、
(あれ?何かおかしいな🙄)
本当に心が広くなければ、私を相手にこんなに長く続くはずもありません。
大概のことは笑顔で許し、仕事に厳しいダメ出しもされたことはありません。
一般の方が想像する「職人は頑固で怖い」そんなイメージは全くありません。
お年寄りの職人さん宅に納品の際は、その人が階段を上り下りしなくて済む時間帯を狙って届けたりするような優しい、そう、
とにかく優しい!!
クソ真面目!!!
そんな穏やかな親方なのです☺
が、思いがけない一面も。
万物に情けをかけそうな親方が突然目つきが変わる瞬間。
ーそれはG退治ー
何を隠そううちの親方はかなりの腕前のGハンター。
「一度目にしたら必ずしとめる」
「必ず正面を狙う。なぜなら奴らは正面にしか逃げない」
\ /

を決めゼリフに、淡々と始末した新聞紙をぐしゃっと丸めてゴミ箱へ。
カ、カッコいい〜😂😂
いつもそんなに自己主張しない親方が、こんな時だけ妙に持論を披露してくれるのがツボります。
長くなりましたが、そんな愛すべき親方と、親方が迎え入れてくれたご自宅の工房。
これらが私の型紙生活にとって何よりも大事な人、そして場所です。
こうして書き連ねると、改めていくつもの偶然が重なって奇跡的に私が型紙の修行を始められたと言うことを実感します✨✨
改めて関わってくださった皆様には感謝しかなく、恩返しのつもりで頑張っていきたいです。
もちろん大切な人、親方の為にも。
そして大切な場所、親方の工房には更にビッグな出来事が!!
この続きはまた今度書きたいと思います。
相変わらず長い駄文にお付き合い頂きありがとうございます。
では皆様よい1日を〜(^o^)/